第6話 魔法とは


 ゲートを入って出たのはコロシアム。辺りは煌びやかに光る宝石で装飾されており、空は黄色に輝いて俺を照らすのと同時にここが異空間だということを分からせてくれる。


「こ、これはまさか異空間石を使ったのか!?」

「そうだ。この前喧嘩をふっかけてきた魔族から奪ってな」


 この世界には人間の他に言葉を話せる種族が多数存在する。その一つが魔族だ。

 

 魔族は人間と非常に敵対的な存在で、その王に君臨する魔王は人間を滅ぼそうとしているという噂もある。

 魔族は空間を操る術に長けており、実際魔族達が住んでいる世界は魔法で作られた異空間であるらしい。この異空間石も魔族が作り出した道具だ。


「ま、魔族を倒したのか!? それに異空間石といえば上位魔族しか持っていないはずだが……」

「そう言えば俺を襲ってきた奴も自分のことを上位魔族だとか言っていたな。弱かったが」

「そ、そうか……あなたは本当に強いんだな」

「稽古をつけてやるのはいいが、まずはお前の力を見せてみろ」

「とりあえず基本的な魔法を使えばいいのか?」

「あぁそれでいい」


 この世界には魔法という概念がある。

 火や水に闇など様々な属性があり、それらを応用することで無限の可能性と能力を引き出せるものだ。

 他には無属性魔法というものもあり、これは実力と才能さえあればかなり自由に何でもできる。俺の浮遊魔法はこれに当たる。


「汝よ。我が使命において悪を滅する炎を与えたまえ……ファイアボール!!」


 クリシアは右手から火球を放ち、それは壁にぶつかり大きな跡を残す。


「ほぉ。まぁ雑魚にしては中々やるな」

「ざっ……これでも私は若手の中ではかなりできる方なのだが……」

「俺にとっては全員雑魚だ」


 一応しっかりアドバイスするべく先程の魔法の撃ち方などから欠点を探し、自己流の魔法を彼女に落とし込めるよう考える。


「というよりあなたは一体何歳なんだ? 見た感じ私と同い年……下手したら年下に見えるが?」

「年齢など関係ない。それよりお前はどうなりたいんだ? 強くなりたいのか?」

「そうだ!」


 食いつくように彼女は強くなるという言葉に反応する。


「私が強ければ……邪悪龍によって部下が殺されることはなかった。私が強ければこんな悲しい思いを他のみんなにさせずに済んだんだ。

 だから私はもっと強くならなくちゃいけないんだ!!」


 死んだ者のためを思い自分を奮い立たす。

 誰かのために強くなりたいというありがちな願い。このような人間は過去に何人も見てきた。だからいつも通りの言葉を返す。


「くだらない!」

「え……は? く、くだらない?」

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