第19話 初ダンジョン(1)

 ◇◇◇◇◇


 今日はルカとして、初めてダンジョンに突入する。少し心配だが、アマミの言う通り、いろいろ試すにはダンジョンの方が良いと思う。


 そのダンジョンは、街の外門を出てすぐ近くにある。ただ、ダンジョンのあるところに街を造ったというのが正しい。


 ルカは、ダンジョンのすぐそばまで来ると、不意打ちに後ろから声を掛けられた。


アマミ:「ルカ!今から潜るの?」


 ここは、あくまで偶然を装いますよ。


ルカ:「あ、はい。どなたですか?」


アマミ:「私よ!」


 そうだった!仮面つけてるんだったわ。


 アマミは、仮面を取ってウイオに顔を見せた。


ルカ:「あ!アマミさん!偶然ですね。

 アマミさんも今から潜るんですか?」


アマミ:「そうよ。偶然ね。」


 いえ、ずっと監視してるから……。


ルカ:「良かった〜。少し心配だったんです。

 一緒に行ってもらえますか?」


アマミ:「ええ、もちろん。約束ですからね。」


 言われなくても、一緒に行くわよ。


ルカ:「ありがとうございます♪

 ところでその仮面どうしたんですか?

 なんか、僕のと似てますけど。」


アマミ:「ええ、作ったのよ。いいでしょ?

 お揃いな感じで作ってもらったのよ。」


 本当は、貰ったんだけどね。


ルカ:「え?そうなんですか?」


アマミ:「そうよ。お揃いですよ。お揃い。

 さあ、行きましょう!」


 仮面のことはあまり、聞かれるとまずいわ。

 こんなに早く作れる訳ないし……。


 ルカとアマミは、ダンジョンの入り口まで雑談をして歩いていった。ルカは、アマミと合流したことですっかり安心している。

 ただし、アマミもダンジョンは初めてである。この週末は、ダンジョンについて片っ端から文書を漁り勉強したアマミであった。

 おかげでかなりの寝不足である。


守衛:「お前たち、冒険者カードを見せろ。」


ルカ:「あの、ロディオさんから出さなくていいと聞いていますが。」


守衛:「ん?あぁ、お前、ルカって奴か。

 ちょっと待て。ふむふむ、人相は合ってるな。

 おぅ、聞いてるぜ。お前はいい。

 そっちの女は?」


アマミ:「私は顔パスじゃないみたいね。」


 アマミは、守衛に冒険者カードを渡す。


守衛:「え?八星!?お前か?あの……。」


アマミ:「あら、それ以上言わないでね。

 プライバシーの侵害よ。」


守衛:「お、おぅ。いいぞ、入れ。」


アマミ:「ありがとう。今度から私も顔パスのするようにロディオに行っておくわ。」


守衛:(変わった奴らだな。

 八星の冒険者カードなんて初めて見たぞ。)


 アマミとルカは、ダンジョンの第一階層に降りていく。


ルカ:「わぁ、ダンジョンってこんな感じなんですね。外にいるみたいですね。」


アマミ:「そうね。ちょっと不思議よね。

 ルカは時間が限られてるのよね。

 だから今日は、第一階層を回ってみようか。」


ルカ:「はい、そうしてもらえるとありがたいです。ダンジョンって何階層あるんですか?」


アマミ:「それは分かってないわね。

 今のところ、第五階層までは到達しているみたいだけど、それ以下もあるみたいよ。」


ルカ:「へぇ、そうなんですね。」


アマミ:「ダンジョンは、かなり広いからね。

 第一階層は、初級でも行ける階層ね。

 ちょっと物足りないかも知れないけど、早速行ってみましょう。」


 アマミの案内で、どんどん先に進む。

 アマミも初めてだが、予習を怠らず。


アマミ:「私たち、結構見られてるわね。

 たぶん、変な奴らと思われてるのかしら。」


 明らかに異常なスピードで駆け抜けていく仮面の2人組には、誰もが振り向いて見ている。


ルカ:「たぶん、この仮面ですね。」


アマミ:「ま、気にせずに行きましょう!」


 異常なのは、移動スピードであった。


 そしてアマミの案内でとある場所に着いた。

 森の手前にある岩場らしきスポットである。


アマミ:「今日はここよ。」


ルカ:「ここはどういうところなんですか?」


アマミ:「ここは、ジャイアントラット、通称大ネズミの巣ってところかしら。

 昨日、ギルドに行っていろいろ聞いて来たんだけど、第一階層でも不人気の場所なのよ。

 大ネズミは、防御力はさほどないんだけど、やたら動きが早いの。それでいて報酬もそんなに良くないわ。だから、ここに来るくらいなら第二階層に行っちゃうらしいのよ。」


ルカ:「なぜ、ここを選んだんですか?」


アマミ:「ここが不人気だから、大ネズミが異常に増えているらしいのよ。

 ダンジョンのモンスターは、ある程度間引きしておかないと同種同士でナワバリ争いが起きてね。それを繰り返すうちに上位種に覚醒することがあるのよ。そうすると階層に合わないモンスターが発生するって訳。

 だから、ここも依頼対象になってるんだけど、やっぱり不人気でね。

 第一階層に行くなら依頼を受けて欲しいとロディオに頼まれたのよ。」


ルカ:「アマミさんってロディオさんと知り合いなんですか?」


アマミ:「気になるのそっちなの?

 えー、まあそういうことになるかしらね。」


 初めて会ったんだけど、まあ黄龍会の名前を使わしてもらったわよ。


アマミ:「でね。大ネズミなんだけど、大量にいるからすぐに周りを囲まれてしまうの。

 だから、ルカ一人で行ってね。」


ルカ:「えー?アマミさんが依頼を受けたんですよね?一緒にじゃダメなんですか?」


アマミ:「そうだけど、ネズミはちょっとね。その代わり、いろいろ指示してあげるから。ね?お願い!」


ルカ:「分かりました。僕、初めてですから、ちゃんと指示してくださいね。」


アマミ:「うんうん。いろいろ教えてあげるわよ。大船に乗りまくりよ。」


ルカ:(何だか、変だなぁ。僕と会わなかったらどうしてたんだろ?

 まあ、一緒にいてくれるだけでも嬉しいし、いいか!)


 ルカは、アマミを絶大に信用している。

 お姉さんがいたらこんな感じなのかなぁと思っている。


 こうして、ルカの初めてのダンジョンでのモンスター討伐が開始された。


 ◇◇◇◇◇

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