第3話 セカイは無情
ふぁぁ
心地のいい朝だ。自分の欲望のままに寝ることがここまで気持ちのいいことだったとわね…今度から気をつけてみようかしら
「お嬢様、おはようございます。朝ごはんはどう致しますか」
全く心のこもっていない、機械音声の方がまだましだと思えるような声。
昨日よりひどくなっている気がするのは気のせい?いいえ、昔から、だったわね。それよりも一瞬で気分が悪くなりますわ、その声、その顔。
「持ってきて。あと、もう許可なく部屋に入らないで」
「…すみません、できかねます」
「Yesかはい」
「え?」
あらあらメイドが困惑した声なんていいのかしら?
「あなたに許されるのはその2つの返事だけよ」
「っ!?」
驚愕、ね。
「何が疑問なのかしら?こんな冷たい関係で部屋に入れてどんな細工されるかわからない危険性。それを図っただけだというのに。それに対する妥当な判断だと思うのだけれど」
「でも、そしたら、身の回りのお世話やお嬢様を誰が起こすのですか」
「自分でやるわ」
「お嬢様、自分の身を見てください。まだあなたは歳なのですよ、死んでしまったら、お怪我でもしてしまったら」
「聞き飽きましたわ」
その震えた声も、どうせ自分のせいになるのが怖いのでしょう?
「それは私が悪かっただけのこと。」
「でも、ためですよ。到底、頷くことも肯定することもできかねます」
「私が自分で責任を負えばあなたも特に異論はないのでしょう?」
「え?」
やはり…図星だったようね。それならそうといえばいいのに。全く醜いにもほどがあるというものね。
「私から母に伝えておきます。あの
「違っ、さっきのは、でも、だめ、駄目です。」
「何が駄目なのか、私には意味がわかわないわ。ほら、あなたの持ち場はたった今から変わりますのよ。回れ右をしてその扉から帰りなさい」
「そんな…お嬢様……」
負け犬の遠吠え、ね。言い訳に関しては随一のこのメイドには本当に聞き飽きたわ。毎度毎度、何を言ってるのやら。あぁお母様にご報告しなければなりませんね
その部屋の中ではとても異質な古めかしい黒塗りの受話器を手にとってクルクルと器用に428と回した
『誰ですか?』
「ゆーのです、お母様。要件なのですが、今日より、私のメイドである輝夜の部屋の立ち入り、そして、メイドの立ち入りを禁止したいと思っておりまして。」
『いいわよ。でも、服はどうするのかしら?洗ったあとあなたの部屋のクローゼットに入れれないと思うのだけれど。』
「隣の使ってない部屋とここをつなげてもらうことってできますか、お母様」
『その程度なら…あぁそういうことね。わかったわ。あなたの部屋とつながってる扉はあなた側からしかあかないようにしときますね。あと、あなたの部屋の合鍵は私がすべて隠していきましょう。あなたの部屋の合鍵は…』
「お母様のを含めて6つですお母様。たしか、輝夜、お母様、お義父様、執事長、メイド長、料理長でしたわ」
あとは…私達と対なる南海方、左右に位置する東花方、西葉方、この3つの当主家に1つずつあるはずね。
『……そうね。回収できるのはそれだけね。あ、ゆーのちゃん』
「何でしょう、お母様」
『西葉方の御子息があなたに会いたいと申しているのよ。それ以外の方なら断れたんだけど…母として不甲斐なくてごめんなさいね』
流石にもう誰かと合わなくてはならないのね…できればこちらから行くという形が良かったわ…
「いえ、これまでパーティーのお誘いや見合いなど断ってくれているではありませんか。そのようなことで謝られても困るだけなのでおやめください」
『ゆーのちゃん、辛かったらいうのよ。ここに来たという事実さえあればなんとでもできるもの』
「はい。もちろんです。心配なさらないでください、お母様」
ガチャリ
受理されて良かったわ…今日は勉強かしら?とりあえず、朝食が来てから考えることにするわ
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