幕間 ④

 何者か――少女の持っていた白い何かは、もうすっかり黒くなって闇に溶けてしまった。


 もう何も聞こえなかった。

 怖い声はもう聞こえない。

 優しかった声も、もう聞こえない。


(心地いい)


――憎い――


 そう、この感情が心地いい。


―――憎い――


 もう、この感情を止めるものはない。


 あの白い何かは、一体なんだったのか、そんなことがかすかに少女の脳裏をよぎった。

 あれは希望のはずだった。しかし、流れ星の如く消え去ってしまった。

 そんなことよりも大切なことを、少女は思い出した。

 白い何かがなくなれば、どうなるのかを。


 少女は、これをすでに二回は経験していた。


 絶望が心を満たす。

 復讐が血液となって体を巡る。

 目指すべき場所は過去。


 少女は、蜘蛛となり、夜の闇を疾駆する。


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