第16話 模擬訓練(2)
◇◇◇◇◇
ウイオをモンスターに見立ててのナルシーズの模擬訓練が始まった。
ダリア:「ねえ、ナルシス。あなた、その剣を使うつもりなの?」
ナルシス:「そりゃそうだろ。実践形式だからな。それにこいつはちょっとやそっとじゃあ痛みを感じねえ特異体質だ。少しくらい斬られても大丈夫だろ。」
ローズは、剣を木刀に持ち替えていたが、ナルシスは実際に装備する大剣で模擬戦に挑もうとしていた。
ダリア:「ちょっと!それじゃあ、下手すればウイオが死んじゃうじゃない!」
ナルシス:「そのために闘技場を貸し切ったんだろうが!模擬戦に不慮の事故は付き物よ。なんかあっても、あとで何とでもなる。こいつは孤児だしな。」
この言葉には、ウイオもゾッとしたが、下手に反論しても悪い方向に行くだけだ。
それにアマミから教わった術を使えば、何とかなると思っている。
ダリア:「本当に何とかなるのね?
面倒なことになっても知らないわよ。」
ウイオには、このダリアの言葉の方がショックであった。心配していたのは、ウイオのことではなく、自分が厄介ごとに巻き込まれるかどうか。
ただ、いつしか、ダリアに期待するのは諦めていた。
もう、昔のお嬢様ではないと……。
このやりとりの後、ローズも木刀から自分の双剣に持ち替えていた。そうしないと後で何か言われそうだったからという理由で……。
そして合図と共に、ナルシスとローズは左右に分かれて、ウイオの方に向かっていく。
開けたウイオの正面にはダリアが配置し、その横にアイリスが陣取った陣形だ。
これは、事前に擦り合わせていた通り。
まず、前衛二人が先陣を切ってモンスターに近接攻撃、その隙を縫って、ダリアが火魔術で遠方攻撃する戦法だ。アイリスは、ヒールやデバフを使った後方支援役である。
盾役は居ないが、打算的に集まった割には、バランスの取れたパーティであることは間違いなく、理に適った戦術だ。
まず、ローズがスピードを生かしてウイオに斬りかかった。
それを難なくウイオは、体を移動して躱す。
ローズ:「ええ!?なんで避けるのよ!」
その移動した先にナルシスが思い切り振りかぶって大剣をウイオに振り下ろす。
ナルシス:「どりゃ!スラッシュ!」
頭のネジが切れたかのような本気モードでナルシスのスラッシュが振り下ろされたが、ウイオはそれもいとも簡単に捌き、大剣は空を斬り地面に突き刺さった。
ダリア:「ローズ!何ぼーっとしてるのよ!
ナルシス!大振り過ぎるわよ!
もう!私も死なないくらいに行くわよ!
@8#*>$(詠唱)、ファイヤボール!」
ダリアは、初級火魔術であるファイヤボールをウイオ目掛けて放った。ただし、初級ではあるが、五星の火魔術はそれなりに威力を持っている。一星の魔術士のそれとは大きさも速度も段違いだ。
ただし、ウイオはこれも簡単に避けてしまう。ダリアの放ったファイヤボールは、壁に激突して爆発した。普通の人間が当たれば、致命傷では済まない威力だ。もう、ウイオのことを考えている攻撃ではない。
それからも、ナルシーズの攻撃は止むことなく、続けられているが、一向に当たる節は見当たらない。星の差はそれほどに大きい。
アマミ:(ふふふ。面白いわね。あんな短調な攻撃、当たるわけないじゃない。
それにしても、ルカになる前でもこれだけ出来るのね。素晴らしいわ。)
ナルシス:「はぁはぁ。よし!一旦休憩だ。」
ナルシスは、完全にバテていた。
ナルシーズの面々は一ヶ所に集まって、休憩を取っている。
ウイオも闘技場の隅で一人ポツンと体育座りをしてナルシーズの方を眺めていた。
ウイオは、もう帰りたい。
でも、ナルシーズは何やら話し込んでいる。
まだ、続けるみたいだ。
ウイオ:(いつまでやるんだろ?)
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