6話 国王への謁見
先に注意事項です!
今までは貴族の名前の表記をルーク=フォン=リュミエールとしておりましたが、これからはルーク・フォン・リュミエールと表記をあらためさせていただきます。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
それでは本編どうぞ!
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王都に到着した。途中門番に少し怪訝な目で見られたが、名前を言って通してもらった。王都に着いたは良いが、この女の子が何処の家の子かが分からない以上送れないんだよな。どうするか?そう思っていると。
「ソフィア様!」
目の前から、ベージュ色の髪に翠眼をした女の人が駆け寄ってきた。
「ソフィア様を離しなさい!」
腰にある剣を抜いて斬りかかってくるかと思ったが、後ろに目的の女の子を背負っているからか、流石にそれはして来なかった。
「元よりそのつもりです」
俺は女性からソフィア様と呼ばれている女の子を丁寧に下ろし、女性に引き渡す。
女性の方もこんなにすんなり解放してくれると思っていなかったからか驚きの表情をしていたが、すぐに女の子を受け取り、背負う。
「1つ聞きたい。貴殿は誘拐犯では無いのか?」
「ええ。そこら辺の事も詳しく話したいのですが、今日はもう時間が無いのです」
「分かった。明日王城にて話を聞きたい。名を聞かせてもらっても?」
何故王城で聞くんだ?と思いながらも名乗る。
「アラン・フォン・リュミエールが三男、ルーク・フォン・リュミエールです」
「私はソフィア様の護衛にして、王国騎士団在籍、ノーラ・フォン・サテライトと申します。リュミエール公爵の子息であったとは知らず、無礼な態度を致しました。ですがこちらもソフィア様の件で気が気で無かったのです。どうかお許しを」
「いえ。それなら仕方がありません。むしろ貴方の様な忠臣を持ててソフィア様は嬉しいと思いますよ」
「忠臣など、その様な人ではありません。私は現にソフィア様を……」
「なら今度聞いてみては?」
「恐れ多いです。ですが勇気が出ればその様に」
「して、王城には明日こちらから向かえば?」
「はい。どうか理解の程を」
「了解しました。では私はこれで」
了解の旨をノーラさんに伝え、家に帰る。勿論、母上、父上、兄上達に「こんな遅くまで何をしていた?」と聞かれ、正直に盗賊退治のことを話し怒られたのは言うまでも無い。
翌日、俺は父上と共に王城に来ていた。父上曰く、昨夜俺が助けた女の子はどうやらこの国の第2王女殿下だったらしい。
なので恐らく事情聴取と陛下への謁見がある可能性があると言われた。
……全然知らなかった。正直転生してからはずっと情報収集や鍛錬をしていたから、同年代の貴族なんてフィオぐらいしか知らないしな。
「ルーク殿! それにアラン公爵も! 御足労いただきありがとうございます」
王城の門の前でノーラさんが待っていた。どうやら案内役らしい。
「いえ、私も関係者ですから」
「陛下のため、このくらいは問題ない」
謁見の間に向かいながらノーラさんがこの後の予定を話す。
「この後は陛下との謁見となっております。謁見とはいっても、陛下と宰相閣下のもとの謁見ですのでそこまで大きな謁見ではありません。ソフィア王女誘拐事件は大事にしていないので事情を知っているのは少ないのです」
「イレーナ王女はこの事を?」
「ご存知です。誘拐された時イレーナ王女はまだ起きておられたので。殿下達もご存知です」
「なるほど」
イレーナ王女とはこの国の第1王女でソフィア王女の双子の姉にあたるお方だ。アリエス王国にはイレーナ第1王女、ソフィア第2王女、ロンド第1王子、アベル第2王子の4人の王位後継者候補がいる。
「着きました。中で陛下がお待ちです」
ノーラさんが謁見の間の扉を開けると、そこには陛下と宰相閣下のお二方がいらっしゃった。俺と父上は陛下の元まで行き、片膝をつき頭を下げる。
「面を上げよ」
陛下の許可が出たので顔を上げる。正面の玉座に陛下が鎮座しており、隣に宰相閣下が備えている。
「アラン公爵は久方ぶりであるが、お主とは初めてであるな。余がアリエス王国12代国王アレク・ロワ・アリエスだ。」
「アラン・フォン・リュミエールが三男、ルーク・フォン・リュミエールです。国王陛下にお目にかかれて恐悦至極」
「これは非公式の謁見だ。そう固くなる必要はない。本題に入ろう。ルークよ、ソフィアを助けてくれて本当に感謝する」
陛下が頭を下げる。それに俺は慌てる。
「あ、頭をお上げ下さい陛下!ソフィア王女を助けられたのは偶然なんですから!」
「だが、その偶然がなかったらソフィアがどうなっていたことか。それに1人の親として礼を言いたいのだよ。どうか礼を受け取ってほしい」
俺は父上に視線を送る。父上は目をつむる。”俺に対応を任せる”と。
「……分かりました、陛下。受け取りましょう」
「ありがとう。それでルークよ。当時の状況を説明してほしいのだが」
「かしこまりました。それではお話させて頂きます。」
そして俺は話す。日課の魔法訓練の帰りに怪しい馬車を見つけたこと。ついていくと盗賊のアジトがあったこと。そしてそこに誘拐されたソフィア王女がいたこと。
流石にシエルの事は話していないが。
「成程な。それにしても事実なのだが信じられんな。まだ10歳のルークが1人で盗賊を壊滅させるとは」
「数も少なかったですし」
「だとしてもだ。話によると相手は中級魔法を使っていたとのことだ。1人で盗賊を制圧するなぞ我が騎士団でも出来るものはそうはいないはずだ」
「買い被りすぎです。騎士団ならこのくらい造作も無いでしょう」
そう言うと陛下は少し困惑したような表情をする。
「アラン、お主の息子は自分の強さが分かっていないようだぞ」
「ええ。私の息子ですから強いのは当然です!」
非公式だからといって親バカを発揮しないで下さい父上。陛下も少し呆れた表情をされている。
「この子にしてこの親ありか。子供の事じゃなければまともなのだが」
まさかの陛下にもそういわれているとは。そう思っていると謁見の間の扉が開いた。
振り返るとソフィア王女と金髪に水色の眼をした女の子がいた。もしかして彼女がイレーナ王女か?
「イレーナ、ソフィア。部屋にいなさいと言っただろう」
「申し訳ありませんお父様。しかし私を助けてくださった方にどうしてもお礼を言いたかったのです」
「私はソフィアを助けてくれた子がどんな子か見たかったていうのが一番かしら。お礼もあるけど」
お二方が俺のほうに近づいてくる。ソフィア殿下が頭を下げる。
「先日は危ないところをお助け頂きありがとうございました。アリエス王国第2王女ソフィア・ロワ・アリエスと申します。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「アリエス王国第1王女、イレーナ・ロワ・アリエスよ。ソフィアを助けてくれてありがとう」
「アラン・フォン・リュミエールが三男、ルーク・フォン・リュミエールと申します。ソフィア王女殿下とイレーナ王女殿下にお会いでき光栄です」
「ルーク様は私の恩人なのです。そんなにかしこまらないで下さい」
「恩人など、私はその様な大層な事はしておりませんよ」
陛下にも言ったが、俺は鍛錬の帰りに偶然救出できただけだ。それにシエルがいなければ気づけなかっただろう。
「いいえ。ルーク様が助けてくださらなければ、きっと悲惨な目にあっていたことでしょう。なのでルーク様は紛れもなく私の恩人です!」
「そうね。ソフィアは貴方に助けられた。それが事実。なら貴方はソフィアの恩人よ」
「……ならソフィア様。せめて様付けは止めて頂けませんか?」
「嫌です!」
「イレーナ様からもどうか説得を」
「諦めなさい。ソフィアはこうなると意地でもそう呼ぶわよ」
くっ!こうなったら陛下に説得してもらおう!そう思い陛下に目配せをするが陛下は首を横に振る。最後の頼みが!
「……分かりました。お好きにお呼びください」
「はい!それとソフィア様はやめてください。ソフィアとお呼びください」
「それは無理です。王女殿下を呼び捨てにするなど」
「非公式の場なら別に構わぬ。元々お主をソフィアの婚約者にしようとも思っていたからな」
「……初耳なんですが、陛下」
「言っておらんかったからな」
「……私には既に婚約者がいるのですが」
「フィオーレ嬢の事だろう。貴族なのだから複数の妻がいても問題あるまい」
「……ソフィア様のご意思は」
「私はむしろルーク様がいいです!」
「……フィオの許可なしには決めかねます」
「フィオーレ嬢の許可は得ているぞ」
いつの間に!?いつ許可を取りに行ったんだ?
「お主たちが来る前に使者をアルタイル家に遣わしていたからな」
「……声に出てましたでしょうか?」
「顔にでとるわ」
「……分かりました。ソフィア様との婚約の件承りましょう」
「ソフィア……ですよ。ルーク様」
「……慣れるまではご勘弁ください」
「……分かりました。出来るだけ早く慣れてくださいね」
こうして俺はソフィア様とも婚姻する事になった。
「後、お主が12歳になって魔法学院に通うようになったら屋敷与えるつもりだからそのつもりでな」
「え?」
どうやら屋敷も贈呈されるらしい。……何故こうなった。
________________________ここまで読んで頂きありがとうございます!
PVも後少しで100を達成できそうなところまで来ていて、読んで頂いた方には感謝しかないです!これからもこの作品をよろしくお願いいたします!
また、新規の方も面白かった。続きが読みたいと思えたら応援コメントやレビュー等よろしくお願いいたします。
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