第16話「ドラッグ」
どうしてか
世界に馴染めずにいた
どこへ行っても一人で
何をしても否定された
もう死ぬほか
安心できないと
この世界に怯えていた
そしていつからか
カミソリの刃で
皮をそいでいた
だが痛みは感じない
血を見てなぜか
高揚感に包まれた
自分で負わせる痛みが
心地よかった
そうして肉体は腐っていき
うれた果実のように
ただれていた
日増しに自傷行為はエスカーレートし
そのつど血はおびただしいほど流れ
もう傷だらけだった
どうせ生きてるだけ
無駄だと
死んで落ち着きたいと
そう加速する
自殺衝動に
なんの躊躇もなく
ただ死に焦がれた
いつしか
死にたいが口癖になり
取りつかれたように
薬物を注射した
それでも酔いが覚めるたび
凄まじい吐き気を覚え
また薬を多量接種する
身も心もボロボロのまま
衰退し
ただ無常な世界が
この先も延々と
続いていた。
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