第7話 カンニングペーパーを机に入れたのは俺じゃない!

 僕(佐藤)をいじめてくる竹内と議論の勝負をして勝った方がお互い(僕と竹内)の両方が好きな今田さんとLINEの交換をすることができるという僕達にとっては真剣な勝負をすることになった。議論の勝敗の判定をするのは第3者の今田さんである。

 「ところで議論のテーマは決めたの?」今田さんは言った。

 「まだ、決めてない。」僕は竹内の方をちらっとみてから、今田さんに言った。

 「そうなんだ。じゃあ、何について議論するか決めないといけないね。」今田さんが言った。

 「そうだな・・。」緊張で口数が少ない竹内が返事をした。

 「なるべく、身近なお互いがよく知っているような内容で議論するのが公平ね。」

 今田さんがナイスなアドバイスをしてくれた。

 「何が良いかな・・・。」僕は正直何も思いつかないのでそう言った。

 「じゃあ、テストの時に他人の机にカンニングペーパーの疑いがかかるような紙を入れることは、悪い事なのかっていうのはどう?」

 今田さんはとんでもない事を言い出した。

 僕はその内容で良いけど竹内がその内容で良いと言うわけはなさそうだなと思いながらこう言った。

 「僕はそれで良いけど、竹内くんは、それで良いの?」

 竹内は一瞬いらっとした表情をみせたが、

 「別に良いけど・・。」竹内がなぜか同意した。僕はその理由は正直よくわからなかった。だって、カンニングペーパーをテストの時に僕の机の中に入れたのはたぶん竹内なのだから、その議論の内容で良いと言うなんて予想外だったのだ。


 議論のテーマは決まった。勝負開始である。

 「それでは、今からテストの時に他人の机にカンニングペーパーを入れるのは悪い事なのか議論開始!」今田さんは大きな声で言った。

 すると竹内が言った。

 「ひとつ議論の勝負の前にいいか?」

 「何?」僕は言った。

 「いや・・。カンニングペーパーを佐藤の机に入れたのは俺じゃないぞ。」

 竹内はとんでもないことを言った。しかし僕はすぐ反論した。

 「じゃあ、何で僕の机の中にカンニングペーパーみたいなものが入っているって気付いたの?普通、他人の机の中なんてのぞかないだろ。」

 「そ、それは・・・。」竹内は言葉につまった。

 「ええと。そうだ。思い出した。誰かが佐藤の机にカンニングペーパーを入れたのを見たんだ。」竹内が今、とっさに考えた嘘っぽいことをあわてて言った。

 「普通、それをみていたら最初に言うよね。後から言うってことは今、考えた嘘でしょ。しかもそれを見ていたのならテスト終わった後になぜ僕に「こいつ、カンニングしてるぞ。」ってクラスのみんなに聞こえるように言ったの?発言内容に矛盾しかないぞ。」僕は自信満々に言った。

 「それは・・・。」竹内は何も反論できそうにない。

 「そうね。これに関しては佐藤くんの発言が完全に正しそうね。竹内くん、まだこの話を続ける?」今田さんが言った。

 「いや、これに関しては俺の負けで良いよ。」竹内は力なく言った。

 「話が少し脱線したけど、今から議論の本題のカンニングペーパーを他人の机に入れることは悪い事なのかの議論を始めます。準備は良いですか?」今田さんは言った。

「OK」僕と竹内はこたえた。


(続く)


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いじめられっ子だけど論破王に僕はなる!! かじ(Kazi) @tosi145

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ