第12話 侯爵登場
◇◇◇◇◇
シトルが連絡を取って数分後、父親のガガンがその場に到着した。
ガガンは侯爵であるが、加えて国軍の将軍でもあり、七星の実力者である。
なので、急いでいたこともあり従者を付けずに単独で馬に騎乗し現れたのだった。
馬から颯爽と降り立ったガガンは、威圧を込めて言葉を発した。
ガガン:「おい!どこのどいつだ!
我が娘と知って脅迫しているのは!」
シトル:「パパ!来てくれたのね!
ものすごく怖かったの。
この女よ!パパのことも呼び捨てにしていたわ。」
ガガン:「なんだと〜!?
俺はこの国の将軍であるぞ。お前、不敬罪で処罰してやる!だたで済むと思うなよ。」
背後から現れたガガンには、まだ顔を見せていないアマミは、その言葉が妙におかしかったのか、笑いながらそれを聞いていた。
ウイオは、ガガンが将軍であるということに心配そうに見ていた。
シトル:「これであなたももう終わりね。
よくも私を脅迫してくれたわね。
お前はここで死んでも仕方ないわ。」
ガガンが現れた後のシトルは、今までの態度が嘘のように強気な姿勢に逆戻りした。
まさに根っからの悪徳令嬢である。
アマミ:「あなた、嘘をついたのね。許すのは1回だけとあれほど言ったのにねぇ。」
シトル:「黙れ!なんで1億も払わないといけないのよ!普通に考えておかしいでしょ!
それにパパは七星なのよ。もう逃げることすら出来ないわよ。」
アマミ:「私が逃げるわけないでしょう。こんな面白い状況で。
まあ、この状況は予想出来たけど、本当にバカ娘に育ったものね。」
ガガン:「この期に及んで、まだ言うか?
いいだろう。お前には死で償ってもらうぞ。」
そう言うと、怒り爆発のガガンは、アマミの背後から素早く強力な拳を浴びせた。
それをアマミは、振り返り見ることもなく平然と躱し、一瞬でウイオの横に立っている。
拳を躱されたガガンは、めいいっぱい力を込めていたため、地面を叩きつけていた。
その地面にはヒビが入っている。
ガガン:「俺の拳を避けるとは、お前は誰なんだ?って、え?」
最初は威勢よく始まった言葉は、尻すぼみに小さくなり、最後は疑問系に変わっている。
シトル:「パパ!遊んでないで、さっさと始末して!この女を生かしておいたら、我が家の恥だわ。」
アマミ:「まだ、状況がわからないみたいね。
本当にバカ娘。大バカ娘。」
シトル:「状況が分かってないのは、お前だろ!?お前が大バカ女だ。
パパ、早くやってしまって!さあ、早く!」
ガガンは、アマミの顔を見てからと言うもの唖然として言葉が出てこない。
出てくるのは、大量の冷や汗だけだ。
アマミ:「将軍。娘があんなこと言ってるわよ。一体、どうするつもりなの?」
シトル:「はぁ!?何言ってんの、お前!
本当にムカつくわね。もう、後でギタギタにしてあげるから待ってなさい。」
ガガンの顔は、一層に青ざめていった。
アマミ:「なんとか言ったら?将軍。」
アマミの引き攣った笑顔が、さらに恐ろしさを強調していた。
ガガン:「申し訳ございません!」
スライディング土下座を敢行したガガン。
その行動にアマミ以外が驚いている。
ウイオ:「え!?」
シトル:「え!?なんで?」
アマミ:「謝って許されると思ってるのかしら?将軍。」
ガガン:「そ、それは……。」
屈強な将軍が、見る影もなく小さく丸まって震えている。
ウイオは、この状況に驚いて言葉も出なかったが、シトルの方はパニック寸前で訳がわからなくなっていた。
シトル:「なんでパパがこのバカ女に土下座してるのよ!」
それを聞いたガガンは、今度は怒りで震え始めた。
ガガン:「馬鹿者!!黙れ!」
シトル:「えー?なんで?」
ガガンは一度立ち上がり、シトルを引っ張ってアマミの前に土下座をさせた。
そして、再度その横に跪き土下座した。
ガガン:「アマミ様。失礼をいたしました。
如何なる処分もお受けいたします。
何卒、ご指示いただきたく。」
シトル:「何がどうなってるのよ!?
意味がわかんないんだけど。」
ガガンは、黙ってシトルを殴りつけた。
その行為にシトルは、痛みと恐怖で大声で泣き始めた。もう、反抗する気力は失くなっている。
アマミ:「そうね。あなたは娘の教育を失敗したわね。こんなダメ娘にしてしまった罪は重いわよ。」
ガガン:「はい、おっしゃる通りです。」
アマミ:「ただ、素直に罪を認めたことは考慮してあげる。今回は特別に寛大な処置にしてあげるわ。」
ガガン:「はい、ありがとうございます。」
その言葉にシトルは少し安心したみたいだ。
しかし、ガガンはまだ緊張している。
アマミ:「まず、約束通り、この少年に慰謝料1億を支払いなさい。」
ガガン:「はい、仰せの通りに。」
アマミ:「そして、あなたたちのことだけど、将軍には北方の討伐を命じます。
国軍には後で本部から連絡しておくわ。
この国に貢献することで罪を償いなさい。」
ガガン:「はい、寛大な処置、誠に感謝します。戦地で成果を上げ、罪を償います。」
実は国の北方とは、隣国との間でまさに戦争が行われており、将軍は1年の勤めを終えて戻ってきたばかりなのであった。
ただ、ガガンは、少なくとも将軍の地位は剥奪されることを、最悪は死を覚悟していたので、この処置には本当に感謝しているようだった。
その横で、シトルは処置が自分ではなかったことに心底安堵して、うっすら笑みすら浮かべていたが、それがバレないように必死に演技を続けていた。
シトル:「アマミ様。私も反省しています。
今後は改心して真っ当に生きて参ります。
(ああ、早く帰りたい。)」
ただし、アマミにはお見通しである。
アマミ:「あなた、このまま帰れると思ってるんじゃない?」
シトル:「え?」
シトルは、顔が引き攣って口が開きっぱなし状態で固まってしまった。
◇◇◇◇◇
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