第3話・今の現状とブラストの気持ち
とりあえず始まりの街に戻ってみたが、プレイヤー達がパニックになっているような。
「本当にログアウト方法はないのか?」
「そんなのオレが知るかよ!」
「外への通信は出来ないの?」
うーん、どゆこと?
周りがログアウト関係で叫んでいるので、ブラストもステータス画面を開いた。
そして設定の画面に移動してログアウトボタンを探すが……。
「なんで真っ白なんだ?」
ログアウトボタンがあった場所には何も残ってない。それを見た彼は……真顔まま一言。
「プレイヤーに声をかけるか?」
今の状況があまり理解出来てないのか、ブラストが比較的落ち着いているプレイヤーに声をかける。
「ちょっとすまない」
「ん? うおお!? おまえさんいきなり声をかけてくるな!
「え?」
声をかけた瞬間、過敏に反応するプレイヤー。
それを見て疑問に思うブラストだったが、相手は深呼吸していったん落ち着いていた。
「ふう、何とか落ちついてきたぜ」
「そ、そうか……。それで周りにいるプレイヤーがログアウト出来ないと騒いでいるが、オープニングセレモニーで何かあったのか?」
「ああ、お前さんは中央広場に来てなかったんだな」
頭を掻くスキンヘッドのプレイヤー。
ブラストは商売NPCが売っている果実水を二つ購入して片方を相手に渡す。
「ん、おお、悪いな」
「別に気にしなくてもいい。それよりも俺がいない間に何があったんだ?」
「それはだな……」
果実水に口をつけながら、スキンヘッドのプレイヤーは中央広場であった事を話し始める。
その内容を聞いたブラストの背中に冷や汗が流れた。
「まとめると、FWCのプロデューサーがデスゲームとほざいた後に粒子になって消えたんだな」
「そうそう! まあ、それでログアウト画面がなくなっている事も言われてプレイヤー達がパニックになっているんだよ」
「なるほど……情報感謝する」
(あのスーツの男性がデスゲームの主催者だったのか)
今更気づいたブラストは、スキンヘッドのプレイヤーから聞いた内容をまとめるため、近くにある宿に向かいゲーム通貨を払って一室借りた。
「マジでどうしよう……」
誰もいない部屋の中、そこでブラストは頭を抱えた。
というよりも、初期ボスと思っていた相手がデスゲーム開催者だとは。
(これって完全にやらかしだよな……)
それにスキンヘッドのプレイヤーはヒントの途中で撃ち殺されたと言っていたな……。
そうなるとスナイパーライフルを持っているとやばそうな気がする。
「とりあえず明日考えよう」
パニックになりそうな気持ちを抑えながらブラストは布団の中に潜り始める。
だが、問題自体は彼の予想以上に広がっていくとはこの時はわからなかった。
ーー
プレイヤーが持つ所持金は最初に貰える三千エルン。
βテスターの場合は追加で二千エルンが貰える。
だが、宿代が最低でも三十エルンかかるので飯代も含めると一日五十エルンが飛んでいく。
そうなると街に籠る場合は百日が限度か?
そうなると外でモブを倒すか、始まりの街にある冒険者の依頼を受けないと限界が来る。
「飯を食わない選択が出来ないのもキツそうだな」
ステータス画面を見ると空腹度が設定されている。
もしこの空腹度がゼロになると、たとえ街の中でも体力が減っていく。
なので最低でも堅焼きパンを買わないといけないので、手持ち的に厳しくなるのは仕方ないところ。
「そう考えていると俺は恵まれているな」
緑色のイモムシは一匹三十エルン+ドロップ素材。
合わせて五十エルンくらいにはなるので二匹倒せれば余裕ができる。
ただブラストの場合、デスゲーム開催者を撃ち殺した時に手に入った五百万エルンがあるので、極端な無駄遣いをしなければ数ヶ月は軽く持ちそうだ。
「とりあえず引きこもるしかないよな」
(今外に出ると俺がやらかしたのがバレるかもしれない)
スナイパーライフルを使うプレイヤーは少ない。
そうなるとブラストが疑われる可能性も高くなるのは明白た。
まあ、そんな感じで本人は宿屋の布団に絡まりながら時間が過ぎるのを待ち始めた。
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