第3話
形が明確になっていき、三つの目が鎖に巻かれたように描かれた黒く染まった本に変わりそのまま手に取った。
従魔職専用SS級装備【
SS級装備【人魔の黒書】はムクロが持つメイン武器の一つであり、攻撃力は皆無だが所持するモンスターに能力を追加する装備スキルを持つ。
ムクロは〈神の魔眼〉を【人魔の黒書】に使い装備スキルの確認を始めた。
【人魔の黒書】レアリティ:SS級
〈絶対従属〉:ボスモンスターの従魔不可無効。〈契約〉・〈テイム〉の成功確率を50%追加(使用回数一日一回)
〈人化ノ術〉:従魔モンスターの人化が可能(人化によるステータスの変化はない)
〈従魔天職〉:従魔モンスターに【転職の書】の使用が可能であり職業のスキル習得、使用が可能(レベルアップ時のステータス上昇は従魔モンスターとして扱う)
〈従魔武装〉:〈従魔天職〉を使用したモンスターに限り職業に応じて武器の装備が可能(防具、装飾、特殊は装備不可)
「装備スキルの方は問題ないか······後は従魔モンスターの方か?」
俺が持っている従魔モンスターのレベルとスキルは大体覚えている。だけど問題なのは召喚ができるかどうかだがゲームの様に上手くいけばいいが、まぁ【収納の指輪】や〈アイテムボックス〉が使えたことだし試しに何体か召喚してみるか。
【人魔の黒書】を左手に持ち替え深呼吸を一回行い、スキルを唱えだした。
「〈
【
今回使用したスキル〈
スキルを唱えると【人魔の黒書】が宙に浮きページが自然に開かれ目の前に四つの魔法陣が現れ出した。
一つ目の魔法陣からは灰色を基調とした軍服に制帽を被りコートを外套のように羽織り、左腕には包帯が巻かれ刀を持ち、右頬には鱗のような模様がある青年が現れた。
二つ目の魔法陣からは全長5メートルを超える黒い毛皮を持ち前足には枷のようなものが嵌められている巨狼が現れた。
三つ目の魔法陣からは黒を基調とした軽鎧を纏い身長が160代の金髪ロングポニーテイルに黒い瞳を持つ少女が現れた。
最後の四つ目の魔法陣からは黒髪で瞳には光が無く青色を基調としたメイド服を着た少女が現れた。
召喚を終えると4体はムクロの前に跪いた。
「我が
「主殿ノ前ニ
「主君の召喚に
「マイマスターの呼び出しにはせ参(さん)じました。
全員が言い終わるとムクロはすかさず〈神の魔眼〉を使い召喚した4体のステータスを見始めた。
名前:セン 種族:邪竜王 職業:【
ステータス
HP:12900/12900 SP:5290/5290
STR:3190 INT:0
VIT:2290 AGI:1999
DEX:760
スキル
〈奥義刀術〉Lv10/10
〈刀術〉Lv10/10
〈侍の極意〉Lv10/10
〈一騎討ち〉Lv10/10
エクストラスキル
〈竜王特権:闇呼ビ〉
〈黒負絶爪〉
〈闇属性耐性〉
〈竜の吐息(闇)〉
〈飛行〉
名前:クロ 種族:
ステータス
HP:8580/8580 SP:5290/5290
STR:1987 INT:2298
VIT:1377 AGI:2099
DEX:698
スキル
〈氷結魔法〉Lv10/10
〈氷属性魔法〉Lv10/10
〈氷の加護〉Lv10/10
〈詠唱短略化〉Lv10/10
エクストラスキル
〈
〈氷結の黒爪〉
〈黒氷の咆哮〉
名前:ノワール 種族:
ステータス
HP:8689/8689 SP:9980/9980
STR:1989 INT:2190
VIT:970 AGI:1590
DEX:728
スキル
〈暗黒戦技〉Lv10/10
〈闇魔法戦技〉Lv10/10
〈暗黒騎士の心得〉Lv10/10
〈詠唱短略化〉Lv10/10
エクストラスキル
〈
〈黒雷剣〉
〈黒翼〉
名前:シグマ 種族:
ステータス
HP:7790/7790 SP:8750/8750
STR:1390 INT:2398
VIT:1070 AGI:1510
DEX:999
スキル
〈魔弾魔法〉Lv10/10
〈魔弾作成〉Lv10/10
〈魔銃の心得〉Lv10/10
〈詠唱短略化〉Lv10/10
エクストラスキル
〈強制進化〉
〈SP吸収〉
〈魔力弾〉
ステータスを確認したがゲームだった頃と変わりなくエクストラスキル、職業も変っていなかった。
エクストラスキルはモンスターだけが持つスキルであり、モンスターは最低でも一つ最大で五つを持ち、一日に使用できる回数に制限があるスキルや職業のスキル同様にSPを消費して使用できるスキル、などがある。
モンスターは本来、
【転職の書】は職業を既に取得した状態で職業クエスト、職業ダンジョンをクリアすることで特定の職業が【転職の書】というアイテムに変換される。【転職の書】を使えば別の職業へと取得できるが上げてきたプレイヤーのレベルはリセットされ職業のスキルはすべて消去される。
そういえば従魔に使いたい職業の【転職の書】を手に入れるためによく何度も職業クエストやダンジョンも挑んだ事もあったけなぁ
「あの、マイマスターどうかなさいました?」
昔のことを思い出し返していると心配そうにメイド服を着た少女シグマが立ち上がり話しかけてきた。
「えっ? いや何でもない」
驚いた。従魔モンスターが喋るなんて······異世界にきた影響なのか?
「そうですか、それではマイマスター今日はどういったご用件なのでしょうか? 何か大きな戦闘でもあるのですか?」
「いや、今はその為に召喚したんじゃなくてな──」
「だったら何故呼んだんだ?」
説明しようとすると刀を持ち軍服の姿をしたセンが話しかけてきた。
「我々従魔は、戦うために呼ばれる。戦う以外で呼ばれないのなら、正直言って迷惑だ」
「セン殿、戦ウダケガ、従魔デハアリマセン! ソレニ主殿ハ考エガアッテ我々ヲ呼ンダノデスゾ!」
「別に主(あるじ)の考えを否定する訳ではないだが、戦闘以外で我を呼ぶなと言っているだけだ」
「ソウダトシテモダ! ソレニ今ノ言動ハ主殿ノ考エノ否定ト考エテイイノダナ?」
クロの毛が逆立ち、牙が向きだしになりセンに向かって威嚇し始めた。
「何故そのような結論に至るか知らないが、邪竜王である我に牙を向くとはいい度胸だ、
「望ム、トコロダ!」
センは刀を構え始めると、雰囲気が変わりだした。クロの周りには冷気が発生され地面には氷が生み出された。
なんだ? センとクロの雰囲気が変わった······まさか⁉ ここで戦う気か、ただでさえ高いステータスのセンとクロが本気で戦ったら確実にやばい!
「セン、クロよせ! 今は仲間割れをしてる場合じゃないだろ!」
「主、今は我々の問題、首を突っ込まないで頂きたい」
「セン殿ノ言ウ通リデスゾ主殿」
ムクロが止めようとするがセンとクロは聞く耳を持たなかった。
ダメだ、完全に聞く気がないどうすればいいだ
「セン殿、クロ殿! いい加減にしてください!」
センとクロを止めようと考えていると黒の軽鎧を纏った金髪の少女ノワールがムクロの前に出た。
「主君の言う通り、今は仲間割れをしている場合では──」
「黙ってろ! 小娘!」「黙ッテ頂キタイ!」
センとクロはノワールに向かって同時に怒鳴った瞬間、ムクロは悪寒のようなのを感じた。
ダメだ。全然聞く気ねぇな、それに今、確実にノワールに向けて殺気を放って怒鳴ったよな、けどノワールだったらもしかした、らっ⁉
「そんなに、グス、きつく言わなく、たっていいじゃない、ですか······グス」
ムクロはノワールを振り向いて見ると子供のように泣き崩れた。
えぇ⁉ ノワールってもしかして打たれ弱いタイプ? ゲームだと相当役に立っていたのに······。
ムクロはゲームの頃と、今のノワールのギャップに少しばかり混乱した。
今にも戦いそうな、センとクロ。泣き崩れているノワール。もしかすると俺······召喚する相手選び、間違えたかもしれない。
この時ムクロは初めて召喚を使って後悔したと感じた。
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