第17話「神々の罠」
人生に期待などしてはいけない
どうせ僕がどう足掻こうと
波風を立てるだけだ
ただじっと
息を殺して
そっと空気になって
時間とともに消える
それでいい
それでいいんだ
だというのに
何故
隣の芝生は青く見えるのだろう
僕が幸せ者を見て
ほんろうされるのは何故だろう
関わるだけ
まどろっこしい
人間関係が付きまとうだけだと
そう、思い知ったはずなのに
あの笑っているあの子は
どうしてあんなに楽しそうに無垢に
微笑んでいるのだろうか
僕が欲しかった現実を
あの子は余るほど持っている
それがどういう造りをしているのか
どう歩めばそうなるのか
それがただ分からなかった
僕にとって人間関係とは
とても難解で
絆や笑みさえも
知り得れなかった
だからあの子が僕にとっては
まぶしくて
その幸せの一部に僕は居ないのだと
そう涙が伝い
ただただ泣き
心に空いた虚しさが
自分には耐えきれず
かといって
話し相手もいなく
僕は全てを一人で抱えて
生きていく他なく
そのあまりに不平等な巡り合わせに
立ちはだかることも出来ず
ただ押しつぶされていく
これが僕の運命ならば
なぜ産み落としたんだと
ただ残酷に朽ちろと
神に仕組まれた罠のように
僕はただ生き惑い
痛みの中で少しでも上手に
受け身を取るほかなかった。
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