姫様と伝説の勇者の仲間たち
第5話 アルニル
翌朝、わたしは侍女が起こしに来る前に目が覚めました。
昨晩、アルテイル様がアルニルがファーガスの仲間であった戦士アンディと
いう事を教えていただきましたので、アルニルが来ましたらその事を話したいと思います。
「フローラ様、失礼いたします」
ノックがして、アルニルがわたしを起こすために部屋に入ってきました。
「アルニル、おはようございます」
「フローラ様、おはようございます。本日は良い天気ですよ」
アルニルがカーテンを開けると、窓から日の光が入って来て確かに良い天気ですね。
「そうですね。ところでアルニルに聞きたい事があります」
「わたしにですか?」
「はい。実はですね……」
アルニルに昨晩の事を話をして、アルニルが戦士アンディの生まれ変わりとなのかと
聞くと、アルニルは
「はい、そうです。前世からの念願だった美少女の身体になれました♪」
と、とても嬉しそうにしてますが、22歳は美少女といえるのでしょうかね?
ただ、アルニルは綺麗というよりは可愛いですが。
「前世は男もとしても可愛いほうでしたが、やはり男には胸がありませんし
余計な物もの付いてます。男相手にあんなことを……いえ、朝から話す事ではございませんね」
アルニルはこう言いますが、何をしていたのかは知ってはいます。
「しかし、フローラ様がまさかファーガスの生まれ変わりとは思いませんでした。
でも、ファーガスの人格でなく、フローラ様なのですね」
「ファーガスは女性になる事を断固拒否したからだそうでです」
「もう、せっかく女性の身体になれるのに、ファーガスはわかってないです。
だから、わたしは仲間以上の関係になれなかったですよ」
アルニルの言い方では、男性であった前世でファーガスと仲間以上の関係になるつもりだったのでしょうか。
「ただ、今思えばならなかったの良かったです。だって、男同士より美少女同士の方がよいですしね」
「えーと、それは……」
わたしがまさかと思いましたが、アルニルはベッドの上に座って
「姫様と侍女の禁断の恋っていいじゃないですか……」
と顔を言って赤くしています。
「あの、まさかアルニルはわたくしの着替えをみて、欲情してるのでしょうか?」
「もちろんでしています!」
アルニルはわたくしが質問すると間髪入れずに即答しましたが、やはりそうでした……。
「ただ、わたしだって姫様に手を出すほどの愚か者ではありませんよ」
「ですよね」
わたしはそれを聞いて安心と思いましたが……
「でも、わたしがアンディの生まれ変わりと言う事をしってるのならは話は別です。
前世では仲間でしかなかったですが、今生では姫様と侍女の禁断の仲になりましょう!」
と言ってやはり安心できません。
「わたしはファーガスの生まれ変わりですが、受け継いだのはほんの一部です。
それに、わたしは男性が好きですし、さらにいますと同性愛は禁止されています」
王国と教会は同性を禁止ていて、もし発覚した場合は王族だろうと処刑となります。
「それはわかっています。ばれたら処刑され事もわかっていて、命がけで愛するからいいのです」
「わたしは処刑は嫌です!それに、魔王が復活するのわたしたちが生れたのですから」
「もちろん、わかっています。魔王が復活したら倒すの使命ですから」
「それは良かったです」
魔王を倒す事は拒否しなかったので安心しました。
「だた、それはそれ、これはこれです」
いや、やはり安心できませんでした。
「わたしはアルニルとは侍女と魔王を倒すための仲間以上の関係にはなりません!」
わたしが強く言いますと
「わかりました、今は諦めます。そろそろお着替えをしないと、学院に遅刻しますから」
「わかりました」
わたしはベッドから出て、着替えをしますが……先ほどの話を聞くと安心できません。
「着替えの時、変な事をしないでくださいよね?」
「大丈夫です。するなら、最初からしますので」
「そうですか……」
この言葉に安心してもいいのか悩みますが、言ったとおり変な事をはせずちゃんと着替えしました。
髪を整えのえ、朝食を摂り学院へと向かいましたが、学院へ向かう馬車もアルニルが同行しています。
「変な事しないでくださいよ」
わたしは馬車の中でアルニルに言いますが
「他に人目がある所ではしませんので」
と答えましたが、それは人目が無ければすると言う事なりますよね?
「他に人目が無ければするのですか?」
「冗談です。先ほどもいいましたが、するなら既にしています」
「そうですか。一応、信用しますよ?」
「一応じゃなく、安心してください。前世からこういう性格でしたから」
「そうなのですか?」
「はい、性別が変わっただけで、前世から変わっていません」
伝承では女性の様な美しい男性であり、真面目で気品があるとありますが
実際はすこしおちゃらけた感じなのですかね。
ただ、仕事に関しては確かにまじめでありましたし、品がありましたからね。
「だから、ファーガスとは一線を越えれなかったんです。
今思えば、せめて1回だけでも身体の関係を持っていれば……いえ、なんでもありません」
アンディは魂が女性なので、男性の身体でありながらも男性が好きでした。
当時も同性愛は禁止されていましたが、アンディは処刑された訳ではないので
同性が好きな事を教会などに密告されはいない様です。
ただ、生涯独身であり子を作らなかったと伝承に残っています。
「200年前も同性愛は禁止だったはずですが、大丈夫だったのですか?」
「ばれなかったので、処刑をされずにちゃんと伝承が残りました。
禁止と言っても、実際は男女問わず同性同士でいろいろやってましたよ」
「そうでしたか」
「とはいえ、表だって堂々とできた訳ではないです。
それに、隠しきれずばれて何人も処刑されています」
「そうでしたか……」
今でも同性愛者が処刑される事がありますが、死ぬまで隠し通すのはとても大変だったと思います。
アンディは勇者の仲間で、魔王を倒した英雄の1人ですがその英雄が神様の都合で魂がほぼ女性だったとはいえ
同性愛者と知られたらさらに大変だったと思います。
「朝から重い話をしていまいましたね」
「いえ、構いません。ファーガスの記憶があるとはいえ、全てを知っている訳ではありませんからね」
「そうですね。学院に着きましたので、いってらっしゃいませ」
「はい、行ってきます」
わたくしは馬車を降りて、学院に向かったのでありました。
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