陳情令

九月ソナタ

聶懐桑(ニエ・ホワイサン)について

これは以前、ブログに書いたものです。


(一)


ドラマ「陳情令」では、かわいいのはウェイン(ウェン・ウーシェン)とランジャン(ラン・ワンジー)、身のこなしが美しいのは金光瑶ですが、台本において、特に丁寧に書かれているのか聶懐桑(ニエ・ホワイサン)だと思います。彼の台詞には意味が隠されていて、そこを掘っていくと、謎が解けるというしくみになっていると思いました。


この人が聶懐桑(ニエ・ホワイサン)、


聶家宗主(赤鋒尊)の弟です。


聶懐桑は途中まではダメ弟でしたが、兄が死んだ時に一念発起、仙術を操るできる弟になって復讐する、という話ではないと私は思います。

彼の能力、性格はずうっと変わりません。できることは初めからできていますが、できないことはできません。観音寺では、よくがんばりましたが。

では、まず彼に何ができるのか、それをあげてみましょう。


(1)

セミナーのクラスに、彼は鳥かごにいれた赤いオウゴンヒワをもってきました。

鳥の鳴く声が聞こえて、みんな渋い顔ですが、ひとりだけハイテンションなのが、ウェイン、


「それ、なに」と喜んでいます。

このふたりは悪ガキコンビ、ランジャンがいなかったら、このふたりが親友になるところでしたね。

聶懐桑はこの珍種の鳥をセミナーに来る途中で見つけて、「3日かかって、捕まえたんだ」と言います。

ここから彼は見つけると決めたら、絶対に諦めない性格だということがわかります。


(2)

セミナーで、おみやげを披露する時、金家は品物はおつきがもってきて、嫡男が口上を述べました。

ところが、聶懐桑はさわりの部分だけを述べて、

説明は当時、お付きだった金光瑶にまかせます。彼のほうがうまく説明できるからです。


後ろにいるのが、当時聶家に仕えていた金光瑶です。

聶懐桑は自分にできることと、できないことを知っています。


(3)

セミナーの終り頃、願いをこめて、紙の風船を作り、空に飛ばす場面がありました。

ランジャンをからかったウェインが後ずさりして、聶懐桑の風船が燃えてしまいました。

その時、ウェインは「弁償するから」と言うと、「この紙は一番高価な紙(澄心堂帖)だから、きみには買えないよ」と言います。

つまり聶懐桑には、使えるお金がたくさんあるのです。


(4)

聶懐桑はウェインの誘いには、すぐノリノリになります。

魚を捕るのはウェインのほうがうまかったですが、一度、白黒の鶏を取ろうという話になります。ウェインはすぐに飽きて、トイレに行くとか言って姿を消し、ウェイン義弟のほうは不器用、

でも、聶懐桑は草むらの上を逃げる鶏を追いかけるのですが、それがとても上手でした。

後に、祭刀堂で、ランジャンに追いかけられても、逃げ切りましたよね。ランジャンの追手をかわせたのは、あそこが草むらだったからでしょう。ああいうところを歩くのは大得意です。


(5)

セミナーの時、空にスパイのフクロウを見て、あれは温家が飛ばしていると聶懐桑が言います。どうしてわかるのかとウェインが聞くと、温家の領地の下一帯が、聶家の領地だから、フクロウをいつも見ているのだと答えます。

聶家の領地は広くて、そこにはなど、全部がはいります。乱葬崗、霊堂、義場など、死人関係は全部その領地で、聶懐桑には土地勘があります。


聶懐桑いつももっている扇には、


右が崖下が聶家の領地ではないかと私は思うのですが。

扇の裏面には呪文が書かれていて、危険を感じる時には、それを相手に向けてばたばたと仰ぎます。


(6)

セミナーのあとで、ランジャンとウェインは陰鉄捜しで、清河の町を訪れました。そこで、ばったりと聶懐桑に会います。聶懐桑は勉強嫌いで、セミナーを終えてほっとしたのと、厳格な兄のところにはすぐには帰りたくないので、町で遊んでいたのです。

彼はふたりにくっついて飲食店にはいり、ウェインが得意になって、たくさんのお金を与えて、従業員からが情報を聞くのを感心して見ていました。

ここで、情報収集や拡散の方法を学んだのでした。


(7)

その時、聶懐桑が古詩を詠じるのですが、彼はそれを全部、暗記しています。ウェインが学校では一行も覚えにれなかったのにと言うと、好きなことはできる。きみも同じじゃないかと言います。

聶懐桑は古文に通じていて、たくさんの本を集めているようです。ウェインは図書室でエロ本を見せて、ランジャンを怒らせ破られてしまいましたが、あれも聶懐桑からもらった「美人画本」でした。聶懐桑はそんな本は何冊ももっていると言っています。

彼は本屋によく出入りそていることがわかります。


(8)

それより、何より、聶懐桑はウェインが大好きです。

何でもできるウイン、大ぼら吹きのウェイン、遊びのアイデアをいろいろと考えるウェイン、どの彼も大好き。


聶懐桑は、優等生の貴公子ランジャンは苦手、畏れています。

ウェインがそのランジャンと前夜、すでに戦ったと聞いて、

「ウェイン兄、さすがだねぇ」と感心します。

「さすがだねぇ、すごいねぇ(英語では、You are arrogant)」は何度か聞かれます。

またウェインがセミナーで、先生に反論する場面では、「すごい」とヒーローを見る目つきで見ていました。

そんな大好きなウェインが、崖から飛び降りたと聞いたら、聶懐桑はどうするでしょうか。すぐに捜しに行きますよね。

そして、その落ちたところの地理は、聶懐桑がよく知っています。

でも、みんなが捜しにやってくるでしょう。実際、すぐに江家の義弟たちがやって来たのでしたよね。

では、その前に、ひとりでどうやって見つけたのでしょうか。

いくら地理は知っていると言っても、その領域は広く、彼には仙術がないですからと飛ぶなどということはできず、草むら歩きが得意でも、歩いて捜すには時間がかかりすぎます。

ここで、気づいたことがあります。

一番上のポスターを拡大してみます。


ここに写っている鳥は、鷹でしょう。

ドラマに鷹の話は出てこなかったと思いますが、ここに鷹をのせたわけは何でしょうね。

このドラマを作った人、ところどころにいろんなヒントをいれて、楽しんていますよね。

この鷹を使ったら、誰よりも早く、ウェインを見つけられるでしょう。

では見つけたとして、どうやってウェインを運んだのでしょうか。


(9)

彼の領地には墓や、遺体が捨てられている場所などがあり、また先祖の刀霊が暴れるのを抑えるためら、骨を集めたりしなければならず、そういう墓エキスパート集団がそばにいたことでしょう。


ウェイン達が二度目に、祭刀堂を訪れた時、


そこに、墓エキスパート達がいました。

彼らは人夫ではなくて、ちゃんとしつけられた家来たちで、


ウェイン達が帰る時、祭刀堂の前で、正式な挨拶をして見送っていました。


聶懐桑の捜す力、そこに、墓エキスパート集団がプラスされたら、乱葬崗でウェインを見つけて、どこかに運ぶことができたでしょう。彼らにしたら、遺体を運んだり、墓を掘ったり、埋めたりなんて、お手のものでしょう。

では、聶懐桑はウェインを、どこに運ばせたのでしょうか。

それはドラマをよく見ると、はっきりと描かれていました。

それから赤峰の遺体(胴体)のこともありますよね、それはウェインが死んでから、10年後くらいの話ですが。


(二)


ウェインが不夜天の崖の上から飛び降りた時、聶懐桑が誰よりも早く彼を発見してたというのは 想像に難くないです。

前回に書きましたように、彼には地理感がありますし、墓エキスバードがいますから。

では、ウェインをどこに運んだのでしょうか。

これも、ウェインが住んでいた乱葬崗の一角にある洞穴でしょう。

それはランジャンも、金光瑶も同じ考えで、彼らもじき(3日後)に、そこに到着しました。ランジャンは最初の日に洞窟まで来たけれど、死にそうな子供を連れて帰り、看病をした後に戻り、その入口にたちふさがり、光瑶達を中に入れようとはしません。

金光瑶はランジャン兄とは義兄弟の契りを結でいますから、弟を斬るわけにはいきません。それで、諦めて引き上げることにしますが、すぐにランジャン叔父がやってきて、連れ帰すだろうと言います。


洞穴の前に立っているランジャンと金氏の家来たち。



金光瑶の一行が去った時、


剣を地面につき立てる場面がちらりと出てきます。

オレンジ〇に注目、くぼみがあります。


画面では、これに続いてランジャンが剣をつき立てて、血が流れる手で握っている(剣の)上の部分が場面が続きます。

しかし、よく見ますと、わらのほうに突き立てた剣にはくぼみがありますが、

ランジャンの剣は、たとえば下の写真のように、ドラマで何度も出てきますが、そういうくぼみはありません。


それに、ランジャンが立っているところに、わらはありません。

つまり、ランジャンは洞窟の外に立っていますが、洞窟の中には、別の人がいたということです。

その人が聶懐桑で、彼は3日3晩、ウェインを捜し続けて、ようやく見つけたのでしょう。ウェインは、その時、洞窟の中に寝かされていたと考えられます。

聶懐桑は剣はもたないイメージですが、ドラマの中では3度ほど、もっています。こんなふうに。



外で剣をつき立てたのはランジャン、間もなく叔父がやって来るので、ウェインを助けられない悔しさからです。

中にいた聶懐桑が剣を突き立てたのは、たぶんその時、ウェインが息をひきとったのではないでしょうか。だから、無念の思い。

その時、洞穴には墓エキスパート集団もいましたか、彼の家来たちはみんな刀ですが、聶懐桑だけが剣です、念のため。


ランジャンが連れ戻された後、次の追手が来るまでに、ウェインをどこかに運ばなければなりません。ウェインの遺体は墓エキスパートの手により、どこに運ばせたのでしょうか。

それは、義城でしょう。あそこしか、ありません。

義城は死体を一時置いておくところで、墓ではありません。


義城ではいろいろなことがあるのですが、そこは省略、

さいごに剣霊がここだここだと教えます。

棺の蓋をあげると、なぜか中が空。


蓋の裏側にも、棺桶の内側にも、札が貼ってあり、中にはわらが敷かれていました。

つい最近まで、ここに誰かがはいっていた様子です。

そして、その下にはもうひとつの棺桶があり、

その中には、赤鋒尊の胴体がはいっていました。墓の蓋を外した時、黒煙がもうもうでした。こちらは憤怒の思いで、はいっていた感じです。


では、ここで、ちょっとタイムラインを復習してみましょう。

ウェインが死ぬ  16年前

赤鋒尊が死ぬ    6年くらい前かしら

金光瑶が結婚   1、2年くらい前

莫さんが金家から追放 1、2くらい年前。

ウェインが生き返る  1、2週間くらい前

大体、こんな具合でしょうか。


ですから、ウェインがはいったお棺は、まず最初の10年ほどは土中にあり、

赤鋒尊の遺体がきてたところで、その棺桶の上に載せられた、ということでしょう。

そのことに関てしては次回に書きますが、ウェインの遺体も、赤鋒尊の遺体も、見つけてここに運んだのは、聶懐桑と墓エキスパート集団でしょう。

とにかく、聶懐桑はこの16年間、大好きなウェインに生き返ってほしかったのです。古文書を買って、いろいろと勉強したとは思いますが、それは彼にはできないことでした。

ドラマの中に、悪人だけれど、天才的頭脳の薛洋が出てきますが、彼は 自刃した暁星塵(弱い人のために戦おうと思い、また、親友に両目をあげたりするなど、ウェインとよく似た人物。ただウェインがUnatmedだとしたら、彼はTamed)を生き返らせようと7年ほどがんばったのに、ダメでした。陰虎符があっても。

暁星塵が生き返らない理由は、彼に生き返りたいという霊識がないからだとドラマで語られています。

ウェインも、「もう生きていたも仕方がない」と思って身を投げたので、彼の霊識も閉じられていたので、それを蘇らせるというのは聶懐桑には不可能な話でした。

でも、その方法が莫さんによって見つけられたのは、つい最近のこと、

そして、兄が実は殺されたのだと気がついたのは、ほんの数日前のことです。

つまり、16年間、聶懐桑は義城に通ってお世話をしつつ、ウェインが生き返る日が来ることを願ってきたのです。



(三)


聶懐桑は兄が錯乱して、暴れているところを目撃しています。

そして気絶していて気がついた時、金光瑶は、覇下(赤峰尊の刀)が、その身体を斬り落として、どこかへ行ってしまったと聞かされ、信じました。先祖がそういう死に方をしていたこともあったので、少しも疑いませんでした。

金光瑶は今は金家宗主で仙督ですが、もとは聶家で働いており、あのセミナーの時にはお付きでついてきました。あの時、温氏次男がやってきて、一触即発の事態になり、みんなが剣を抜いたことがありましたが、そんな時、金光瑶は聶懐桑の前にさっと出て、彼をかばいました。


命をかけて守ってくれた金光瑶、

そんな彼を聶懐桑は信頼し、ずうっと慕っています。金光瑶のほうも、彼には優しくて、何でも相談に乗ってあげています。

だから、疑う理由がないのですよね。

聶懐桑は兄の遺体のパーツを乱葬崗のあちこちでを見つけたと思います。

遺体は頭と左手を残して、全部見つかり、墓エキスパートが縫い合わせたのでしょう。そして、義城(一時的に死体を安置する所)に運びましたが、ウェインのお棺を上にしたのは、怒り狂った兄が飛び出してこないためでしょう。

兄が狂死したのではなくて、実は殺されたのだと知ったのはほんの数日前のこと。

それは、ウェインとランジャンが祭刀堂にやってきて、遺骨を掘り出したり、石棺をあけた時の会話を聞いたその時です。


聶懐桑の手です。兄は殺されたのだと、ようやく気がついたのでした。


赤峰尊の剣霊は、そのことを弟に知らせたくて、あちこちに現れていたのだと思われますが、弟はまた先祖が暴れたばかり思い、身寄りのない遺骨を壁の中にいれたりして、先祖の怒りを鎮めていたのです。

また剣霊は金光瑶のところにも出ていはずなのは、彼はやたらと霊を恐れているとこからわかります。観音寺でウェインが「おまえを監視しているのは、人間ではないのかもしれない」と言った時、金光揺は意外なほど、びびりました。


まだまだ続けたいのですが、ブログには文字数制限があるようで、これ以上の記載を拒否されましたので、続きは次回になります。

えー、そんなに長く書いていないと思うのですが、おかしいな。


(四)


ここで聶懐桑がしたことを整理してみます。まずは、

ウェインをすぐに見つけて、洞窟に運び、そのあとで義城に移し、16年間、世話をしていたこと。ウェインを生き返らせたいとは思っていましたが、成功はしませんでした。しかし、ある日、莫さんに会い、ある術で蘇らせてくれるというので(このことについては別に書きます)、ウェインの遺体を莫さんの部屋に運ばせたこと。そして、いよいよ生き返ると知った時、講談師に3日間、ウェインのことを若い世代に語らせ、自分は奥の部屋で聞いていました。(写真①参照)

そして、ウェインが蘇ったことを知った時、講談師に大金をあげて、「これでおわった」という感じで、莫家のほうに、様子を見るためでしょうか、ゆっくりと歩いていきました。(写真②)

それとすれ違いに、ロバを連れたウェインが通りすぎました。ウェインは通りで立ち止まり、腕を見ます。みるみる3つの傷が消えていき、残りはあとひとつ。ウェインは、莫さんが復讐してほしい人というのは誰なのだろうと思います。(写真③参照)


写真①



写真②



写真③


写真は文章の中にいれたかったのですが、いくら試してもできません。今日も、なにか、おかしい。


さて、聶懐桑が、兄が狂死ではなくて、殺されたと知ったのはつい最近のことです。

そのことを知ってからは、彼の行動は迅速です。

金家の集まりの時に、「助けて」と大騒ぎをして、


その間に、光瑶妻に手紙を届けさせます。

また江家の集まりでは、ふたりの女性を送って(金品を与えて)証言させたこと、

光瑶に秘密をばらすという脅迫状を送ったこと。

そして、観音寺での機転。

それにより、金光瑶も、その腹心も死にましたが、聶懐桑が直接手を下したわけではないので、そこらへんはグレーで、彼は咎められません。


では、最初、莫家に剣霊と左手、藍家の叔父を襲った剣霊、ウェインとランジャンを祭刀堂に導いたり、義城を指し示したり、墓をあけさせたり、あれは誰がやったのでしょうか。

それは赤峰尊、つまり彼の霊でしょう。

赤峰尊は、弟が兄が殺されたことにいつまでたっても気がつかない能天気なので、なんとか知らせたいといらいらしています。また純真な弟が、口達者な金光瑶にだまされてしまうことも心配なのです。


あの日も、赤峰尊の剣霊は弟の後をついてきました。


廊下を通りすぎた時、


剣霊の姿がちらりと見えました。


上から何をしているのだろうかと見下ろしています。



そして、机上にあった弟子の剣をかたかたと動かしました。

つまり、これはGPSをつけたわけで、それで彼らが莫家に行った時に、赤峰尊の霊にそこに現れ、莫家の人々が悪いやつらだと知り、正義感の強い彼(左手)が征伐したわけです。

その時、空からやってきたランジャンがも「これは悪霊ではなくて、一流の仙師の剣令」だとすぐに見抜きました。

この時、赤峰尊の剣霊は、このできる仙師(ランジャン)なら、なんとかしてくれるかもしれないと思い、彼の叔父のところに現れたのだと思います。その読みは正しくて、ついに弟に、真実が伝わるのです。


ここで、また字数ストップがかかりました。改行ができなかったり、字が勝手に小さくなったり、消したはずの文章があらわれたり、さまざまな想定外のことが起こって戸惑い多し。何かの呪いでしょうか。

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