第17話 模擬訓練(3)

 ◇◇◇◇◇


 ナルシーズの休憩が終わり、ナルシスが全く予想外のバカな提案をして来た。


ナルシス:「もう連携の訓練は終わりだ。

 今度は技の威力を確認することにする。

 ウイオ!今度は攻撃を避けるな!

 お前は構えて立っているだけにしろ!」


 ウイオは、呆れてものが言えない。

 こんなことまでされるのか?


ダリア:「それはいいわね。」


アマミ:(本当にバカばっかりね。

 まあ、今の様子を見ているとウイオなら何とか耐えられるでしょうけど、ほんとに許せないわ。)


ナルシス:「ほんじゃ、俺から行くぜ!

 ウイオ!動くんじゃねえぞ!」


 ウイオは、全身の防御膜をさらに厚くし、気の棒にも気を放出して構えた。


アマミ:(うんうん、よしよし。ちゃんと応用ができてるわね。あいつらにはそれが分からないんでしょうけどね。)


 ナルシスは、馬鹿の一つ覚えのように、大きく振りかぶりジャンプしてウイオの脳天目掛けて大剣を振り落とした。


ナルシス:「どっりゃー!!死ね〜ウイオ!」


 死ねって言っちゃってるし。狂ってる。


ウイオは、木の棒で頭の上でその大剣を受けた。ナルシスも流石にこれは、真っ二つに斬り落としたと思ったが、逆にこの棒で弾かれた。


 これを予想していたアマミは、可笑しくて笑っている。


ナルシス:「グワ〜!……え〜マジ?」


 弾き飛ばされたナルシスは、その場で倒れて唖然としている。


ダリア:「ウイオって何なの?」


 ナルシスは、意地になって何度も挑戦するがどうにも弾かれてしまう。

 そのあと、ローズも試してみたが、同じ結果に終わった。


ローズ:「何なの〜?硬すぎない?」


 ナルシス、ローズ共に撃沈。

 そして、ダリアの番である。


ダリア:「ウイオ!いくら剣は防げても、魔術は避けなければどうにもならないわよ。」


ウイオ:(早く終わらないかなぁ。)


 ダリアは、詠唱を長めに取って、ウイオ目掛けて巨大なファイヤボールを放った。


 ウイオもこれは木の棒で防ぐことは出来ず、正面から受けざるを得なかった。


 ドッカーン!!


 ウイオはファイヤボールを全身で受けて、衝撃と爆発と共に煙の中に包まれた。

 ウイオの周りは爆煙で何も見えない。


アマミ:(ちょっと、これは危ないかしら?)


ダリア:「ちょっとやりすぎたかも?死んでたらどうしよう……。」


 攻撃したダリア本人が、ちょっと焦っている。たぶん、死んではいなくても、瀕死の重症を負っていると勘違いしていた。


 だが、煙が晴れた後にその場で平然と立っているウイオを見て、逆に驚いた。

 ウイオは、全くの無傷どころか、服装にも焦げた形勢がない。


アマミ:(ふぅ、大丈夫ね。それにしても素晴らしいわ。あれを無傷で受け切るなんてね。

 あのウイオのお嬢様もなかなかのポテンシャルを持っているわね。でも性格がダメね。)


ダリア:「何なのよ!?ウイオがなんともなくて良かったけど、良くないわよ。

 ウイオの特異体質ってどこまで頑丈なのよ。」


ウイオ:(あー、ビックリしたー!でも、耐えられたぞ。)


 ダリアも、意地になって何発も浴びせ続けている。


アマミ:(これは、ちょっと精神的にキツイわね。もう強制終了にしましょう。)


 その後間も無く、ロディオが突如、闘技場に現れた。


ロディオ:「お前たち!何をやっている!」


ナルシス:「はぁ!?おっさん、誰だよ!?

 今日は俺たちの貸し切りだぜ。

 勝手に入ってくんじゃねえ!」


ロディオ:「はぁ!?おっさんだと!

 お前、ここでやってやろうか?」


ナルシス:「俺は侯爵家だぞ。誰に言ってんだ、こら!お前の家ごと落とすぞ。」


ロディオ:「俺はここでギルマスやってるロディオってもんだが文句あるのか?あぁ?」


ナルシス:「う、ギルマス……ですか。

 はは、嫌だなぁ。冗談ですよ。」


 ナルシスは、間違えて入って来た冒険者と勘違いしていたが、相手がギルマスでは部が悪い。


ロディオ:「全く。そこの少年!大丈夫か?」


ウイオ:「あ、はい。大丈夫です。」


ロディオ:「ならいい。お前たち、今日はもう終わりだ。帰れ!」


ナルシス:「今、ちょうど帰ろうと思ってたんですよ。お前たち行くぞ。」


 ナルシスは、相手がギルマスと知ってそそくさとその場を後にした。

 そのあとにローズ、アイリス、ダリア、ウイオが続いていった。


ロディオ:(はぁ……。貴族ってのはこれだから困る。しかし、なぜ、本部から……。)


 ロディオは、不思議そうに闘技場を眺めていた。


アマミ:(終わったわね。じゃあ、私も退散するとしましょう。)


 アマミは、ロディオに気付かれずことなく、闘技場を後にした。


 ◇◇◇◇◇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る