第9話 事件整理
「まず、自殺か他殺かを整理しよう」
そう言ったのは椎名だ。
五人は、一階の机に囲んだ形になった。登坂は彼の特等席で、チェアに座っている。
「それは、もちろん他殺ですよ。先程も言ったように、池田さんは人の家で自殺をする意図が良くわからない」
言ったのは真だった。
「池田さん。あれほど熱心に未解決事件のことを調べてたのに、何か手掛かりは掴めたのでしょうか?」
と、田中。
「あれだけ、熱心に本をあさって、見つけたのがどこか違う村の宝の地図だったんだよね。あたしもお金は好きだけど、池田さんも好きだったのかな」
村瀬はお茶を飲んだ後、もう一つ付け加えた。
「そういえば、昨日の夜、ケーキ食べた後、急に眠くなったんだけど……」
「ああ、確かに、俺もトイレ行った後に眠くなった。俺の場合はいつもこのくらいに寝てるから、丁度良かったんだがな」
と、椎名。
「もしかしたら、誰かが睡眠薬を入れたんじゃない?」
「その可能性はあるな。みんなが一気に寝室に行った後に、犯人は眠っている池田さんの首をロープで絞殺した。その後に、自ら首を吊ったようにみせた。ベッドから離れているから自殺にしてはちょっと難しい位置にあるな」
「わざと、犯人は他殺を見せたんですかね」
と、言ったのは真だった。
「ああ、そうかもしれない」
椎名は饒舌になっていた。
「車のタイヤもその後に、抜かれている可能性は高いよね」
と、村瀬。
「そうですね。絞殺した後に、タイヤの空気を抜いた。道具は恐らく大きな釘とハンマー、それだけあれば、タイヤはパンクできます」
と、真。
「しかしなぜだろう?」
椎名は首を傾げた。
「池田さんの発見を警察に報告させたくなかった。報告させないことで、時間を有効に……?」
真はそこで話を終わってしまった。警察に通報させない意味が分からないからである。
「まあ、自殺だった線は無くなるな」
「いや、それはないよ」村瀬は腕組みをして言った。「池田さんがわざとタイヤをパンクさせて。首を吊ったかもしれない」
「しかし、それだったら。さっき言ったようにベッドから飛び降りないと、首が閉まらない」
「足を蹴ればいいんじゃないの? 足を蹴ったら、ベッドの方には引き返せない、そうなると、自殺ができる」
「そういうふうにしましょう。池田さんは自殺したんだって」田中は言った。
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