第14話「悟り世代」
日々を追いかける者にとって
死とは悲しむものだ
だが僕にとって死は
めでたいものだった
生きてきた
この数十年という
わずかな時間
どこから間違えたのか知れないが
気づけば浮いた存在だった
友は居なく
家族とも仲違いしていた
そうして鬱屈とした
虚無に囚われ
並べれられた机や
朝の号令
帰りの夕日にさえ
吐き気を覚えていた
そうして日々募る
やりきれない無力感と疎外感に
心が揺れ
不幸な方へと落ちていった
そうして蓄積した負の感情に
やがて心臓がきしむ音がして
胸が腹を殴られたみたいに痛んだ
この先、幾多にも連なっている時間が
ただの害悪でしかなく
自然と死ぬほうが楽ではないかと
そう日増しに思うようになり
やがて見ている景色が
高層ビルや電車の線路
そんなふうな死に場所を
追っていることに気づいた
もう、死ぬことに悔いなどない
”生きてる方が後悔する”
そう悟り
僕は死へと今日も流れていった。
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