一番の謎
はじめにも書きましたが、これはドラマ「陳情令」を見た方にしかわからない内容になっています。
(一)
私にとってこのドラマ一番の謎は、聶懐桑と莫さん(莫玄羽)がどうやって知り合い、身代り(舎身呪)の話にいたったのかということです。莫さんはあのセミナーに来ていたのかもしれないし、莫さんが金家にいた時には顔見知りだったはずですし、でも、それほど親しい関係ではなかったようです。莫さんが金家を追い出されてから、古書店などでばったり会ったのでしょうか。
でも、そのくらいでは、聶懐桑がウェインの遺体を隠していることを、莫さんが金光瑶のさまざまな秘密を知っていることを、そう簡単に打ち明けるはずがないです。
では、どこで、どのようにして、莫さん自身が身代りとして死んで、ウェインを生き返らせる、そういう話になったのでしょうか。
そのことについて書きたい思うのですが、どうも文字制限の関係で、数回(たぶん3回)に分けて書かなければならないようです。
でも、それは全部、同時にアップしようと思います。
私がこのドラマを見て思ったのは、監督さん(脚本家)が、謎には必ず、ヒントをくれているということです。瞬間的で、見落としてしまいがちなのですが、ヒントはあるのですよねぇ。
きっともっとあるのでしょうが、自分的には、ここじやないかしらと思う箇所がふたつだけ見つかりました。
☆ひとつは、ここ。
第1話で、莫家の人々が成敗された後、黒い影が逃げていきました。
その時、ランジャンは「ウェイン?」と呟きます。
でも、その夜、ウェインは白い服を着ていてました。
これは、ウェインが生き返ったことを確かめにきた人の影です。
私は、その人は薛洋だと思います。それで、彼がこの件にかかわっていると推測しました。
薛洋は冷酷な悪人ですが、この10年間、義城に住んでおり、
7年ほど前に自殺してしまった暁星塵を生き返らせたいと苦戦しています。
死んでしまった暁星塵、(写真)
わらの上に寝かされて、周囲には札がぶらさがっています。
薛洋は天才的な頭脳を持っていますが、心のない人でした。でも、暁星塵が死んでしまった時、初めて人間らしい感情が湧いて後悔したのです。どんなことをしても、彼を生き返らせたいと思い、できるかぎりのことをしたのですが、蘇生させられずにいるのです。
(二)
聶懐桑は義城に通っていましたが、薛洋のことに気がついていなかったでしょう。しかし、薛洋が聶懐桑のことを知らないはずがありません。
それでも、薛洋が聶懐桑の邪魔をしなかったのは、彼がウェインを尊敬していたからです。もしウェインが生き返ったら、暁星塵を蘇生されてくれるはずだと信じていたからです。薛洋はウェインが女医師弟を生き返らせたと思っていたのです。
薛洋(写真)
人を見下したような感じの悪い笑みを浮かべています。
彼は悪ですが、天才で、剣もでき、哀しい生い立ちがあり、唯一の友を失って人間愛に目覚める、という悲劇の人。演じ方によってはとても魅力ある人物になったのではないかしら。原作の小説やアニメでは、どのような人物に描かれているのでしょうかと思います。
ここからは私の想像ですが、
莫さんは金光瑶に対して復讐したいという意志がものすごく強い人です。だたそれを人に気づかれないように、気違いを装ったり、仮面をつけたり、化粧をしたりしていました。
彼はある日、その方法、「舎身呪」を書いた書類を見つけます。自分が死ぬ代わりに、別の人を生き返らせる方法です。
ウェインが生き返った直後、いとこと家来ががやがやとはいってきて、ウェインを蹴飛ばし、部屋中をひっくり返して、彼が隠していた仙師関係の何かを見つけようとしました。しかし、書類みたいなものしか見つからず、いとこはそれをウェインに叩きつけました。
そこに、「舎身呪」のことが書かれていました。
ウェインはその時、紙に書いてあった「舎身呪」を読んで、事情がわかるのです。
では、莫さんは、この書類をどうやって手にいれたのでしょうか。
(三)
いとこは「自分のお金を使った」と言って激怒していましたから、莫さんはこの書類に、多額のお金を払ったと思います。
古本屋で買ったのでしょうかね。
私は金光瑶の秘密の部屋にあったと思います。光瑶は母を蘇らせたいと思っていたので、そういう類の禁書を集めていたと考えられます。でも、この呪いは、自らの意志で、身代りになってくれる人がいないとできないんですよね。だから、金光瑶にはまだ実施できていませんでした。
莫さんは、金家の屋敷で働く誰かに多額のお金を払い、その秘密の部屋から、その書類を盗んでもらったのではないでしょうか。
さて、莫さんはついに「舎身呪」の方法を手にいれました。
彼の場合には、自分自身が身を捧げる覚悟はできています。けれど、自分の代り生き返って、復讐をしてくれる人を捜さなければなりません。復讐の相手は手ごわい人物ですから、ちょっとやそっとの人ではできません。
できるとしたら、死んだ立派な仙師というと誰でしょうか。
となると、思い浮かぶのは暁星塵でしょう。
義城の暁星塵(写真)
ウェイン達も町の飲み屋で、暁星塵が何年か前までは義城にいたけれど、今は姿が見えないという噂を聞きましたよね。ということは死んだ、ということでしょう。
莫さんはそういう情報を得て、暁星塵を捜すために義城を訪れたと思われます。
そこで、薛洋と会い、話をしていくうちに、莫さんはウェインの遺体がここにあると知りました。
ウェイン、つまり、夷陵老の遺体なら、それは願ってもないことです。暁星塵なら、たとえ生き返ったとしても、目が見えないので、復讐は無理ですし。
薛洋としては、まずウェインを生き返らせて、そのウェインの知恵で暁星塵を生き返らせてもらうというのがプランだったと思います。ふたりは聶懐桑を説得して、そういう運びになったと考えます。
聶懐桑はもう16年間待っても、ウェインは死んだままですから、Nothing to Loseなので、その案に乗ったのだと思います。
☆どのようにして「舎身呪い」の話になったのかということのもうひとつのヒントは、
薛洋の言葉にあると思います。
薛洋はウェインが生き返ったのを知り、彼と会えるような策略をします。そして、ようやく会えたのですが、ウェインは「(暁星塵を生き返らす)ことはできない」とあっさりと言います。暁星塵の霊識(生きる力のようなもの)が壊れているから、できないのです。
その時、薛洋が陰鉄や虎陰符のことを語り、陰鉄は実は5つあり、最初から彼自身がそのひとつをもっていたことを告げます。
薛洋がそのことを今まで秘密にしてきたので、ウェインはすごい演技だと手をたたきます。
すると、薛洋が、
「いや、演技といったら、あの人にはかなわない」と言います。
あの人って、誰でしょうか。
聶懐桑ではないかと思ってしまうところですが、
彼はウェインの遺体や祖先の秘密を隠してはいましたが、名演技はしていません。
それでは、すごい演技をした人は誰でしょうか。
それは莫さん(莫玄羽)でしょう。
彼は金家を追い出されてから、仮面をつけて気が違った真似をしたり、化粧をしたりして、軽い人だと思われていますが、実はものすごい強い意志の人。臥薪嘗胆の思いで、復讐の炎を燃やしていたいた人です。
つまり、義城で3人が知り合うことで、莫玄羽がわが身を犠牲にしてウェインを生き返らせるという計画が生まれ、実行されたと考えているのですが、さて、どうでしょうか。
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