第4話 武
「なるほど、知らないうちにそんな大ごとになっていたのね」
クラスの女王的存在の霞ユアにイマジネーターの存在を知られてしまったシュンとタツミは、一度だけという約束で彼女を仲間に入れようとした。しかし結局押し切られ、ユアはここ数日放課後は彼らと共に行動するようになっていた。
ただいるだけなら2人も適当な理由をつけて追い出すこともできたが、そうできない理由がまた2つ。1つはイマジネーターが思ったよりノリノリなこと、そして・・・
≪なぁ2人とも、ユアが新しく武器を考えてくれたそうだ!試してみないか?≫
ユアが無駄にたくさんアイデアを出し、戦力増強に大きく貢献しているからである。
≪むっ!ちょうど怪人も出たようだ、行くぞ!≫
「久方ぶりだなイマジネーター」
『お前はキリキリマイ!なぜ生きている!?』
「一度は負けた貴殿との手合わせ、今一度願おうか!」
キリキリマイはいきなり襲い掛かってくる。前回より経験を積んだといえど、まだまだ上手く戦えない。
『(どうする!?またエンピツカリバー呼ぶの?)』
『いや、今度は”アレ”を使うぞ、来い!ブンドキシールダー!』
「隙あり!その首もらったぁ!」ガッキィィィン!
キリキリマイが放った剣先には分度器の形をした円盾がそびえ立っていた。
『(さすがシールド!硬いぜ!)』
『今度はこっちからいくぞ!』
イマジネーターはシールダーを2つに割り、アームカッターのようにして戦い始めた
『くらえ!シールダーカット!!』
胴体から真っ二つに切られ、キリキリマイは消滅した。
『新武器の力は偉大だな・・・』
「久しぶりだなイマジネーター!」
『その声はイロハオ!貴様もか!』
「前はアッサリやられちまったが、二度目はないぜぇ?」
いきなりイロハオは腕を生やして殴りかかってきた。最初からフルパワーで戦うイロハオに対し、キリキリマイとの戦いである程度消耗したイマジネーターは攻めに回れずにいた。
『(ここは新武器の出番だね!)』
『よし!来い、イレイザーガントレット!』
イマジネーターの両腕に消しゴム型のガントレットが付いた。
「しゃらくせぇ!」
イロハオが4本の腕を2点に集中させて放ったパンチを、イマジネーターはガントレットで真っ正面から受け止め、なおかつ押し返した。
『イレイザーバースト!!』
一気に距離を詰めて全体重をかけたパンチで、イロハオは再び爆散した。
『(なんか今日の敵おかしくない?)』
『立て続けに現れるのも不自然だが、全て一度倒したはずの怪人・・・復活したとでもいうのか?』
「そのとおり・・・」
いつの間にか目の前に白装束の骸骨が立っていた。
「私の名は”亡霊怪人ドロードロ”、怪人たちを地の底から蘇らせたのもこの私」
『ならばお前ごと地獄に送ってやる!』
イマジネーターはカリバーを振り回し突進するが、ドロードロはふわりと宙に浮いてかわす。
『ならば撃ち落とす!』ズガガガ
メロディランチャーで撃ち落とそうとするが、またもや避けられてしまう。
『(もっと広範囲を捉えられれば・・・そうだ!)』
『なるほど!来い、ナワトビウィップ!』
イマジネーターは縄跳びを片手で持ち、鞭のように振り回す。
「おっと危ない!」シュパァン!
しかし鋭い鞭打もあと少しの所でかわされてしまい、鞭も届かないほど距離を離されてしまった。
「いくら長いといえどもここまでは届かないでしょう!」
『それはどうかな?』
するとイマジネーターはウィップを振り回し始めた。
「全然当たっていませんよぉ~」
『”今は”な・・・』
ウィップを回す勢いは段々と早くなってゆく。
「!?お前何をした!」
『ようやく気付いたか、俺は気流を作っていたのさ!』
ウィップを振り回したことにより気流が生まれ、疑似的に竜巻が発生しドロードロは次第にイマジネーターの方に引き寄せられていった。
「まずい!どんどん引っ張られて・・・」
『イマジネート・・・スマッシャーー!!!!』
至近距離からの一撃を喰らい、ドロードロは消滅した。
『これで文字通り”亡霊”になったわけだな』
『(うまい!)』
「霞さん!新しい武器役に立ったよ、ありがとう!」
≪助かったぞユア≫
「えっ!?いや、どういたしまして・・・」
「どうしたの?」
「あんまりお礼言われるの慣れてなくて・・・」
「意外と純情なんですね、女王サマ?」
ひょこっと顔を出したタツミをユアはキッとにらむ。
「その女王様っての、やめてほしいんだけど」
「ちゃんと名前があるんだから、それで呼んでよね」
言うだけ言ってユアは去っていった。
一方その頃想像世界では謎の男が部下に指示を出していた。
「あれがイマジネーターだ」
「大したことないように見えますが?」
「くれぐれも油断するな、チェーサーズよ」
「はっ!」「御意」「任せてよ」「うむ」
つづく
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説明しよう!のコーナー
・ブンドキシールダー ・イレイザーガントレット ・ナワトビウィップ
ユアがたった数日で仕上げてきた新武器。攻守共に優れており、理論上いかなる局面にも対応できる。これを見てしばらくタツミは落ち込んでいた。
・亡霊怪人ドロードロ
今回の怪人、過去に倒された怪人を蘇らせる能力を持つ。気流に巻き込まれて倒されるシーンは某ゴー〇トライダーのパクリ。まぁ亡霊だし多少はね?
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