大金を受け取りました
暫く待って、受付から呼ばれた。どうやら計算が終了したらしい。一体いくらになっているのか楽しみだ。
「翔太さん、こちらが報酬になります。そしてこちらが魔石と素材の買取金額になります」
「え、これ多すぎないか?」
俺の前には金貨、そしてどいいうわけか大金貨までもが置かれていた。
「いえ、間違いありません。今回の特別報酬は金貨で10枚でしたが、それ以外に、翔太さんには特別報奨金として加算がされています。そのため金貨で150枚となっています。そして、こちらですが、素材の状態も良く高値での買取とのことです。また魔石についても単価それ自体は高いわけではないですが、数が多いため総合的な金額は大きなものとなっています。それが合計で金貨350枚です。こちら。枚数が多いことから大金貨でのお渡しとさせていただきました。そして別枠で計算お渡しされました魔石と素材に関しては200枚となっています。ギルドに預け入れることも可能ですが、いかがいたしますか?」
この金額には驚いた。この世界では金貨で10枚もあれば一般的な家族が一か月暮らせるくらいだの金額だ。大体、2,30万円くらいかなと認識している。あれだけの規模の特別依頼に対しての一括報酬と考えればギルドとしても頑張ったと思う。問題はどうして特別報奨金がかなり加算されているんだ。あることそれ自体は不思議でもないけどさすがに多すぎやしないか。
「その特別報奨金多くないか?」
「それだけの活躍をされたということでしょう。街や軍の方からも謝礼金という形で出されているのでこの金額になっているのです」
「は、はあ。そしたら、せっかく大金貨で用意してくれたところ申し訳ないけど、金貨で100枚分くれないか。それから別枠のところから30枚をルナに頼む」
「え? 私にですか」
ルナは驚いている。ギルドの職員は承知しましたといい、準備に取り掛かっている。
「そうだ。これはルナに渡すと決めていたんだ。自分の働きに対しての正当な報酬だな。好きなモノでも買うといい」
「それで金貨で30枚ですか……受け取れませんよ」
そういわれても、絶対に渡すんだ。
「お待たせしました。こちらになります」
「手間かけさせたな」
「いえ、構いませんが、この後、ギルドマスターがお話をしたいとのことなので少々お時間を頂けませんか?」
「ギルマスが? まあ、大丈夫だけど」
ギルマスが話すことなど一つだろう。断る理由もないので承諾した。
それにしても奴隷身分の奴がギルドに登録できないのは面倒だな。ルナのための口座を作ることも出来ないじゃないか。登録は難しいかもしれないが、口座くらいは開けるようにできないだろうか。そうだ、せっかくギルマスという権力者に会うのだからその時に少しお願いしてみよう。それでだめなら仕方がない。
「ありがとうございます。ギルドマスターは4階の執務室におりますのでお手数ですがそちらにお願いします」
「そうか、分かった」
受付でのやり取りも終わったのでギルマスのいる4階に行き、例によってノックをして部屋に入ると、ギルマスは机で何やら書類仕事をしていた。
「よく来たな」
「いえ……それで俺にお話しとは、やはり魔物の大群が急に引き返したことについてですか?」
「その通りだよ。察しが良くて助かる」
やはりその話だったらしい。それ以外に心当たりがないから、もし違う話だったらどうしようかと身構えていた。
「立ったままでは話しをしにくいだろう。そこに座るといい」
ギルマスにソファに座るように促された。ギルマスもデスクからそちらに移動して座った。
「さて、早速だがあの魔法を使う前後で何か異変があったか教えて欲しい」
何か変わったことと言われても、そんなことあっただろうか。思い出してみても、ルナと必死で発動させた記憶しかない。
「必死に魔法を発動させていたので分かりません。それに魔物が引き返したことについてなら、それを直接目撃した者に聞いた方が俺よりも有益な情報が得られると思いますが」
「もちろんそれはこちらも認識しているが、あの時一番近くにいたものの意見も聞いておくべきだろうと考えたのだ」
「そうだったんですか。何か有益な情報を持ち帰ることが出来なくてすみません」
「もちろん責めているわけではない。しかしあまりにも不自然で今までに例のない事態が発生しているのだ。各所に通達を出すにもできる限り情報を集めてから出したいのだよ。正直、今回の一件、誰かが裏にいると考えたほうがよっぽど自然だ。魔物の大量発生、これはまだ自然界でもあるがそれでも今回のは状況が不自然すぎるし、軍隊のような進撃も不可解だ。そして極めつけが翔太の魔法によって引き返したことだ。少なくとも自然にはありえないと推察できる事案が3つもある。これを翔太はどう見る?」
不自然か不自然でないかの2択でいえばどう考えても不自然だ。これは間違いないだろう。しかしあそこまで大量の魔物を操ることなどできるのだろうか。
「魔物を操ることなどできるのでしょうか?」
「召喚魔法というのもあるし、無理やり従属させることは出来るだろう。しかし可能だからと言って、あの大群を操るだけのものであるとも考えにくい。よって、目下そのような方法は分からないし、存在しない可能性の方が高いと言える」
そうだよな。それにギルマスレベルの人間でも不可能だというのならやはり無理なのかもしれない。
「それでも誰かが操っていると考えたほうが辻褄は合いますね。想像したくはないですけど」
「その通りだ。確証がないからこそ困っているのだが。どちらにせよ仮定でしかないし、これだけでは街中の噂話程度の信憑性ということになる。困ったものだ」
「今、悩んでいても仕方ないのでは? こうして話し合いをしても何かを得られるわけでもないのでもう今後得られる情報に期待するしかないでしょう」
手詰まりというところか。
「やはりそれしかないか。今日は貴重な時間を取らせて悪かったな。協力感謝する」
「いえ、それでですねギルマス、少しお願いがあるのですか」
「なんだ。翔太の頼みだから出来る限り協力はするがね」
これでルナのことを頼めるかもしれないぞ。
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