第3話 再会

 プレイルームは、最初、ちょうどいい明るさかと思ったが、受付前のカーテンを捲ってから、部屋までが異様に暗かったことで、中に入ると、

「助かった」

 と思うほどの不気味さが感じられた。

 これは、きっと店側が演出で考えた、

「マジック」

 のようなものではないだろうか?

 調度を調整し、女性の顔がうっすらとも分からないほどにして、声だけで真っ暗な中にいるという、不安を募りながらも、彼女の方も、甘えてくれていることで、

「自分がしっかりしなければ」

 という気持ちも心の隅で湧き上がってくるような気持ちにさせることで、今度は、男の方が、少し気を強く持てる。これが、彼女の甘い声とマッチして、

「早く顔を見たい」

 という気持ちを起こさせ、その暗い空気が、大いに湿気を帯びている感覚にさせることで、声をさらに隠微な雰囲気にさせるのだ。

 しかも、女の子の声がか細かったり、吐息のようなものがあれば、効果はてきめんであり、部屋に入るとすでに、気持ちは高ぶってしまっているのだ。

「助かった」

 と感じるのは、その湿気が、あまり長いと、半減してしまうことで、適度な時間は必要になり。そう感じることが、部屋に入った時の興奮を、さらに高める効果になるのだろう。

 そして、やっと部屋に入ると、開けた世界になるのだ。

 この感情は、中学時代、軽い躁鬱症の気があったので、感じることであった。

 両親が死んでしまったことで、親せきがリアルに自分のことを話している。自分の感情はそこにはなく、あくまで大人の事情が影響してくるのだった。

 そのことが、草薙少年の気持ちを、

「人間としての感情」

 をマヒさせることにつながった。

 感覚がマヒすると、どうやら、鬱状態に陥るようだ。

 その期間がどれくらいだったのか分からないが、鬱から躁になり、また躁から鬱になるという期間を繰り返す時期があったのは憶えている。その中で。躁状態の期間がどれほどだったのかまでは覚えていないが。鬱状態だけは、

「大体、2週間くらいだろうか?」

 ということは意識としてあった。

 なぜかというと、

「鬱状態から抜けるのが、自分で分かるからだ」

 と感じたからだった。

 鬱状態から躁状態になる時に感じるのは、

「俺が今鬱というトンネルの中にいて、今そのトンネルと抜けようとしている」

 というのが、分かるのだ。

 それは、トンネルの先に明かりが見えて。それがどんどん広がっていくのが分かるからだ、

 鬱状態のトンネルでは、本当のトンネルのように、黄色いハロゲンランプがついている。そのランプを抜けていくかのように鬱状態を走っていると、それは、自分が、

「その場にとどまっているわけではなく、先に進んでいる」

 ということを分かることで、眠くなるのを避けるためなのが、トンネルの中での、ハロゲンランプの効果ではないかと思っている。

 鬱状態でも同じで、

「そのまま襲ってきた睡魔に負けて眠ってしまうように感覚がマヒしてしまうと、本当は抜けるべき鬱状態からの出口が開いているその瞬間に間に合わず、永遠に鬱状態から抜けることができないのではないか?」

 と感じてしまい、

「実際に抜けられない」

 ということになってしまうと、それは、

「自分が悪い」

 ということになってしまうのが恐ろしいということであった。

 それを考えることで、この真っ暗な世界を、鬱状態であるかのように、錯覚してしまったのだろう。

 そんな鬱状態のようなトンネルをくぐると、そこに待っていたのは、

「雪国」

 ならぬ、つかさだった。

 ということを思うと、

「ここは、国境の長いトンネルだったということか?」

 と感じたが、まんざらでもないような気がした。

 なるほど、確かに、今までいた世界とは違う、天国へといざなってくれる人と一緒に潜るトンネル。そこに何が待っているかということであった。

 それは、鬱状態から躁状態へ抜ける時と同じであないか。

 そう思うと、身体が、次第に宙に浮いてくるような気がしてくるのだった。

「何事も、自分にとって初めての瞬間を通り抜ける時というのは、そういうものなのではないだろうか?」

 と感じさせられた。

 トンネルを超えて入った部屋に明かりを感じたのは、そういう意味で無理もないことだった。

 しかし、目が慣れてくると、それほど明るい部屋ではないということに気づくと、少し現実に引き戻された気がした。

「彼女は恥ずかしがり屋で、明るくするのが嫌なのかな?」

 と感じた。

 すると、初めて会った相手の、初めての風俗嬢であることで、完全に相手が主導権を握るのは、手に取るほどに明らかなはずなのに、自分の中で、

「本当にそれでいいのか?」

 という思いがこみ上げてきた。

 それは、自分の中にある、S性というものが目を覚ました、いわゆる、

「覚醒した」

 といってもいい瞬間だったのかも知れない。

 部屋に入ると、彼女はそんな草薙の気持ちが分かっているのか、何も言わせないかのように、いきなり、唇を塞いでくる。

 絡めてくる舌を感じていると、トロンとした気分になり、身体の力が一気に抜けていくようだった。

「明らかに、主導権は自分にある」

 と言いたいのだろう。

 だが、長めのキスが終わって、ベッドに座り、ある程度の会話が済むと、そこには、気まずい雰囲気が漂った。

 今度は、草薙の方から、相手の唇を奪いにかかる。

「あぁ」

 と、身をよじって反応するつかさだったが、主導権を握られたくないと思ったのか、今度は必死になってしがみついてくる。お互いに上半身は裸になっていたので、身体が完全に密着していた。

 少ししかない空気をさらに圧迫しようとしがみついてくるつかさだったが、途中から草薙も負けていない。

 抱きしめた時に、思わず、

「あぁ」

 という声を出させようと、必至になって抱き寄せる。

 今はこの瞬間が、至高の悦びだったのだ。

 そんな草薙の唇から最初に離れたのは、つかさだった。話した口からは、

「はぁはか」

 という吐息が聞こえた。

「吐息というのは、これくらいの薄暗さが一番いいのかも知れない」

 と思うと、

「薄暗くてもいいのではないか?」

 と感じるようになり、

 最初に感じた、

「報復」

 という気持ちが萎えてきたしたが、そもそも、サディスティックなところがある草薙は、あくまでも、相手を蹂躙するための言い訳というか、

「免罪符」

 を手に入れていたのだろう。

 その気持ちを、今、つかさを抱きしめながら、感じていたのだった。

 その時、何を話したのか覚えていない。身体を無性に求め合っていたというのが本音であろう。

「相手も、こちらを求めてくれている」

 と感じたのは、童貞の贔屓目だったのだろうか?

 いや、明らかに、演技ではないと思いたい。それは、逆に、自分が彼女に嵌ってしまったことから言えるのだと思ったのだ。

「自分が嵌ったのは、つかさが、俺に対して必死にしがみついてくれて、そこまで女としての悦びを覚えてということを感じたからだ」

 と思った。

 相手が自分に対して、

「愛している」

 という気持ちを表してくれないと、

「俺は相手を好きになれないんじゃないか?」

 と感じていたからだ。

 それまで、彼女ができなかったのは、あくまでも、自分から行くのではなく、

「好きになってくれた相手に対して自分がその気持ちに答えるということが、この俺の気持ちの第一歩なんだ」

 と考えるからだった。

 つまり、主導権が相手にあるということを免罪符にして、あくまでも、モテているという自分をさらに演出したいという思いからであろう。

 彼女が欲しいというのは本音であるが、それには、最高のシチュエーションが必要だということを自分で納得する必要がある。そのために、今まで彼女もおらず、必然的に、童貞だったわけだ。

 そういう意味で、

「童貞を捨てる相手は、本当なら、絶対に。彼女でないといけないと思っていたはずだったのに」

 という思いが強かった。

 それなのに、どうしてことなのか、本当に好きなのか分からない相手である。

「いや、好きになってはいけない相手」

 というべき相手に、童貞を奪ってもらうということは、自分のポリシーに反しているのではなかったか。

 もちろん、性風俗営業を、斜めの目で見ていたわけではない。あくまでも、

「好きになってはいけない相手だ」

 ということでの、

「住む世界の違い」

 を感じていたのだった。

「好きな人が、高校時代にいなかったのか?」

 と言われればそんなことはなかった。

 どちらかというと、ストライクゾーンの広い自分だったので、無意識にでも好きになった人を入れれば、かなりの数だったような気がする。

 だが、告白はおろか、つき合うという想像、いや、妄想ができなかったのだ。

 誰を好きになるというわけではなく、逆に、

「誰か一人が気になると、同時に他の誰かも意識してしまう」

 という不思議な感覚があった。

 それは、自分の中で、

「一人の人を好きになってはいけない」

 という、何か自分の中に不思議な、

「免罪符」

 のようなものを持っていたということではないだろうか?

 そんなことを考えていると、

「ひょっとすると、性風俗で知り合うような女性が、ひょっとすると、一番自分を魅了することになるのではないか?」

 と漠然と感じた。

 そして、風俗に通っているうちに、そんな彼女たちが、まるで、アイドルのような存在に感じてくると、自分の気持ちに間違いがないように思えたのだ。

 それは、まるで、

「アイドルに群がるオタク」

 のような感覚で、自分はその中でも、

「地下アイドル」

 に陶酔しているファンに近いものがあると感じた。

 それは、熱血さという意味で、きっと、それだけ、相手に近い存在であるということを認識しているからではないだろうか?

 アイドルというと、どうしても、自分を過大評価しようとする人も多いのだろうが、それはあくまでも、

「人に負けたくない」

 という意識が強いのは、逆に、

「ファンを大切にする」

 ということの裏返しではないかとおもうのは、贔屓目に見ているからだろうか?

 風俗嬢というのも、アイドルと同じで、いや、それ以上にランキングは給料や指名の数に影響してくるので、もっと切実なのかも知れない。

 ただ、風俗嬢だからと言っても、普通の女の子、どんな事情で風俗嬢になったのかというのは、それぞれなのだろうが、今では昔と違って、

「借金のため」

 などというよりも、

「お店を持ちたい」

 などという目標を持って、その目標金額を少しでも稼ぐために、若いうちにお金を貯めるということで働いている人も多いのではないだろうか。

 だから、一番困るのは、

「身バレ」

 ではないかと思う。

 もっと切実な問題もあるのだろうが、

「身バレの場合の方が、とりあえずの問題としては大きいだろう」

 と言えるのではないだろうか。

 お客さんとして入ってくれた人と、お店の中だけでの疑似恋愛を楽しむというのは、男としても、満足のいくもので、正直、

「料金が高い」

 と思っている人は多いだろうが、それでも、

「お金を払ってでも、疑似恋愛をするのがいい」

 と思う客も少なくない。

 だからと言って、その客が、

「まったくモテない」

 というわけではない。

 奥さんがいたりしても、お気に入りの女の子がいたりすれば、男性は行ってしまう。

 逆に、一人に嵌る客もいれば、いろいろ変える客もいる。

 女の子は自分をアイドルと思っているとすれば、たくさんのお客さんと触れ合うことを望んでいるかも知れない。

 もちろん一人の、人が何度も来てくれるのは嬉しいだろう、しかし、

「たくさんの人が、自分を求めている」

 と感じたいとすれば、それこそ、アイドル気質のようなものなのかも知れない。

 その時、草薙は、つかさのことをどう思っただろう。

 確かに、彼女は童貞の筆おろしに、それなりの貢献があるのだとすれば、それだけ、たくさんの童貞を相手にしたことになるので、

「本指名よりも、新規の客の方が多いかも知れない」

 と思うかも知れないが、草薙は、最初に相手にしてくれた、つかさが、

「柄にもなく、忘れられなくなったんだよな」

 ということであった。

 確かに、最初に相手にしてくれた人に嵌ってしまうというのは、よくあることであったが、

「確かに、彼女のテクニックに中毒性になったというのは、否定しないが。それよりも、一緒にいることで癒されるという思いが強いんだよな」

 と思っていた。

 それを感じると、

「今、風俗に嵌ってしまう男性は、女性のテクニックというよりも、非日常な癒しを、いかに与えられるかということが大切だ」

 ということを感じているのではないかと思うのだった。

 草薙は、その日から、一か月に一度の割合くらいで、つかさに通うようになった。もちろん、彼の給料では、それ以上短くすることは不可能だった。

 それでも、つかさは、そんな彼に健気さを感じたのか、草薙は知らなかったが、つかさの中では、

「特上の客」

 というランクを、彼女の中でだけ、与えられていたのだった。

 半年くらい通ったであろうか?

 最初の数か月は1カ月が待ち遠しく感じられ、しかも、彼女の方も、

「会いたかった」

 といつも言ってくれて、それだけで、嬉しかったくらいだ。

 もちろん、お客さん相手のリップサービスなのかも知れないが。それでも嬉しいのは、自分がつかさに嵌った証拠なのか、それとも、風俗に嵌ってしまったからなのか、最初は分からなかった。

 元々、自分でも、普通の性欲ではないと思っていた。

 性欲が強いとか弱いというよりも、

「異常性癖ではないか?」

 という感覚であった。

 高校時代から、制服が好きで、

「フェチ」

 という感覚ではないかと思っていたが、先輩に連れられてこの店に来るようになってからは、

「お姉さんのような人に、癒しを与えてもらうのがいい」

 と思うようになった。

 そういう意味で、最初に相手をしてくれた、つかさに嵌ったからそうなったのか、それとも、こういう性癖であることに、つかさが気づかせてくれたのか、そのどちらであっても、少なくとも、風俗というよりも、最初は、

「つかさに嵌った」

 といってもいいだろう。

 つかさという女性が、自分に合うと思った先輩の目利きは、結果的に間違っていなかったということであろう。

 そういう意味で、先輩は自分がつかさに嵌っていることも分かっていて、今はそのことについて何も言わない。

 もし、何かまずいことにでもなりそうなら、先輩だったら、きっと何かをいうに違いないと思うのだった。

 しかし、先輩からは何かを言ってくることはなかった。

 見舞っているというわけでもなく、こちらを大人だということで、詮索もしなければ、気にもしていないということであろうか。

 あのお店には、

「先輩に連れて行ってもらった」

 ということでもあるので、

「先輩の顔に泥を塗るわけにもいかない」

 という意識はあるが、自分だって、社会人として、自分が働いた給料できているので、必要以上に気を遣う必要もない。

 先輩は、とにかく、レールを敷いてくれただけだったのだ。

「つかさという女性以外に、他の女性を知らないから、他の女性に入るのは怖い」

 という気持ちがないわけではなかった。

 また、相手が風俗ではない、

「他の女性がいいのではないか?」

 という思いもないわけではない。

 だが、今のところ、

「俺はつかさがいいのだ」

 と信じて疑わない自分がいた。

 少々大げさだが、それほど、つかさにも、風俗というものにも染まっているのかも知れない。そういう意味では、

「風俗遊び」

 という言葉は、あまり好きではなかった。

 本人とすれば、

「これは遊びではない。真剣になってはいけないのだろうが、決して遊びのような気持ちでもないのだ」

 と言いたかったのだ。

 確かに、真剣でなければ、遊びなのかも知れないが、真剣でなければ、絶対に遊びだという考えは嫌いだった。

 その間にある、

「ニュートラルのような気持ち」

 そんなものがあってもいいのではないかと考えるのだった。

 つかさだけを指名して、約半年ほど、同じ店に通い続けた。1カ月に1度の割くらいなので、大体6回くらい通い続けただろうか。

 そのうちに、正直、飽きが来たのだ。それは彼女の人間性に飽きがきたわけではない。正直彼女の身体に、飽きがきたのだ。

「彼女が風俗嬢だから?」

 と理由なのかということを聞かれれば、

「半分は正解だ」

 と言えるだろう。

 なぜなら、彼女との間には、金銭的な契約があるからだ。

「お金で時間を買う」

 と言えば、アッサリしすぎているかも知れないが、その通りである。

 確かに、彼女の身体だけが目的ではないといいながら、その身体に飽きが来てしまったのだから、お金がかかるということは、どうしても、足が遠のく理由にはなる。

 逆に遠のいたとしても、それは仕方のないこと。

「お金がかかる」

 と言えるからだ。

 逆にいえば、

「じゃあ、つかさが彼女だったら、同じように離れていくだろうか?」

 と言われると、これも正直難しい問題で、つかさを最初から、

「お金で結ばれた関係」

 という意識があったので、ある意味逆に続いたのかも知れない。

 草薙は、今年で25歳となったが、あれから、6年くらいが経っている。

 その間に、彼女がいた時期のあった。好きになったから付き合ったのだが、長続きはしなかった。

 3人とつき合ったのだが、そのうちの一人とは、自分から別れを言い出して、後の二人は相手からだった。そして、そのうちの一人は、

「あなたのことがよく分からない」

 といって離れていったのだ。

 もっとも、最初につき合った相手から離れていったのは、草薙の方で、彼は理由を言わなかったが、内容は、2人目の彼女から言われたその言葉だった。

 もし、これを最初の彼女が知ったら、きっと、

「因果応報ね」

 と言われるかも知れない。

 草薙はそれでもいいと思っていた。自分でも、

「自業自得だ」

 と思ったからだ。

 最初の彼女とつき合い出したのは、つかさの店に行かなくなってから、3カ月目のことだった。

 別に、

「誰かとつき合いたい」

 という意識があったわけではない。

 ただ、彼女もいないように見え、いつも一人でいる草薙を不憫に思ったのか、会社のパートさんが、知り合いの女の子を紹介してくれたことから、交際が始まったのだ。

「僕は女性とつき合ったことがない」

 と最初に告げていたので、彼女の方もそのつもりで付き合ってくれた。

 だが、彼女と初めて身体を重ねた時、きっと意外に思っただろう。きっと彼女は、草薙のことを、

「童貞だ」

 と思っていたからだろうが、実際に身体を重ねてみると、オンナを知っているということを直感したのだろう。

 その日から、彼女の態度が少しずつ変わっていったのだ。

 どのように変わったのかというと、そこはハッキリとは言えなかったが、変わったというよりも、どこか、我に返ったかのように思えた。

 草薙には、

「これが彼女の正体だ」

 と感じたことで、だから、自分が、彼女を作りたいと思わなかった理由がここにあると、再認識したのだった。

「これだったら、お金の関係だといっても、風俗嬢が相手の方が気が楽だ」

 と思ったのだ。

 つまり、

「ちょっとしたことで、感情が揺れ動き、そのたび、精神的に相手の気持ちを気遣ってあげなければいけないことお億劫だ」

 と考えていたのだ。

 だから、恋愛には向かないと考えるようになったのだろう。

 そんな草薙だったが、風俗通いはやめたわけではない。もっというと、彼女がいて、交際期間中でも、風俗には通っていた。

「彼女と風俗とは違うのだ」

 と考えていたが、その中に、

「風俗を遊びだ」

 と考えていたのではないか?

 つまりは、

「遊び」

 ということを免罪符にして、通い続けたという意味で、風俗を遊びだと思っている人のことを、悪くはいえないと考えるようになった。

 そんな時、偶然、行った新しいお店で入った相手が、つかさだった。初めての店であったし、源氏名も違い、当然、数年経っているので、宣材写真も違う。まったく違う女性に見えたのだった。

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