幕間

幕間 ③

 何者かは、あの日からずっとここにいた。


 全てに絶望したあの日から。


 闇の中、今まで何者かがしがみついていた白い何かは、もうほとんど黒くなってしまっている。


(これが真っ黒になってしまったら、どうなるのだろうか?)

 怖かった。

 自分が、自分で無くなってしまいそうで。


(でも、本当にそうだろうか?)

 ここにいるのは、とても心地よい。

 いっそ光がなくなり、完全に闇と同化してしまったら、もっと心地よいかもしれない。


 そんな思いに同調し、白い何かは黒くなっていく。


(そうだよ。だって――)

 あの暖かな声だって、ずっと自分を守ってくれたわけじゃない。


 今、自分を覆っているこの闇こそが、一番自分に優しいものであるように思えてならなかった。


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