第2話 愛の必要性
湿っている路地裏では俺の心を落ち着かせてくれる。うるさい人間も居ないし、動物も生きれないような場所は自分にとっては楽園そのものだ。そう思っていても何も変わらない路地裏でタバコを吸い、今自分は生きていると自己肯定する。
『例え、欲するものを全てを捨てて手に入れたとしても最後に残るのは孤独だけだ』
暗い夜中ぐらいに忍び込んだ図書館で勝手に野宿した時、ふと目に入った自己啓発本のたった一文。
今思い返すとあれは人によって結果は変わると言える。元から全てを持っていたとしたら孤独なんて言葉は生きている内は存在しない。まぁ、だけどそう奴は成功者か石油王とかだと思うけど。
でも俺だって例外の部類に入る。全てを持ってるってわけじゃないけど、全部無くなったから、全部壊れたから、あの日から。
残ったのは傷跡だらけの体と思い出したくない記憶と、
憎しみと復讐しか詰まってない心だけ。
俺に自分の面影はないと思うけど、こうやって自暴自棄する所は変わらない。
「あぁ、気持ち悪くなってきたな」
何処か俺を無くす場所に行きたい。
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ガヤガヤ
「お母さんこれ買ってー!」
「また今度ね」
自分をグチャグチャした自暴自棄を止めさせるために近めの場所にあったやたら綺麗なデパートで自分を再認識しようとしたけど……
『母さんこれ買ってー!』
『………ダメよ』
子供とお母さんらしき人が昔の自分を勝手に重なっていく。
「気持ち悪い、気持ち悪い」ボソッ
あぁ……やっぱり来るんじゃなかった。
ああいうのを見ると羨ましくなる。
こんな事考えてる自分はなんでいるかよく分からない。
”アイツ”はずっと俺になんか愛情表現なんか見せもしなかった。ただ、無機質な瞳で見せてくる表情が無邪気な子供だった俺の首を絞めた。アイツらみたいなオレンジ色の髪、濁ったようなブルーの瞳なんか。要らない、要らない。
アイツらの愛情なんか要らない。
怪物に銃口を ゆらゆらクラゲ @yurayurakurage
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