EP03~梅雨空の花嫁~
EP03-零:仮面と微笑
死体。
すべての生命に等しく訪れる「死」を迎えた身体である。
男はそれを美しいと思った。
「二番、駄目です」
「四番も〈
「九番、復元に失敗。廃棄します」
男の耳に届くのは、緊張しきった声だけ。
そこには、
なんて不完全なのだろうか。人知を超えた〈
この〈組織〉も、理想に至ることはないようだ。
そんな風に男が諦めて、腰を上げる。近場にいた何人かがまだ待ってほしいと頼んでくるが、聞いている時間さえ惜しい。こんなところにいても意味がない。
そう言い放ってやろうと口を開いた瞬間。
「成功です! 十三番‼」
白衣の男たちが歓喜の声と共に沸き立つ。ついに研究の成果が実を結ぶ。その可能性が見え始めたという希望。
同時に、誰かの希望を握り潰したという快楽。そんなものが男の脳裏を
「これで計画は前へ進めそう、ということでしょうか?」
男の問いに、科学者たちは我先にと肯定の意をもって
その様を見つめる口元には笑みを浮かべながら。舞踏会にて身に着けるような仮面の下からは、二つの瞳に冷酷の色を
「さあ、〈実験〉を始めましょうか!」
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