第5話 駒
学校の昼休み、最近はユアも含めて3人で昼飯を食べるようになった。
「いや~だいぶ戦いも順調になってきたな」
≪ああ、かなり経験を積んで強くなったようだな≫
「当然、私の武器も役に立ってるのよね?」
「もちろん!」≪ああ≫
「ところで内原くんは?最近見ないけど」
「ああタツミか、なんでも新武器の開発に勤しんでるらしい」
「新武器ぃ?そんなことで学校まで休んでんの?」
【タツミ宅】
「(霞ユア、ちょっとセンスがいいくらいで調子に乗って・・・)」
「(俺だって優秀な武器を作れるということを思い知らせてやる!!)」
「うおおおおお!!!!!!」
「まったく、これだから男ってのは・・・」
「ハハ・・・」
「ねぇイマジネーター、怪人たちって何をしようとしてるの?」
≪そうか、ユアにはまだ言っていなかったな。この際色々と話しておこう≫
≪私とシュンが普段戦っているのは”
≪私は想像世界のパトロールを担っていたのだが、ある日突然現実世界へ進攻しようとたくらむ勢力に出会った。≫
「それが怪人たち?」
≪ああそうだ、私は懸命に戦い大半の怪人を葬り去ったが・・・≫
「「が・・・?」」
≪とある怪人に倒されてしまった≫
「そんな・・・!?」
≪奴は自らを”キング”と名乗っていた≫
「キング・・・”王様”か」
「いかにも親玉らしい名前ね」
【想像世界】
「”キング”、ちょっといいか」
「”ビショップ”か、どうした」
「次の戦い、俺を先に行かせてはくれないだろうか」
「さっき”クイーン”が向かうと決まったばかりだろう、なぜそう急ぐ」
「なぁに、ちょっとした気まぐれさ」
「フッ・・・いいだろう、存分に暴れてこい」
≪シュン!敵だ!≫
「分かった、じゃあ行ってくるね」
「先生にはあとで適当に言っとくわ!」
「ありがとう、イメージアップ!!」
『シュン、気をつけてくれ。今度の敵は反応が強い』
『(うん、わかったよ!)』
イマジネーターは反応を検知した地点に到着したが、肝心の怪人が見当たらない。
『ん?何だこれは』
イマジネーターは地面に刺さった棒のようなものに気を取られてしまった。
「シャアッ!!!」突然木陰から怪人が飛びだしてきた。
『何!?ぐあっ!』
「油断大敵だぜ?イマジネーターさんよぉ・・・」
『お前何者だ!』
「俺は”チェーサーズ”の1人、”参天のビショップ”だ!!」
『チェーサーズだと!?まさか怪人を送り込んでいたのもお前たちか!!』
「ご名答、その通りだぜぇ!!」そう言ってビショップは杖を蹴り上げて手に持つ
「ま、無駄話はこのくらいにしておこう」
『そうだな、とっとと倒させてもらう』イマジネーターもペンシルカリバーを召喚して構える。
「ッキャオラァ!!」ビショップはダッシュで距離を詰め、同時に杖を振り下ろしてきた。
『ぐっ!』とっさのことだったがカリバーを構えていたおかげで防ぐことができた。
『(杖ってそう使うものじゃないでしょ!!)』
「オラオラオラオラオラァァ!!!!」ビショップの連撃はとどまることを知らず、とうとうカリバーが乱打に耐え切れず折れてしまった。
『ならば来い!イレイザーガントレット!』
「無駄無駄ァ!無駄なんだよ!!」どこからともなく飛んできたガントレットをビショップは難なく叩き落してしまう。
「お前たちのデータは既に解析済み、つまり絶対に俺には勝てないんだよ!」
『だったらまだやってないことをするのみ!!!』
イマジネーターはナワトビウィップを呼び出すとガントレットに巻き付けた。
『これが新武器”イレイズモーニングスター”だ!!!』
「なにぃ!?」
イマジネーターはモーニングスターを振り回して攻撃する。不規則ながらも重い攻撃にビショップは先程とは打って変わって防戦一方になった。
「(チッ、このままじゃ不利か)」
一瞬で判断したビショップは杖を地面に突き立て土煙を起こし、イマジネーターがひるんだ隙に逃走した。
≪まずいことになったな≫
「さっきの敵、強かったの?」
「うん、これまでとは一段と違う感じだった」
≪パターン化された戦い方は難しい・・・か≫
「さすがに私も戦いのたびに武器を開発するのはちょっと・・・」
「タツミを頼ろう、どんな局面でも戦える武器を作ってもらうんだ」
「いくら内原くんでも、それは難しいんじゃ・・・」
「いいやできる、俺はタツミを信じたい」
【タツミ宅】
「わかった、なんとかやってみよう」
≪頼んだぞ≫
「私も手伝うわ!」
「・・・・いらない」
「え?」
「お前の助けはいらない!!!俺一人でやって見せるんだ!!!!」
そう叫んだっきり、タツミは机に向かってしまった。
つづく
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説明しよう!のコーナー
・チェーサーズ
謎の人物に仕える四人の総称。チェスの駒をかたどったネーミングで、キング・クイーン・ビショップ・ナイトがいる。
・イレイズモーニングスター
ナワトビウィップをイレイザーガントレットに巻き付けることで完成した即席の武器。広大な攻撃範囲と重火力を合わせ持つ。
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