1話  6年後

この世界に転生してから6年が経った。その間にこの世界について分かった事は


•この世界は俺が死んでから1000年後の世界

•俺がいる国はアリエス王国。初代国王は勇者アリス•クレール

•アリエス王国の他にシュティア帝国、レーヴェ教国、リヴラ森林国、

 クレブス魔国の5ヶ国が存在する。

•リュミエール家は王国の四大公爵家の一つ

•昔に比べて魔法技術がかなり低下している。原因は大気中の魔力が昔に比べるとかなり減っている事


これらの事が分かった。だがそれ以上に気になる事がある。それは


ジーク•レオンハルトの名前がどの書物にも載ってない事だ


これは別に名前が載っているはずだと自惚れているわけでは無い。

そうではなく、勇者が魔王討伐する絵本や小説と言うのが数多く出版されているがその本の中にもジーク•レオンハルトの名前は出て来なかった。それどころか勇者パーティは

勇者 アリス•クレール 

賢者 レイラ•セレスティア

聖女 ルナ•クレシェンテ

剣聖 クレア•フォーサイス


の4名のみとなっている。


「(どう言う事だ?国が俺の存在を消した?だがそんな事可能なのか?

 勇者パーティが出発する時にはかなりの人が見送りに来てたんだぞ?)」


実際勇者パーティを見送るために種族問わず駆けつけてくれた人は軽く10万人を超えていた。目撃者も大勢いたのに1000年後に俺の名前だけが残らないなんてあるのか?

魔法による記憶操作の可能性……無理だな。仮にこの国の国民全員に記憶操作の魔法をかけようとするなら少なくとも昔の大気中の魔力の3分の1は必要だ。

当時のレイラの魔力ですらそれの1000分の1だ。レイラ以上の魔力の持ち主は当時いなかったし、レイラ1000人分の魔力は集められる訳がない。ましてやこの世界全域に魔法をかけるなど不可能と断言できる。

その他にも様々な可能性を考えてみたが、どれも不可能だと判断した。


「(これ以上考えても仕方ないな。有力な情報が入ってからまた考えるとしよう)」


一度考えるのをやめることにし、ベッドに横になったところでドアがノックされ、ドアが開く。中に入ってきたのは俺の専属メイドのイリス・オルテンシアだ。



「ルーク様、イリスです。朝食の準備が出来たので呼びに参りました」


「分かった。すぐ向かう」


ベッドから起き、食堂に向かう。さて今日は何をして過ごすかね。





食堂に着くと既に俺以外の家族は全員席に着いていた。どうやら俺が最後のようだ。食堂には


父 現当主 アラン・フォン・リュミエール


母     エレナ・フォン・リュミエール


長兄    クレイ・フォン=・リュミエール


次兄    ケイン・フォン・リュミエール


の4人が座っている。


「来たか、ルークよ」


「申し訳ありません。遅れました」


「いや時間通りだ。気にする必要はない」


「ありがとうございます、父上」


父に礼を言い自分の席に着く。


「さて、全員揃ったことだしいただくとしよう。エトワール神への感謝を

忘れずにな」



そう言い父が食事に手をつけ始めると家族全員それに続いて食べ始める。


「さて、ルークよ。お前に大事な話がある」


食事を続けていると父から話を持ちかけられた。


「どんな用件でしょうか?」



「お前に見合いの話が来ている」



「見合い……ですか?」



まだ俺は6歳。それなのに見合い話が来るのは早すぎないか?


「そうだ。お相手は四大公爵家が一つアルタイル家の令嬢、

フィオーレ・フォン・アルタイル嬢だ。名前は聞いた事があるだろう?」



「はい。もちろん」


フィオーレ・フォン・アルタイル。四大公爵家の一角アルタイル家の次女だ。そしてアルタイル家が誇る天才令嬢でもある。

ここアリエス王国では魔法師が重宝されている。理由としては魔法師が貴重だからだ。先に述べた様に大気中の魔力が減少している今、魔法を使える人自体が少なくなっている。加えて、魔法には適性が存在する。

基本属性である 火•水•風•雷•土の5属性

特殊属性である 光•闇•無の3属性が存在する。

昔は基本5属性を使える者は少なくは無かったが、今では3属性も使えれば天才だと言われる時代だ。

そんな中でフィオーレ嬢は全属性の適性を持つため天才令嬢と言われている。


「ですが父上、何故私にフィオーレ嬢とのお見合い話が?」



「それがだな、フィオーレ嬢はどうやら今までかなりの数のお見合いの話が来ていたらしいんだがその全てを断っていてな。そのためアルタイル公爵も少し慌て始めたのか向こうからお見合いの話を持ちかけるようになってな。手始めにまず同い年のルークがいる我がリュミエール家からとなったわけだ」



「成程。理解しました。して見合いの日程は?」



「3日後、アルタイル公爵がフィオーレ嬢を連れて来るそうだ。準備をしておけ」



「了解しました」



こうして俺とフィオーレ・フォン・アルタイル嬢とのお見合いが決まった。







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