SS-2:Diary


四月三日(金)困るくらい晴天


 この日を、私は絶対に忘れないと思う。


 大学生になって最初の授業は、アドバイザーの先生を同じくする面々とのオリエンテーション。俗にいうところの顔合わせで。私が一番に苦手だと思っていて、しかし避けられない時間。


 スポーツも勉強も特別すごいって自慢できるものは何もないし、趣味だって雰囲気のあるカフェ巡りくらい。見た目だって地味で、そばかすばかりの顔はあんまり好きになれない。たぶん、今時の小学生の方がずっとオシャレだ。


 そんな感じで、誇れるようなものなんて何一つもない私。だから自分の番が来るのが怖くて。


 けれど。


あかつき信太郎しんたろうです♪ まだ将来の夢は決まってないけど、夢は世界中の人たちを笑顔にすることです‼」


 元気な声を出したのは、ベビーフェイスという表現がよく似合う男の子。まるで少女漫画から飛び出してきた王子様みたいなだまりの笑顔。


 トップバッターを務めた彼の明るい自己紹介に釣られてか、他の人も気さくな話し方で。それを真剣に聞く彼の姿勢が、その場の雰囲気を良くしてくれて。おかげで私も何とか無難に話せた。でも発表を終える時、彼が白い歯を見せて笑ってくれて、どきりとしちゃって。


 もしかして、この気持ちは……。


南野みなみの光一こういちです。この大学で総合的に学習し、社会に役立てる人間になれればと思っています。よろしくお願いします」


 最後の発表者だけが、冷たい声でそそくさと自己紹介を終えた。まるでぎ澄まされた刃みたいに細い顔。漆黒の瞳に呑み込まれそうになって……怖かった。


 どうしてか、その顔に笑顔なんてなくて。


 こういう空気、苦手なのかな。終業のベルが鳴った途端に教室を出ていって。


 それを追いかけて走り去っていく曙くんの後ろ姿を、私はただ見つめていることしかできなかった。


 本当は、連絡先だけでも聞こうと思っていたんだけどな。





四月五日(日)お出かけにはちょうどいいくもり空


 この黒銀くろかねという街を歩く。


 生まれ育った街だけれども、本当に不思議な場所だと思う。技術の〈革新都市〉と言われるまでになったのに、こうして閑散とした空間だってまだ存在する。


 でも、ガチャガチャとした人通りよりも、こういう静けさが昔から好きだ。


 だからなのかな、賑わうお店より、雰囲気のあるカフェにかれる。コーヒーなんて家にいながらでもボタン一つで出てくるご時世だけど、店員さんがゆっくりとれてくれるのに味がある……気がする。


 何というか、そういう「穏やかに流れる時間」みたいなのが好き。


 そんな理由で、大学生活が始まってしまったというあわただしさより、趣味のカフェ巡りを優先してしまった。


 けれど、どうせ大学生というものになったわけだしと、何か新しい場所を探したくなって。ちょっとだけ遠出してみよう。


 歩き慣れた場所を出てみれば、一匹の黒猫。こっちを見て、そそくさと歩いていく先が気になって。ゆっくり後を追いかける。


 路地をいくつか抜けて。そうして目に飛び込んでくるのは、ちょこんと隅っこに建っている喫茶店。看板には飾らない文字で『風祭かざまつり』とあった。


 初めてのお店だ。


「いらっしゃいませ」


 優しい香りが出迎えてくれた。コーヒーだとは思うけれど、温かで心地いい雰囲気で。日曜の朝だからなのか、全然お客さんがいなかった。


葉音はおんさん、でしたか?」


 カウンター席に座った途端に、いきなり名前を呼ばれて顔を上げた。するとそこには、笑顔を浮かべない同級生の姿。あの南野みなみの光一こういちくんだった。


「ああ、カフェ巡りが好きだとおっしゃっていましたね」


 どういうわけか私の自己紹介の内容を覚えていて。ブレンドでいいですか、なんてくから思わずうなずいてしまった。いや、初めてのお店ならコーヒーを頼むのがいつも通りだけれども。


 差し出されたコーヒーからあふれ出す柔らかな匂いが鼻腔びこうをくすぐる。思わずカップに口づけすると、初めての感覚。口いっぱいに広がるのは確かに苦味。いつもならミルクか砂糖を入れるのに、この後味なら必要ない。


「気に入ってもらえたようで、何よりです」


 やはり笑顔はない。けれど不思議と悪い気はしなくて。むしろ、その眼差しに笑いかけられたみたいで。自然とこっちのほおが緩んでしまう。


 お気に入りの場所が増えてしまった。あの猫ちゃんには感謝しないと。





四月十九日(日)澄んだ心を映すような青空


 喫茶店『風祭かざまつり』。


 すっかり日曜日の「いつも通り」になろうとしているこの時間。それもこれも、南野みなみのくんという人が興味深いことこの上ないからだ。


 年配のマスターさんが定年後の趣味で始めたお店がここで。高校生の頃からお手伝いをしながら、その店主さんにコーヒーの淹れ方を教わったのだとか。


 それにしても美味しい。あのだまり笑顔のあかつきくんがよく口にする「日本一」という触れ込みも、あながち間違いではないのかもしれない。うん、新しくお店を開いてもおそらく繁盛すると思う。もっと広い世界に飛び出せば、きっと彼はすごく評価されるのではないか。


 ただ、そういう話を振ると。


「マスターの淹れるコーヒーには、とてもかないませんよ」


 この一点張り。どうも、先人を立てる礼儀、というだけではないらしい。ただ、そのマスターさんのコーヒーをまだ飲んだことがないから、なんとも言えない。いやいや、こんな良いものを淹れる人を育てたなら、本当にすごいのかも。


 しかし残念ながら、その店主の姿がいつ来ても見えない。だから今日は閉店時間まで粘ってみることにした。どうせ課題のレポートをやりに来たのだもの。お客さんもあんまりいないし、いいよね。


 夕暮れの色が窓から差し込み始めた頃。


「あの……マスターなら今日はいませんよ」


 コーヒーのおわりをそそぎながら、ちょっと遠慮がちな声。講義で討論とかする時には絶対に出さないような控えめな声に驚きつつ。


「この辺、日曜日はほとんど客が来なくて。基本的には平日の休憩時間にサラリーマンが来る店ですから」


 ああ、道理で。こんなに雰囲気のあるお店なのに、どうして人がいないのか不思議だったけれど、納得してしまう。


「今日はマスター、久しぶりに会うお孫さんとお出掛けだそうで」


 肩をすくめる仕草に、不意に可笑おかしくなってしまう。大学にいると怖いくらいの冷たさなのに、ここにいる彼はなんだか温かくて。


 そういえば、大学でも彼と話しているのは曙くんばかりだと思い出す。


「ところで、葉音さんは信太郎しんたろうをよく気にしているようですが」


 その一言でどきりとした。否定すべきかとも思ったけれど、彼の漆黒の瞳には全てを見透かされている気がして、何も返せなかった。


「いえ、別にあいつをどう思ってくれてもいいのですが……あのバカ、鈍感ですから」


 きょとんとしていると、彼がぽつぽつと語ってくれた。


 曙くんとは幼い頃からよく知っている仲なのだと。割と悪口にも取られかねない言葉ばかりなのに。その話をするときの南野くんの表情は柔らかくて。


 結局、そのまま閉店するまで話し込んでしまった。


「送ります。長居させてしまいましたから」


 恋愛シミュレーションゲームの主人公になった気分だった。いや、南野くんと付き合いたいとかそういうわけじゃないんだけれど。私みたいな地味な女にまでそういうこと言う人、見たことなくて。


 店を出たところで、あの黒猫ちゃんがいた。ゆっくりとこちらに近づいてくるその姿は、野良にしては毛並みが良く。けれど飼い猫にしては凛々りりしい感じで。


「久しぶり」


 南野くんが声を掛けると、その足元にそろそろとやってくる。もしかして誰かが飼っているのか、と訊けば。


「時々うちのマスターが煮干にぼしをやるもんで、気付いたらよく来るんです」


 そう言って首元を撫でる姿は、やっぱり飼い猫とその主人みたいで。いつもの通り、笑顔はないけれど。その仕草から優しさだけが伝わってくる。


「触ってみます?」


 そう言われて、恐る恐る手を出してみる。すんすんと匂いを確認され、ちろちろと舌がてのひらの上を踊る。くすぐったかったけれど、すごく可愛くて。


「こいつ、うちのコーヒーの匂いが好きみたいだから」


 彼の言葉でなんとなく納得してしまった。


 たぶん、自分に優しくしてくれる人の匂いを知っているんだろうな。だからほぼ初対面の私が首を撫でても嬉しそうにできるのかも。


 私と同じで、ちょっと不器用な子なのかもしれない。この子が気持ちよさそうにしていると、私も気分が良い。





五月十日(日)ちょっと寂しい曇り空


 母の日。


 けれど両親はいつも通りの海外出張だから、電子メッセージを送るだけ。あっちは忙しいんだから、仕方ない。


 そうだ、おばあちゃんに何かお土産みやげでも買っていこうかな。帰り道、どこか良いお店はあったかと考えてみる。ううむ、思いつかない。


葉音はおんさん、良かったら……これ」


 コーヒーと一緒に差し出されたのは、可愛い包み。明るすぎないくれないのリボンなど、どことなく大人の女性向けに用意しましたと言わんばかりで。


「母の日だから焼いたんだけど、ちょっと作りすぎたから。良かったら……」


 日曜日だというのに空席だらけの店で声を殺して語りかけてくる南野みなみのくんの様子に首を傾げつつ、とにかく受け取ってみる。


 中身はクッキー。包装越しにもわかるほど、綺麗に焼けている。言われなければ手作りと気付けなかっただろう。


 礼を言ってから、一つをそっとつまみ上げる。口に入れるとサクッと小気味こきみいい食感。そしてほんのりとバターの風味。シンプルでいて、しかし盤石ばんじゃくの美味しさ。彼の淹れるコーヒーと同じで、優しい温かさが伝わってくる。


 そんな気がして、ちょっと嬉しくなって。ついつい、笑みがこぼれてしまった。


「良かった……」


 そうつぶやく声に顔を上げると、さっときびすを返した彼の背中が見えるだけで。


 もしかして、笑っていたのかな。なら、その表情を見られるのが照れ臭いから隠したのかも。そんなことを想うと、彼がとても可愛らしい人に思えた。もっと笑ってくれればいいのになぁ。


 帰り道、あの黒猫ちゃんがいたので近づいてみる。どうも南野くんと一緒に会った時のことを覚えているらしく、あんまり警戒されていないみたい。


 そっと頭を撫でる。あったかい。


 いいな、猫。


 でもこの子、飼い猫にはならなそうな顔してるなぁ。そんな気がする。





五月十七日(日)お生憎あいにくの雨


「やあ、いらっしゃい」


 いつも通りにやって来た喫茶『風祭かざまつり』には、いつもの顔はなくて。


 マスターさんとおぼしきおじいさんが店番をしていた。けば、南野みなみのくんは珍しく体調不良で休みだとか。


 細面ほそおもてだから余計に不健康そうな南野くんだけれども。いないと、割と寂しいもので。そのとき不意に、前々から疑問だったことが口をついて出てきてしまった。


「え? どうして光一こういちくんが笑わないかって? そうかぁ、まだ聞いてないのか……」


 困ったように笑う高齢の店主さん。タイミングを見計らったように、ドアが開く。


「光一の代理で来ました! ああ、葉音はおんさん、こんにちは♪」


 傘立てに水玉模様を一つ押し込んで、いつも通りの笑顔をしたあかつきくんが現れた。


「ねえ、信太郎しんたろうくん? この子、光一くんの友達だろ? 彼の表情のこと言わない方がいいのかい? ほら、デリケートな問題だし、本人以外が勝手に言っちゃ悪いかなぁ」


「え? 光一、葉音さんに話してないの? よくお店に来るって言ってたのに?」


 驚いた顔の彼に、逆に驚かされた私は何とかうなずいて。


 考え込むようにうつむいている彼は、少ししてから顔を上げて。


「うん。言ったらダメって言われてない!」


 自分に言い聞かせるようにそう口にした彼は、私に向き直って話し始めた。いつものほがらかな笑みは見えなくなって。そこには真剣な眼差しだけがあって。


「光一はね、お父さんとお母さんがいないんだ」


 何を言われたのか、よくわからなくて。けど、すぐに母の日にもらったクッキーのことを思い出して。そのことを口に出すと。


「ああ、それはボクのお母さんのことだよ。光一はうちに養子として来たから」


 養子縁組というやつか。そんなのドラマでしか聞いたこともなかったが。そこに至る経緯を、曙くんは説明してくれた。


「光一はね、乗っていたバスが事故を起こして。横転した勢いで漏れ出したガソリンに引火したせいで、大きな爆発になったんだ」


 携帯端末でその時の事件の記事を見せてくれた。私がまだ五歳の時だ。彼が浪人などしていなければ、同じ年齢のはずで。


「たまたま開けていた窓から放り出された光一は助かった。助かったんだ、けど……」


 歯切れの悪いと思った空白の一瞬は、奥歯を噛み締めるための瞬間だった。


「お医者さんの話だと、その時のショックで笑顔を浮かべられなくなった、って……」


 いつも笑っていた曙くんの瞳には、大粒の涙。それでも泣くまいと耐えている姿は、見ているこっちの方が苦しくなるほどだった。


「あれからずっと、光一は笑ってない……。誰に優しくされても、誰に優しくしても。笑えて、ないんだ……」


 お医者さんは、いつか何かのきっかけで治る可能性がある、と言ったらしい。心の問題だから、と。


 けれど、来年には二十歳になるだろう彼が、今まで一度も笑っていないなら。


「だからね、ボクの夢は世界中のみんなを笑顔にすることなんだ。いつか、光一も笑えるような日が来るようにしたい……。その日を、絶対に諦めたくない……」


 曙くんがいつも笑っている理由が分かった気がした。


 笑うことができなくなった友達のため。


 親友と呼べるほど近しい誰かが笑ってさえいれば、いつか笑える日が来るかもしれないという「未来」のため。


 単なる理想かもしれない。こんなの、綺麗事ですらないのかもしれない。


 けれど、その想いがあの陽だまりの笑顔の源で、それで周りを優しい気持ちにしてくれるのなら。


 きっと、いつか……。





五月二十四日(日)モヤモヤを絵に描いたような曇り空


「いらっしゃいませ」


 いつも通りに昼過ぎにお店に行くと、ちゃんと南野みなみのくんがいた。


 大学でも同じ講義で顔を合わせていたけれど、あんまり話せなくて。できるなら落ち着いて話したかったから、ここで会えてすごく安心した。ご家族のこととか、人の多いところで話したくないはずだと思って。


 けれど、彼はどこか沈んだ表情で。まだ体調が悪いのかと尋ねると、彼は小さく首を振って。


「実は今朝ここに来るとき……あの黒猫が息を引き取りまして」


 驚いて理由をくこともできない私に、彼がぽつぽつと話してくれた。


 どうもき逃げだったらしくて。南野くんが来た時にはもう息をしていなかったと。それでマスターさんにお願いして、店の裏に埋めてあげたのだとか。


 今日くらいは休めばいいのにと、つい口にしてしまった。彼はそんな言葉にも、ただ小さく首を振って。


「いつものことだから。大事にすると、必ずこぼれ落ちる……」


 その言葉が、幼い頃に亡くした家族のことなんだと思い当たる。


 もし、自分だったら。


 あんまり会えないけれど、両親のことは嫌いじゃない。たまにしか会えないからか、ひどい溺愛できあいぶりで。それが嫌だったこともあるけれど、今は悪くないって思えている。


 だから、その二人が突然に死んだと告げられたら。想像しただけで、恐怖で足が震えてしまう。


葉音はおんさん、大丈夫ですか……?」


 そんな私を気遣ってくれた彼に、身勝手に話してしまった。


 彼が笑わない……笑えなくなった理由を勝手に聞いてしまったこと。秘密にしていたわけではないとあかつきくんは言っていたけれど、それでも知ろうとしてしまったこと。


 正直に言えば、私が抱えきれなかっただけだ。身勝手もここまでくると、ひどいクズの極みだと自嘲するしかない。


 自分で知りたいと言っておきながら。いざ知ってみると、もうどうしていいのかわからなくなって。


「あいつが勝手にやったことだから。葉音さんは悪くないから。気にしないでくれ」


 そう言ってくれた彼に、しかし私は首を横に振った。


 想像したことを話す。自分の両親は海外で仕事をしていて、ほとんど会えないこと。バス事故のことを聞いて、もし両親が帰りの飛行機や現地で事故に遭ったらと考えてしまったこと。


 もし今、二度と両親に会えないという現実を突きつけられたら、と。


 黙って聞いていてくれた彼の瞳は、初めて会った時と同じようだった。くろい闇が渦巻いて。きっと嫌な記憶を思い出しているのだろうと、それで苦しんでいるのだろうと、そんなことしか思えなかった。


 こんなときに迷惑なことを言ってごめんなさい。


 私には、そう謝ることしか、できなかった。


 気づけば、うつむいた私の瞳から落ちたしずくはテーブルを汚して。


「ごめん」


 その言葉と共に、私の視界を青いハンカチがさえぎった。まるで悲しいことがあったときに見上げる青空みたいに綺麗な色で。


「オレも、笑えないのが……つらい」


 見上げた彼の顔。ひどく強張こわばって、小さく痙攣けいれんもしていて。


 けれどぐに私を見つめていて。


「でも、泣いている人を見ている方が、もっとつらい……」


 その言葉で、やっとわかった。彼は優しいんじゃない。優しすぎるんだ。


 誰かが泣いているだけで、彼も泣き出しそうな表情になる。知り合ってほとんど時間も経っていない自分みたいな女にも、こんな顔をするくらいには。


「オレはもう笑えないかもしれない。でも、葉音さんみたいな優しい人が笑えないのだけは、嫌だから……」


 その言葉に、また泣いた。


 帰るときには、私は何とか笑っていて。対する彼の表情は、確かに笑ってはいなかったけれど。


 そこには間違いなく、彼の優しさからくる温かみがあった。


「もし良かったら、あの猫をとむらってやってください」


 その提案に、いつの間にか大きくうなずいていた。


 私をこの店に導いてくれた黒猫のお墓。小さな石を積み重ねて作られた墓標の前で、二人してしゃがみこんで手を合わせた。


 私が目を開けると、そこにはまだ目をつむったままの南野くんがいて。


「生まれ変わったら今度は幸せになってほしい、と。そんなことを祈っていました」


 話してくれたのは、輪廻りんねという考え方。


 両親をうしなって、義理の父に教わったそれは、命は生まれ変わるという希望。だから、供養くようする気持ちと新しい船出を祈ればいい。


 その考え方、ちょっとセンチメンタルだと思う。


 けれど、彼にはどうしようもなく似合うとも思えてしまった。


 その切なげな瞳、今にも壊れてしまいそうなその横顔を、笑顔にできたなら。




 これから、いっぱい幸せな時間を過ごして。


 そうして曙くんが望む「いつか」には、きっと。




 君にも、笑ってほしいな。

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