第7話 それぞれ交錯するもの

「さて、次は、矢田さんね」

 と、独り言を言ったりなは、さっきまで一緒だった、草薙に対してとはまったく違う顔を、次の客で作らなければいけなかった。

 そう、

「りな」

 としての、この店での本当の顔である。

 ただ、

「この店の」

 というだけで、本当の顔というわけではない。

「つかさ」

 としての顔は、とっくの昔に捨ててきたのだ。

 実は、矢田は前の店からの知り合いだった。つかさとして勤めてから、店を辞めた時、つかさは、風俗嬢を引退するつもりだった。

 昼職もあったので、そっちに専念するつもりでいた。どうしてかというと、

「今ここでこの業界から引退しなければ、このままズルズルと、年を取ってまで、この仕事しかできないということになってしまう」

 と思ったことだった。

 別に風俗嬢が嫌だというわけではなく、いわゆる、

「プライドが許さない」

 という感覚だったのだ。

 ボロボロになってまでしがみついていくというのは、アイドルとしての自分には、許せないものがあった。

 つかさの頃は、店で輝いている自分を、まわりから感じさせられることが嬉しく、まるで、地下アイドルのステージに上がっているようだった。

 別にメジャーデビューしなくてもいい。自分だけを見てくれる熱狂的なファンがいてくれれば、それだけで満足だったのだ。

 そんなつかさには、昔からの、

「童貞キラー」

 という武器があった。

 草薙も、その恩恵にあずかったわけで、さらに、今度の客の、矢田宗次郎というのも、同じように、最初の相手は、つかさだったのだ。

 矢田の場合は、風俗嬢一人に嵌るということはなかった。

「飽きが来る」

 という草薙とは違って、ある意味まったく正反対であり、

「またぐるっと回ってくるかも知れないが、次の相手は、必ず変えるようにする」

 というのが、矢田のポリシーのようなものだった。

「飽きが来てしまうことを嫌う」

 というわけではない。

 ただ、

「毎回違う相手の方が、楽しいじゃないか?」

 と、矢田は完全に、風俗というものを、

「遊び」

 として、割り切っているという感じだったのだ。

 それは、どうしても、裕福な家庭に育ったことで、

「金銭感覚」

 というものが、マヒしているからではないだろうか?

 昔の貴族や成金などは、お金を粗末にすることがステータスとでもいうかのようではないだろうか?

 成金などの風刺画を見ると、

「どうだ、明るくなっただろう?」

 といって、芸者が玄関で足元が暗かったので、履物を履けないのを見た成金の紳士が、百円札(現在の貨幣価値として、30万円)を、燃やして照らしてあげたというものであった。

 しかも、実はそれは一枚ではなく、何と、札束だったという。

 この話は、実話だというからすごいではないか。10枚の束だったとしても、300マ円である。サラリーマンの年収だとしても、不思議のない金額ではないか。

 そんなことを考えると、さすがに、その風刺画ほどではないにしても、風俗遊びを楽しむくらいの余裕はある家に生まれついていたのである。

 金銭感覚がおかしくなったとしても、無理のないことである。

 だからなのかも知れないが、

「次に抱く女は違う女で楽しみたい」

 という思いが強いのだ。

 つまり、

「今の女もよかったけど、次の女はもっといいに違いない」

 という、

「絶対的なプラス思考の考え方を持っている」

 といっていいだろう。

「プラス思考」

 という考え方があるために、自分が金持ちに生まれたことを、

「選ばれた人間なんだ」

 と信じて疑わない気持ちにさせるのだった。

 独裁者や、支配者階級、さらに、領主などというものは、自分を、

「選ばれた人間」

 ということで、正当化しておかないと、どこかで鬱状態に陥ってしまうかも知れないということを危惧している。

 もし、一番しっかりしなければいけない自分がそこで崩れてしまうと、誰も助けてくれる人はいないわけなので、自分が頑張るしかない。

 その思いが、

「選ばれし人間」

 ということを自分に信じ込ませないと、感覚をマヒさせてでも、すべてを守るということなどできっこないと感じたのだ。

 その考えが、

「俺のように選ばれた人間が生き残るためには、誰かを犠牲にしたって、それで、その人の生きた証が証明されるのであれば、その人は浮かばれるというものだ」

 という考え方も出てくる。

 要するに、

「世の中を助ける自分が生き残らなければ、世の中に未来はない」

 と言えるのではないだろうか?

 それを考えると、

「世の中は、この俺の存在で動いているんだ」

 というところまで考えてしまう。

 ただ、まだそれは妄想でしかない。実際の独裁者ともなれば、ある意味、バカではやっていけない。かつての独裁者と言われた

「ヒトラー」

 も、決してバカだったわけではない。

 戦争の途中から、無謀な作戦を強硬したりするイメージが強いので、そう見られがちだが、実際には、かつての英雄と言われた、

「ナポレオン・ボナパルト」

 の研究などは結構していたようだ。

 だが、考えてみると、ヒトラーの失敗も、ある意味、ナポレオンの失敗を絵に描いたかのように再現したものではなかったか。

 つまり、無謀な独ソ戦に持ち込み、ナポレオンが超えられなかったロシア帝国の、

「冬将軍」

 を、今度はソ連の、冬将軍として、同じように、超えようとしたというのは、どこか矛盾しているようだ。

「ヒトラーは、気が狂っていた?」

 と言われても仕方がないだろうが、少なくともヒトラーが独裁者になったというのは事実であり、圧倒的な国民の指示を受けていたというのも事実である。

 ナチス党が第一党になり、独裁政権を築けるようになるまでのヒトラーは、れっきとした、

「天才だ」

 と言えるのではないだろうか?

 ヒトラーは、部下を信頼し、部下からも慕われる、そんな政治家だったのが、どこかで何かが狂ったことで、独裁者となり、研究してたはずのナポレオンの同じ道を進むことになったということであるわけなので、想像が許すのであれば、

「ヒトラーは、ナポレオンの霊に取りつかれてしまっていた」

 といってもいいかも知れない。

 天下を取ったり、独裁者になるには、

「悪魔に血を売る」

 というような伝説を聞いたことがある。

「ナポレオンの霊に、ヒトラーは血を売ったのであないか?」

 と言われても仕方がないだろう。

 そうなると、ヒトラー自身がナポレオンとなり、同じ轍を踏まないとも限らないということだ。

 ナポレオンの霊も、

「時代が変わった今度こそ、宿敵ロシアを服従させなければいけない」

 という、この世の未練を、ヒトラーに託したのかも知れない。

 もっとも、このようなオカルト的な話を、

「誰が信じるというのか?」

 と言われても仕方がないだろう。

 しかし、実際に事実を冷静に分析すれば、ヒトラーとナポレオンの類似点や共通点は多いのかも知れない。

 少なくとも、二人とも、

「英雄になりたかった」

 ということに違いはないだろう。

 だが、ナポレオンは、英雄と言われるが、ヒトラーを英雄視する人はまずいない。これは世の中の一番の悪いところである、

「勝てば官軍、負ければ賊軍」

 と呼ばれる所以であろう。

 戊辰戦争だってそうではないか。新政府が力で江戸幕府を倒すことで、圧倒的な力を持ったかのように示し、実際には、一部の藩だけで、新政府を動かしていこうというのが、あからさまだった。

 しかも、明治初期を題材にしたアニメなどにあるように、

「新政府は、それまで、新しい時代を作るためという理由で、どれだけの人間を暗殺してきたかということ」

 である。

 スターリンの大粛清、ヒトラーのホロコースト、毛沢東の文化大革命と、大量虐殺が行われてきた。

 だが、二つの世界大戦、それに付随する各地での紛争、朝鮮戦争からベトナム戦争に至るまで、無数の大量虐殺が、罪のない市民に浴びせられてきたが、言われているそのほとんどは、

「敗戦国」

 によるもので、それが連合国にとっての、

「プロパガンダ」

 であるということは、証明されているではないか。

 実際に、ベトナム戦争でも、共産軍やゲリラによる大量虐殺は報道されてきたが、アメリカや韓国軍などによる大量虐殺や強姦事件など、専門的な本にしか載っていなかったりする。

 これこそ、

「勝者の理屈」

 であり、プロパガンダに使えるものは使い、知られてはいけないものは、必死で隠そうとする。

 それが、今の民主主義という世の中である。

 民主主義は平等、自由が基本なので、

「多数決」

 であったり、

「金がある者が勝者」

 として、身分差別はないように見えるが、お金のあるなしで、差別が起こっているというのが、事実である。

 だから、帝王学でも、

「お金が正義だ」

 などと言われているのかも知れない。

 特に矢田という男は、生まれつき、人を信じやすい方のようなので、プロパガンダや教育を受けて、それが自分の正当性だと感じると、

「お金を使うのが正義だ」

 と考えるようになった。

 しかも、使ってあけることで、相手も潤い、こちらは、

「それくらい痛くも痒くもない」

 と思うのだから、感覚がマヒしてくるのも当たり前というものだ。

 そんな、矢田は、一人の女性と結婚した。その女性は、家族が選んできた相手で、彼女もある意味、裕福な家庭であったが、どちらかというと、

「成金的」

 なところがあった。

 裕福な家庭であれば、別に焦ることもなければ、余裕を持っているのが当然だと普通は思っている。しかし、成金出身ということになると、まわりに対して、

「一時たりとも、油断はできない」

 という思いを持っている。

 相手が、成金というと、下に見てしまうということは、分かっているようだった。

 だから、彼女は、矢田家に嫁に入った時点で、覚悟はしていたことだろう。自分が下に見られても、我慢しなければいけないということをである。

 それは、親からも言われてきたが、さすがに矢田家ほどの裕福なところともなると、少し大変であった。

 ソープで童貞喪失というのも、ある意味儀式のようなものだった。

 屋敷に呼んで、童貞喪失の儀式をしてもよかったのだが、お店に行きたいというのは、宗次郎の希望だった。

「絶対に、そういうお店には行ってはいけない。家の品格に傷がつくから」

 というようなことは、なぜか矢田家にはなかったのだ。

 むしろ、風俗店を、裏では経営していて、大っぴらではないが、学生時代の宗次郎も、そのことは知っていたのだ。

 そういう意味で、自分の家が裏で経営しているという店にも、一般客として入ったことがあった。

 完全なお忍びだったが、それがまた楽しかったのだ。

 そんなある日、いつものお忍びで店に行き、何となく気になっている女の子を指名した。モザイクが掛かっていて、ほとんど顔は分からなかったが、どこか懐かしさがあり、

「今まで、手が届きそうな感じなんだけど、結局手が届かなかった」

 というものが、目の前にぶら下がっている気がしたのだ。

 その女を指名して見ると、何と、その女が妻の綾子だった。

 お店では、

「なごみ」

 という源氏名で、そう、この女こそ、草薙につかさを紹介した、あの

「なごみ」

 だったのだ。

 普通であれば、会うことはないだろう。女の方もモニターでチェックするだろうし、店の方も、矢田の顔を知っているはずだからである。

 しかし、ちょうどその時、待合室のモニターが故障していて、マジックミラーでしか確認できなかったので、彼女には、それが夫だとは分からなかった。

 さらに、受付のボーイは、入ってから数日という新人だったので、男が矢田宗次郎だということを知らなかったのだった。

 そんな偶然が重なって、二人が遭遇することになった。

 二人は慌てたことだろう。特に綾子の方は、立っていられないくらいに動揺したに違いない。

 しかし、矢田の方は、すぐにショックを取り戻し、普通に客として接してきた。それが、綾子には耐えられないほどの時間だったのだ。

「どうして、何も言わないの?」

 という思いが強かった。

「分かっているんでしょう? 私だって」

 と思いながらも、無言のうちに、プレイに入った。

 そもそも、お店に来て、無口になるということが皆無だった矢田は、遊び慣れているのだから、無口でされるがままだったということは、実際に今までにはなかったことであった。

 綾子は、何とか地獄のような時間を、呼吸困難で気絶しそうになりながらも耐えたのだった。

 どうして耐えられたのか、自分でも分からなかったが、綾子はその時、大きな決断をしたことに間違いはなかった。

 ただ、それからそんなに日にちが経っているというわけではなかったが、一人の男性の他殺死体が、早朝の工事現場から発見された。

 それが、矢田宗次郎だというのは、すぐに分かったのであった。

 矢田が殺されていることを電話で聞かされた奥さんの綾子は、慌てて、現場に向かった。そこは、時々買い物の帰りに通りかかる場所で、場所には見覚えがあったが、旦那の通勤コースではないので、そのことを、警察に告げた。

「ということは、旦那さんはこのあたりの土地勘はなかったということかな?」

 と刑事が聞くと、

「ええ、なかったと思います。ところで主人は殺されたんでしょうか?」

 と綾子が聞くと、

「ええ、残念ながらそのようですね。ナイフのようなもので胸を刺されています」

 というではないか。

 警察の方とすれば、もう少し分かっていた。抵抗した跡がないということで、不意打ちを食らわされたか、顔見知りの犯行ではないかということであった。ただ、不意打ちにしても、一発で心臓を一突き、即死だったことを考えると、狙いすましての犯行だと思えるので、

「顔見知りの犯行」

 という方が可能性は高いということであった。

「ところで、奥さん。旦那さんが誰かに殺されるような何かがあったとかいうことを聞いたことはなかったですか?」

 と聞かれて、

「いいえ」

 とこたえながら、何かを思い出すように考え込んでいた。

「そんなに些細なことでも構いません。おっしゃっていただければ、事件解決につながるかも知れません」

 と刑事は言った。

「実は」

 と綾子は一瞬口をつぐんだが、

「警察の方が調べればどうせすぐにわかるんでしょうが、これは、ここだけのお話にしておいてくださいね」

 というので、刑事も、

「それは心得ています。我々には守秘義務というものがありますからね」

 というので、

「実は私、OLの傍ら、風俗にも勤めているんです」

 という。

 二人の刑事がもっと驚くかと思ったが、リアクションの薄さにちょっと拍子抜けしたが、

「そうですか。それは、どういうお店ですか?」

 と聞かれたので、

「ソープランドです」

 というと、

「なるほど、では、デリヘルなどと違って、女の子に送迎があるわけではないので、退社時間とかになれば、ビルの表で待ち伏せして、そこからストーカー行為というのもできるわけですね?」

 と言われた。

「ええ、ラストまである日は電車やバスもなくなっているので、送迎をお願いしますが、昼に入る時は、普通に夕方終わるので、通勤ラッシュに紛れる形で帰りますね」

 というと、

「どういう服装で?」

 と言われ、一瞬、ムッと来たが、

「普通の、いや、目立たない感じと言ってもいいかも知れないですね。アイドルだって、普段はお忍びのような恰好をしているでしょう? あんな感じですよ」

 と、わざと語気を強めたのだった。

 刑事は、それでもお構いなしという感じで、

「なるほど、やっぱり、分かっていれば、尾行できないわけではない。しかも、尾行も、ラッシュに紛れていれば、奥さんに分からないようにつけることもできる」

 という。

 刑事は、捜査のつもりで簡単に話しているが、本人にとっては、

「いくらでもストーキングができるんだ」

 といって、いたずらに怖がらせているだけではないか。

 旦那が殺されて、怯えている奥さんにいう言葉ではない。

「これが、市民の平和を守る警察官だと言えるのだろうか?」

 と、綾子は、軽く睨んでいた。

 脅かすようなことを刑事が言ったのは、一種の含みであった。

 奥さんの話が終わった後、刑事二人が話をしていたが、一人の刑事が、

「辰巳刑事、あんなに露骨にいうと、奥さんビビっていたじゃないですか」

 というと、辰巳刑事は、ニコリと笑って、

「新野刑事、私はわざと含みを持たせた聞き方をしたんだよ」

 と言った。

 辰巳刑事は、ここの所轄では、ベテラン刑事で、新野刑事は、まだまだ新人なので、新人教育も兼ねて、辰巳刑事のペアには、新野刑事を組ませることにした。

 刑事というのは、捜査においては単独行動はしない、テレビドラマなどで、よく主人公の刑事が一人で飛び回っているのを見るが、あれはドラマだからできることなのだ。

 ドラマであっても、よく上司が、

「単独行動はいかんず」

 といって、いさめているシーンをよく見る。

 それに、警察というところは、捜査方針が決まれば、それに従って行動する。それができない刑事は、捜査から外されたり、ひどい時は、謹慎させられたりするというものだ。

 新野刑事が不思議に思うのは無理もない。それだけ、辰巳刑事の詰問は、ひどかったのだ。

 しかし、刑事課でも皆から一目置かれている辰巳刑事が、いきなり、意味もなくあんなことをいうわけはない。何か含みがあることは、新野刑事にも分かったが、その内容まではまったく分からなかった。

「まさかとは思いますが、あの奥さんを疑っているんじゃないでしょうね?」

 と新野刑事がいうと、

「まあ、いきなり疑うということはないのだが、奥さんが風俗の仕事をしていて、旦那がどういう気持ちだったのかというのも知りたいと思って、奥さんがどういう態度に出るかというのを図ってみたんだよ。少しやりすぎたかも知れないとは思ったけど、奥さんは、少なくとも、何かを隠しているような気がするんだよ」

 と辰巳刑事が言った。

「どういうことですか?」

 と新野刑事が聞くと、

「確かに、奥さんが風俗の仕事をしているということは、すぐに警察が捜査すれば分かることだと思うんだけど、あの奥さんは、ためらいもなく、我々が聞きもしないのに。すぐに自分が風俗嬢だと空かしただろう? あれは、向こうも何かを探ろうとしてではないかと思ったんだよ。だって、風俗嬢をしているなんて、今ここでいうと、警察から予期していない質問を浴びせられるに決まっている。普通はそれを怖がるものだと思うんだ。そして、次に警察が来るまでに、どう答えていいかの模範解答を作ったり、何か事前工作くらいはしているものだよな。だから、奥さんは、犯人や犯人には近い存在ではないが、奥さんが何かカギを握っているような気がしたので、少し挑戦的になったんだよ。もっとも、あの態度は、警察に対しての挑戦に思えたので、それに乗ってやったといってもいいかも知れないな」

 といって、辰巳刑事は笑った。

「なるほど、最初のお互いの探り合いということですね?」

 と新野刑事がいうと、

「まあ。そんなところかな?」

 と、辰巳刑事が笑いながらいった。

「だけど、まだ、初動捜査に過ぎない今なので、これ以上、余計な詮索をすることはできないと思って、途中でやめたんだけどな」

 と、辰巳刑事は続けた。

「じゃあ、捜査本部に戻って、状況を報告するために、少し、このあたりの聞き込みをしておこう。正直、目撃者も、さらには、これだけ暗いと、防犯カメラにも、分かるようには映っていないでしょうね。犯人も目立たない恰好でくるだろうし」

 と新野刑事は言った。

「そうだな、捜査本部がすべては決めることだから、我々はまずできることだけだな」

 と辰巳刑事は、そう言って、二人で、そのあたりの目撃者を探してみたが、この短い時間で見つかるわけもなく、防犯カメラも借りてくることができたが、

「まあ、犯人が写っていても、特定は難しいだろうな」

 と辰巳刑事は言った。

「しょうがないですね。とりあえず、できるところだけやることにしましょう」

 と新野刑事がいうと、

「少しだけ聞き込みをして、捜査本部に戻ろう」

 ということになったのだ。

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