第11話 侯爵令嬢
◇◇◇◇◇
貴族と思われるシトル、サプラ、ガルフの3人に囲まれ、無理矢理に土下座をさせられているウイオがいた。
と言っても、ガルフは両手首がひん曲がって、うずくまっているので、すでに戦力外だが……。
そして、彼らの前にどうやって現れたのか分からないが、突如1人の女性が現れた。
アマミ:「あら、こんにちは。こんなところで何をしてるのかしら?」
サプラ:「ん?お前誰だ?どこから現れた?」
アマミ:「それは秘密よ。それより、この状況、あまりよろしくないわね。
寄ってたかって、弱いものいじめしてる様に見えるけど。」
サプラ:「お前には関係ねえだろうが!
用がないんなら、さっさと立ち去れ!」
シトル:「いえ、ちょっと待ちなさい。
この無礼者にもお仕置きが必要じゃない?」
サプラ:「ははん、そういえば、そうだな。
よく見りゃ、美人のお姉ちゃんだよな。
こりゃ、お楽しみが増えたな。」
アマミ:「あら、お楽しみって何かしら?」
サプラ:「そりゃ、その時になったら分かるからよ〜。たっぷりと可愛がってやるから安心しな。」
アマミ:「あらそう。どーぞご自由に。」
サプラ:「お前、余裕こいてるのも今のうちだぞ。聞いて驚くなよ。このシトル様はなぁ、ダンバール侯爵家のご令嬢だ。分かるか?逆らったらどうなるか。
それにな。俺は五星だ。どうやってもお前に敵う条件は無いんだよ。」
ちなみに、ガルフは一番強そうに見えるが二星。この中ではただの雑用だ。
シトル:「分かったかしら?」
シトルは、女がこれで跪き、許しを乞うのを確信している。
サプラもニヤニヤとその時を待っていたのだが……。
アマミ:「あら、あなたがガガン・ダンバールの娘なのね。彼は優秀だと思ってたんだけど、子供の教育は間違ったみたいね。」
シトル:「な!なんですって!?
お前、侯爵に向かってその口の聞き方はなんなの?しかも、パパを呼び捨てにするなんて!
もう、終わったわよ。お前の人生。」
シトルは、今まで味わったことのない屈辱的な言葉に目がつり上がって激オコだ。
サプラ:「あらら、シトル様を怒らせちまったな。こうなったら、徹底的に落とされるなぁ。こりゃ、最低でも娼館行きだな。その前に俺がやっちゃうけど。」
この状況にも、アマミは、平然としている。
アマミ:「そこの少年。立ちなさい。
そんなに簡単に土下座なんかしちゃダメよ。」
ウイオ:「え?でも。」
アマミ:「いいから、立ちなさい。」
ウイオは、大丈夫かなと思いつつも静かに立ち上がった。
シトル:「お前〜!私を怒らせてその態度!
もう容赦しないわよ!サプラ!こいつをボコボコにしなさい!」
サプラ:「分かってますよ。じゃあ、やっちゃいますか!」
サプラは、即座にアマミの前に移動して殴りかかった。流石に五星だけあって動きは素早く、なかなかの腕前だ。
アマミ:「あら、なかなかスジはいいわね。」
アマミは、サプラの拳を平然と掴み、逆にサプラの脇腹に拳を叩き込んだ。
その衝撃にサプラは一撃で大量に血を吐き、その場に倒れ込んだ。肋骨が何本か砕けているため、動くことすら難しい状況だ。
サプラ:「グフ!おばべ!」
シトル:「え?どうしたのよ!?」
アマミ:「でも、まだまだね。相手の力量を測れないなんて、所詮は五星よね。」
ウイオもアマミの強さには気付いていた。
この人はすごく強い。
シトルは、サプラが簡単に倒されて、意外な展開に焦っている。
シトル:「ちょ、ちょっと待ちなさい。
分かったわ。お金をあげるわ。いくら欲しいの?10万、20万?」
アマミ:「この状況でお金で解決しようだなんて、全く甘いわね。あなたのしたことの重大性を全く分かってないわ。
(だって黄龍に手を出したんだもの。)」
シトル:「ご、ごめんなさい。許してください。なんでもします!命だけはどうか!」
シトルは、経験したことのない危機的状況に涙と鼻水を垂らしながら、必死に命乞いを始めた。
それを見たアマミは、情状酌量の余地を与えることにする。
アマミ:「まあ、いいわ。今回は許してあげるわ。その代わり、この少年に慰謝料として1億払いなさい。」
シトル:「一億!?」
アマミ:「あら、あなたの命ってそんなに安いのかしら?」
シトルを睨みつけるアマミの目は圧倒的な威圧でマジで殺されると思った。
シトル:「払います!払います!」
ウイオ:「僕に1億?」
今度は、ウイオの方が驚いている。
この人は何を言い出すんだ?
孤児のウイオには、聞いたことのない数字だ。
アマミ:「いいのよ。あなたにしたことは、それくらいの重大なことなのよ。」
ウイオ:「でも……。」
アマミ:「いいんです!言うことを聞きなさい!」
何故か、ウイオが怒られた。
アマミ:「じゃあ、今すぐに払いなさい。」
シトル:「分かりました!でも、今はそんな大金持ってません。少し待ってください。今から持って来させますから。」
アマミ:「ええ、いいわよ。10分だけ待ってあげるわ。すぐに呼びなさい。」
シトル:「はい!」
シトルは、慌てて立ち上がり、魔導馬車に向かって走り出した。そして、馬車の中に入り、これまた貴族と富豪しか持てない魔導通信機を使い、父親に連絡した。
シトル:『あ、パパ?』
ガガン:『シトルか。どこにいるんだ?早く帰って来なさい。今日は一緒に夕食を摂る約束だろう?店は予約してるんだぞ。』
シトル:『もう!それどころじゃないの!
パパ、すぐに助けに来て!』
ガガン:『どうしたんだ!?』
シトル:『変な女に絡まれて、サプラがやられちゃったの。それで脅迫されてるの。』
ガガン:『なんだと〜!?すぐに行く。今、どこにいるんだ?』
シトル:『外門を出てすぐの街道よ。お願い、10分以内に来て!殺される!』
ガガン:『ああ、すぐ行く。待ってろ。』
シトルは、父親に連絡を取った後、アマミのところに戻った。
シトル:「今、家の者に連絡を取りました。
すぐに来ますので、お待ちください。」
アマミ:「ええ、分かったわ。
でも、許すのは今回だけよ。」
それからアマミたちは、無言でガガンの到着を待った。
◇◇◇◇◇
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