第6話 【4月下旬】朝日向火乃香と初めての夜(※)

 朝日向あさひな火乃香ほのかの保護者になる決意を固めた矢先。あろうことか、彼女は突然と服を脱ぎ始めた。


 カーディガンとスカートを床上に落とし、ブラウスのボタンを丁寧に外していく。しゅるりと衣擦れの音が響けば、輝く柔肌と黒い下着が露になった。

 シンプルなデザインだが、シルク思わせる彼女の肌には良く映えている。


「な……なにしてるんだお前は! 風呂に入るならず脱衣所に行きなさい!」

「……いいよ、そういうのは」


顔を赤く染め上げ声を荒らげる義兄おれとは対照的に、義妹いもうとは冷えた態度で振り返った。

 スレンダーな体躯にも関わらず、思ったより胸が大きい。着やせするタイプなのだろうか。形の良い胸元にはしっかりと谷間が刻まれている。

 ファッションモデルのようなスタイルに見惚れていると、長い腕がライトスイッチへ伸ばされた。


 ――カチッ。


天井の照明が消えて、窓から差し込む月明かりだけが俺達の姿を映す。


 「明るいの、苦手だから」


薄闇の中に声を震わせ、朝日向火乃香はゆっくりと俺の方へ近づいた。長く美しい足が、一歩また一歩と踏み出される。


 「なにしてんの。アンタも早く脱ぎなよ」

「ちょっ……お前、なに言って――」


暗がりとはいえ下着姿を晒す美少女に、俺は動揺を隠すことも出来ず後退った。だが直ぐに壁が迫って逃げ道が無くなる。俺は壁を擦るようその場にへたり込んだ。

 獲物を追い込んだ肉食獣みたく、朝日向火乃香は無表情のまま距離を詰める。 

 手を伸ばせば触れ合えるほど近く。狼狽うろたえる俺の目の前に膝を付くと、義妹は徐に自分の背中へ腕を回した。


 まるで宝箱を開ける様にゆっくりと、黒いブラが外され乳房が姿を現す。形の良い双丘には、薄桃色の小さな花が咲いている。

 煽情的かつ淫靡いんびなその姿に、俺の意識は混濁する。


「な、なんの真似だお前!」

「決まってんでしょ。今日の御礼」

「おれい……?」


言葉の意味が分からずオウム返しをする俺に、義妹はコクリと首肯した。


 「歯ブラシとかタオルとか、色々買ってくれたし御飯も奢ってくれたから」

「そんなことくらいでお前……自分が今やってる事の意味、分かってんのか?!」

「当たり前でしょ。子供じゃないんだから」


冷静かつ無表情に答え、朝日向火乃香は俺の脚へと手を伸ばした。ズボンの上を這うように撫でる指が、徐々に鼠蹊部こかんへと迫ってくる。


 「アンタにはこれからも世話になるから。こんな体で良ければ、好きに使ってよ」


瑞々しい肌となぞる様に触れる指先に、淡々と放たれる冷たい声。それら全てが俺の理性を打ち崩そうと五感を攻め立てる。


 こんなことはいけない。俺は彼女の保護者になると決めたのだから。義理とはいえ俺たちは兄妹なのだから。


 だが朝日向火乃香は誰が見ても可愛い美少女だ。それも現役の女子高生。ハッキリ言って、こんな機会チャンスは二度と無いだろう。

 おまけに出る所はしっかり出ていて、スレンダーな体躯にも関わらず胸もそれなりに大きい。少なくともよりは。


 いや、何を考えているんだ俺は。いくら可愛いからって、妹に手を出す兄貴が何処どこの世界に居ると言うんだ。

 そもそも未成年に手を出すのはれっきとした犯罪だ。


 だけど、互いが合意していれば問題ないだろう。恋愛に年齢は関係ないし、歳の差カップルなんてゴマンと居る。昭和や平成の時代なんて、女性は16歳で結婚を認められていたのだ。


 だけど、俺にはが……!!


 頭の中で繰り広げられる理性と欲望の小戦争。永久とわとも刹那せつなとも思える間隙の中、決着は突然と訪れた。


 気付けば俺は、義妹の肩を鷲掴んでいた。

 

 ビクリと身を震わせ、朝日向火乃香はそっとまぶたを降ろし唇を差し出す。


 揺蕩たゆたう意識の中で、俺は導かれるように彼女の口元へ顔を寄せた。




-------【TIPS:水城泉希の服薬指導メモ】-------


民法の改正にともなって、2022年4月1日から女性の婚姻可能年齢が16歳から18歳へ引き上げられているわ。同時に成人年齢は20歳から18歳から引き下げられているの。明確にはしていないけど、この御話は令和5年以降の日本を舞台にしている設定で読んでね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る