第15話「一人祭り」

喪失を抱えた

0時

夜はしけこみ

月がせめて残っている


僕は暗がりを這う

迷い人

自分に価値を見いだせない

そんな流浪人


数ある毎日が

無力な僕を映し

その散々たる恰好が

僕に植え込まれる


芽生える死にたいという感情

肥大化する自己嫌悪


もう成す術のない

すさんだ現実が

猛威を振るって襲い掛かる

痛みはとうに麻痺し


切り落とした心から

毒々しい涙があふれる


この孤独の深夜祭が

日々続き

誰も訪れない

閑散とした

一人祭りが

毎夜続き


どうせ生きる理由もないから

死を祝福して

残った命で闇を研いでいた


この先

生きるか死ぬかという瀬戸際で

何遍も迷うくらいなら

ここでとどめを刺してほしい


ここで、殺してほしい。

もう僕に未来は

あまりにも受け入れがたい

”死こそ最上の幸せだ”


だからどうか

僕をここで終わらせてほしい。

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