幕間
幕間 ③
何者かは、あの日からずっとここにいた。
全てに絶望したあの日から。
闇の中、今まで何者かがしがみついていた白い何かは、もうほとんど黒くなってしまっている。
(これが真っ黒になってしまったら、どうなるのだろうか?)
怖かった。
自分が、自分で無くなってしまいそうで。
(でも、本当にそうだろうか?)
ここにいるのは、とても心地よい。
いっそ光がなくなり、完全に闇と同化してしまったら、もっと心地よいかもしれない。
そんな思いに同調し、白い何かは黒くなっていく。
(そうだよ。だって――)
あの暖かな声だって、ずっと自分を守ってくれたわけじゃない。
今、自分を覆っているこの闇こそが、一番自分に優しいものであるように思えてならなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます