第9話 トリシャと国王

城に戻りますと、お父様とお母様にトリシャ様の事をお話いたしました。

そして、客室でお父様と会いする事になりましたが、アルニルがアンディの生まれ変わりと言う事も伝えておきました。


「これはこれトリシャ様。わざわざ王都にお越しくださるとは、ご足労をおかけしました」

「王様、そんな大袈裟な。あたしは夢でファーガスの生まれ変わりがいると知って

気になって確かめに来たんだ。でも、まさか姫様とは思いもしなかったけど」

「そうですか。しかし、フローラ付きの侍女のアルニルがアンディの生まれ変わりとは」

「国王陛下、今まで黙っておりましたことをお許しください」


アルニルは跪いて頭を下げます。


「アルニル、頭を上げるがよい。我々もご神託あるまでは知らなかったのだから

話す訳にもいかなかったのだろう。だから気にする事はない」

「ありがとうございます、国王陛下」

「わたしも自分がファーガスの生まれ変わりとは、17歳の誕生日を迎えるまでは知りませんでした」

「初め神託を聞いた時は私も驚いたが、女神アルテイルの信託である以上は受け入れるしかない」

「本当はフローラに魔王退治なんてさせたくありませんが、女神アルテイル様のご神託であるなら仕方がありませんね」


お父様とお母様はこうおっしゃりますが、お父様とお母様にはわたしと話す時と違って

女神らしい威厳がある話し方をしたようです。


「しかし、アルテイル様があのようなお軽い方とは思わなかった」

「きっと、皆に慕われる女神様ので、あえてあのようにお話をしたのでしょう」


前言取り消しです、やはりわたしの時と同じ話し方だった様です。

お父様もお母様も良い方に受け取っているので。気にしないようにします。

ただ、実際は駄女神といわれてますが……。


「しかし、早も3人のうち2人の仲間が集まるとはこれもアルテイル様のお力であろう」

「流石、アルテイル様です」


アルニルに関しては確かに、アルテイル様が教えていただきましたがトリシャ様は

ご自分のお力で気づいて、王都にいらしたのでアルテイル様のお力ではないような気がしますが

お父様とお母様にはアルテイル様のお力と言うこと井しておきましょ。


「あの駄女神の力じゃなくて、あたしの力だけどね……」


トリシャ様もぼそっと同じ事をつぶやきましたが聞かなかったことにします。


「ファーガスの3人の仲間のうち、2人が揃ったという事は残るは1人となるがすぐ見つかると良いのでが……」

「それなのですがお父様……」


わたしは昨晩、アルテイル様とお話した事をお父様にお話しました。


「そうか、残り1人は王都教会のシスターのイザベラか」

「はい。現在はレンゼ山の温泉にいっているようですので、魔術通信でお父様のお話を

お聞きになられたのならば、早ければ3日後にお戻りになるかと思います」

「そうか、わかった。しかし、レンゼ山の周辺は魔術通信の受信が悪い地でもある。

もし、3日後に戻らなければ、使者を派遣して様子を見に行かせる」

「それも良いのですが、わたくしが行ってもよろしいかと」



わたしがこう言いますと、お父様は少しお考えになりましたが


「確かに、その方が良いかもしれんな。フローラもそろそろ1人で王都の外を見聞したほうが良いだろうし」


とおしゃりました。


「そうですね。わたくしたちとの同行でなく、年齢的にもフローラ1人で王都の外へ行く頃ですね」

「そうだな。それではフローラ、3日後までにイザベラが聖教会に戻らなければレンゼ山の温泉地へ行ってもらう」

「わかりました」


3日後前でお戻りにならなかった場合、わたしがレンゼ山の麓の温泉にいく事

になりましたが、するとトリシャ様が


「王様、念のため教会にちゃんとイザベラの事を確かめた方がいいと思いますよ」


とおっしゃりました。

確かにアルテイル様の話だけでなく、念のために教会に確かめた方が良いですね。


「そうだな、アルテイル様の事は信じているが、念のために教会にイザベラと

言うシスターがいる事と所在を確かめた方が良いな。

では、明日にでも教会に問い合わせよう」

「ありがとうございます、王様」

「いえ、トリシャ様がおしゃっていただけなければ、基本的な事を忘れていたましたので

こちらこそ、お礼をいわせてもらいます」


お父様が頭を下げましたら、トリシャ様も慌てています。


「王様が頭を下げる事はないですよ」

「そうですか。ただ、お礼をはいわせてい抱きます、ありがとございます」

「ははは……」


トリシャ様は思わず笑ってますが、どうも困ると笑うようですね。


「それより、王様。今夜の宿を用意して欲しいんだ」

「それならば、城にお泊り下さい」

「でも、あたしはこういう所は苦手で……」

「そうでしたか。しかし、王としてはトリシャ様を街の宿に泊め訳にもいきません」

「美味しいお食事もご用意しますが、エルフは魚や肉はおたべにならないのでしたよね?」

「それは一部のエルフで、あたしは何でも食べます」

「そうなのですね」

「急にこられましたので、晩餐はご用意できませんがぜひ食事は城でお願いします」

「でも、あたしはマナーとかしらないから」

「それならば、お部屋にお運びしますのでそこでお食べてください」

「うーん、そういうならそれでいいかな」

「では、お部屋をご用意します」


お父様は侍従にトリシャ様の部屋を用意させますが、この時間から

お部屋でお食事をする事は……このまま城に泊まる事にまります。

そして、トリシャ様もそれに気づいたらしく、しまったという顔をするのでありました。

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