第10話・攻略組のリーダーとの会談

 デスゲームが開始されたから一週間後。

 ブラストとのレベリングがひと段落ついたみたいで、ルイセは少し虚しさを感じながら別行動を取っていた。


(この気持ちは何かしら?)


 彼と一緒にいると楽しいが離れると胸が締め付けられる。

 その事を感じた彼女はモヤモヤとしながら街の中を歩きつつ、ある人物との待ち合わせ場所に到着する。


「待たせたわね」

「いや、そこまで待ってないぞ」

「ならよかったわ」


 カフェの一室で優雅にコーヒーを飲んでいるドガン。

 少し似合わない感じはするが、周りの目を気にしてないのかドガンは追加のコーヒーを頼んでいた。

 

(来てくれてよかった)


 相手は攻略組のリーダー格。

 気持ち的には緊張しているみたいで、彼女は萎縮する様に椅子に座る。


「メッセージを見て時間を空けたが新しい攻略情報でもわかったのか?」

「うーん、それもあるけど貴方に聞きたい事があるのよね」

「うん? オレ達が持っている攻略情報ならある程度は公表しているだろ」

「いえ、そっちじゃないわ」

 

 ルイセの返答にドガンが不思議そうに思いながらコーヒーに口をつける。


(ペースは崩せたっぽいわね)


 ルイセは相手のペースに乗せられない様に動きつつ、自分の持ってきた内容を口にする。


「ここ最近でウワサになっている事があるわよね」

「ウワサ……確かに何個かは知っているが」

「それよかったわ」


 触りでヒットした感覚を掴めた彼女は、自信がある感じで笑顔を浮かべた。

 

「具体的に何を知りたいんだ?」

「聞きたい事は第一ダンジョンの攻略がどこまで進んでいるかね」

「言ってもいいがコチラになんのメリットがあるんだ?」

「それは、ボス攻略をする時に死神を参加させるのはどうかしら?」

「!」


 この一言でドガンが驚いたのか目を大きく見開く。

 それを見た彼女は笑顔のまま場を制する様に言葉を続ける。


「報酬としては十分だと思うけど?」

「み、魅力的だが保証はないだろ」

「なら追加でコレはどう?」


 ここまではルイセの予想通りだったのか、冷静に次のプランをドガンに提示していく。


(さあ、食いつきなさい)


 ここで食い付けば儲け物だと思っているみたいで、彼女はストレージからお金が入った袋をテーブルを取り出した。


「中身を見ても大丈夫か?」

「もちろんよ」


 ドガンが袋に入ったお金を確認している間、ルイセは余裕そうにコーヒーを飲む。


(に、苦い……)


 ブラックのまま飲んだ為、ルイセは苦味を感じ砂糖が入った容器を手に取りコーヒーの中に入れていく。

 

「結構入っているな」

「ええ、その額ならどうかしら?」

「少し考える」


 ドガンの重苦しい空気とコーヒーの苦味にルイセは内心で困惑するが、表向きは真顔まま冷静に言葉を返す。


(十万エルンで足りそうね)


 これで無理ならもう十万エルンを追加する気みたいで、彼女は内心でドキドキしているとドガンが真顔で頷いた。


「よく集めたな」

「アタシは情報屋だからそれくらい集められるわ」

「ほう……」

(実際はブラストから渡されたんだけどね)


 情報収集の仕事を再開するタイミングでブラストに百万エルンを渡された。

 その事を思い出したのか彼女は困惑するが、今は相手との会談が大事なので記憶の端に追いやる。


「この額なら話しても大丈夫だ」

「! ありがとう。ならまずは……」


 これで攻略系の情報が集まる。

 ルイセは喜びながらドガンとの会話を続け、欲しい情報を集めていくのだった。


 ーーー

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