第8話トリシャ その2
学院からの帰り道、街の中で人が集まっているのを見かけたので馬車を止めました。
「あそこに人が集まっていますが、何でしょう?」
「なにか盛り上がってる様ですが……わずかですがトリシャの魔力を感じます」
アルニルはそう言いますが、わたしにはわかりません。
「そうなのですか?」
「はい。トリシャは普段は外に出る魔力をかなり抑えていますが
仲間でしたのでトリシャの魔力はすぐにわかります」
「そうなんですね」
「でも、トリシャといいますか、エルフが王都どこころか森に出てくるのはかなり珍しいですね」
「確かにそうですね」
トリシャ様どころか、エルフが森を出ること自体かなり珍しいです。
さらにエルフの森から王都まで馬車でも1か月かかりますので、つまり
ここにいるという事は1か月以上前にエルフの森を出たという事です。
「もかしましたら、何らかの神託があったのでしょうか?」
「あの女神がそんな事しませんよ。トリシャなら夢でファーガスの生まれ変わりの事を知ってもおかしくないです」
アルニルまで「あの女神」と言っていますが、それは置いておきまして
トリシャ様程になりますと、予知夢や夢のお告げをあるといいますので
アルニルが行っているとおり、夢をみたのでしょう。
「そうだとしたら、トリシャ様にお会いしたいですね」
「そうしましょう。これだけ盛り上がってると……トリシャも困っているはずですし」
馬車の中からでも、集まった方々の声が聞こえるぐらい盛り上がっています。
エルフはこういう賑やかな事が苦手だったり、嫌いといいますので早く行って助けた方が良さそうですね。
「それでは行きますか」
「わかりました」
わたしは場所を降り、アルニルが護衛になって人の集まりへ向かいます。
「すみません、これは何の集まりなのでしょうか」
わたくしが集まった人々が暴れない様に警戒している兵士に声を掛けました。
「こ、これはフローラ様ではないですか」
こう言って兵士は直立します。
「そんなに緊張なさらないでください。人が集まっているので気になりましたので」
「そうですか。トリシャ様の後継というエルフの女性がいるというので、人が集まって来たそうです」
兵士はこう言いますが、トリシャ様でなく後継の方のようです。
「アルニル、こうおっしゃってますか」
「トリシャは現在400歳とエルフとしてはまだまだ若いですし、この魔力はやはりトリシャです。
多分、トリシャの事ですから、本人と言えずに後継者と言ったのでしょう」
小声で話しながらアルニルはこう言いますが、トリシャ様ご本人で、あれ後継者のエルフであれ
ひとまずはお会いする事にします。
「すみません、そのエルフの方にお会いしたので道を開けて頂けませんか」
「わかりました」
兵士はわたくしがエルフの方とお会いしたいので、道を開ける様にと言うと
わたしがいる事を知って皆さんは静かになり、道を開けて下さりました。
「フローラ様がいらっしゃったという事は……やはり、あのエルフはトリシャ様の……」
「間違いないな。エルフ自体が王都に居ること自体かなり珍しいからな……」
このような話声が聞こえましたが、エルフがいる事は間違いないです。
ただ、やはりトリシャ様の後継者と話しています。
しかし、前世で仲間だったアルニルがトリシャ様ご本人と言うので
まずはあって確かめる事にします。
「はじめまして。わたしは王国第1王女のフローラ・フォル・ラインであります」
わたしはエルフの方の前で名乗りますが
「あなたがファーガスの生まれ変わりの姫様ですね。わたしはトリシャ…………
の後継のナリシャです」
間がありましたが、どうやら名前を考えていたみたいですね。
そして、トリシャ本人である事は意地でも隠すようです。
なので、わたくしもそれに合わせます。
「わかりました。ところで、ナリシャ様は何故王都に来られたのですか?」
「トリシャ……様がファーガスの生まれ変わりが王都に居るという夢を見たので
あたしが代わりに来たのです~」
つまり、トリシャ様は夢でわたしの事を知って、王都に来たのですね。
「わかりました。それでは、王城にご案内しますので、馬車にお乗りください」
「それはありがたい~」
「では、こちらにどうぞ」
わたしはトリシャ様……いえ、ナリシャ様の手を取って馬車に案内します。
「姫様がお連れになった解く事は、本物なんだな」
「トリシャ様の後継者であっても、エルフの魔法使いを直接見る事が出来たのは幸せ者だな」
「エルフの魔法使いが来たという事は、魔王にも勝てるぞ!」
「ナリシャ!ナリシャ!ナリシャ!」
集まった人たちがナリシャと呼び、盛り上がてっていますがわたしたちはそそくさと馬車に乗ります。
そして、すぐのこの場を離れました。
「ふう、あの場を離れる事が出来たよ。ありがとう、姫様」
「いえいえ、お困りになっておられたようなので」
「トリシャは余計な事を言って騒ぎを起こすんだから、気を付けないと」
「この気配はアンディだね。なんか、かわいくなったけど魂的にはこっちの方が本当の姿かな」
「そう、これがわたしの魂と会った本当の姿。体力とかは落ちたけど、身体の動きのきれは前世よりもいいよ」
「そうなんだ。姫様がファーガスの生まれ変わりと言うけど……全然ファーガスぽくないよね」
「その事ですが……」
わたしはトリシャ様に説明をすると、トリシャ様は
「ま、あの女神だからね。それに、やっぱりファーガスは女になりたくなかったんだ」
と言いましたが、ファーガスが女性になりたくない事はわかるようです。
「やっぱりということは、トリシャ様もわかるのですか?」
「脳筋のファーガスが女になりたいと思わないしね。
普通だったら何も言えずに生まれ変わるけど、ファーガスは神の力を授かってるから
神様みたいものだから、拒否できたから拒否したんだろうね」
トリシャ様はファーガスの事だけでなく、アルテイル様の事をわかっているのですね。
「流石トリシャ様です。全てわかってるんですね」
「ある程度は夢でわかるんだ」
トリシャ様は誇らし胸を張りますが
「でも、後継者なんて言ってたのはなんでかな」
とアルニルは言うのでありました。
「最初は本人だって言ったけど、信じてもらえなかったら後継者って言ったんだ。
そうしたら、あんな風になったんだ」
「エルフが王都に居るだけでも騒ぎになるのに、そんな事を言ったら余計騒ぎになるよ」
「そうだけど、本人と言っても言わなくても面倒な事になったのは変わりないから。
だったら、余計な事をしないで騒ぎが収まるのを待ってんだけど、なかなか収まらなくてね。
だから、姫様がきてくれてありがたかったよ」
わたしが来なければ騒ぎが収まるまでさらに時間がかかったでしょう。
それに、エルフは話探しい所が苦手といいます。
「騒がしいのは苦手といいますから、大変だったでしょう」
「そうれもあるけど、もっと大変だったのは150年前と王都が変わりすぎて迷子になったよ。
だから、姫様が来てくれてありがたかったよ」
王都は100年前に無造作に広がった王都を再整理するため、50年かけて大規模な区画整理と再開発を行いました。
なので、150年前よりもかなり街並みは変わっているうえに、王都自体も拡大していますので
150年前より倍の広さになっているので150年ぶりでは迷子になりますね。
わたしはこの事をトリシャ様に説明すると
「どうりで、わからないはずだよ。本当に、姫様が来てくれたありがたいよ」
と喜んでいました。
「わたしもトリシャ様に会いにエルフの森に行かなくても良くなりましたのお礼をいいます」
「そうか、あたしから行かないで姫様たちが来るのを待っていればよかったか」
トリシャ様はしまったといいますが、わざわざ王都に来るという事はそれだけ気になったのでしょう。
「わざわざ王都にお越しになったのは、それだけ気になったからなのではないのでしょうか」
「確かに、気になったかな。魔王退治は大変だったけど、なんだかんだでたのしかったからね」
「そうですか」
「ただ、皆、女の子になってるけど、まさかダニエルも女の子になってるの?」
「アルテイル様から聞いた話では、やはり女性になっているそうです」
「そうなんだ。あの女神、男を女にするのが趣味だからね」
トリシャ様がため息をつくけど、アルテイル様はそんな趣味にがあるという事は
実はファーガスも男性として生まれ変わる事が出来たいのではないのでしょうか。
ただ、男性として生まれ変わるのは200年後とおっしゃてもいました。
なので、後程アルテイル様に聞いてみる事にしました。
そして、わたしたちの乗る馬車は王城へと到着したのでありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます