『宇宙人はいなかった』 下の5
なかなかの力持ちでもある、偵察衛星は、その祭壇の重いカーテンを引っ張り開けた。
そこには、2体の生物が、手をつないだ形で立っていた。
わりに大きなあたまがひとつ。耳は両側部にあり、目が平たい頭にふたつ。鼻がどまんなかにあり、穴はふたつ。口は、はんぺんたちとは違い、顔に平行にひとつ走る。
細いくび。
腕が二本。足が二本。性器が異なっている。
ごく、薄い透き通しのヴェールを被っていたが、前のテーブルに衣服らしきが畳んで置いてあった。さらに、四角い小さな何かが添えられている。
直立歩行していたようだ。
船長
『な、な、なんと。これはあ❗』
シポク
『いや。む、む、む。……うんじゃあまいやら。うんじゃあまいやら。なまごみだあ……』
船長
『これは、『ふうまん』、さまではないか。』
『ふうまん』さまは、彼ら『たら星人』が、祖先として敬っている、あらゆる宗教を超越した存在であった。
シポク
『これは、塑像ではありませんね。生体を、保存しています。』
船長
『即神さまか。』
シポク
『この技術は、良く調べる必要がありますが、内蔵などもすべて、残ったままですね。時間を凍結させたみたいです。みごとですね。たいへんなテクです。』
船長
『なんで、ふうまんさまにそっくりなんだ!』
シポク
『それは、まだ、わかりません。我々と、共通の祖先かもしれない。見ためだけかもしれない。いわゆる収れん進化です。外宇宙からきた、支配者かもしれないですよ。』
船長
『あの、はんぺんたちの、先祖だとでも?』
シポク
『ありえますね。しかも、我々の祖先か、子孫かもしれない。しかし、良く調べなくては。お持ち帰り、しますか?』
船長
『いや。それは、決まり上、できないな。データを録りたまえ。』
シポク
『あいあい。』
次官、指令室に、あらわる。
次官
『船長。太陽が不安定です。ちょっとした爆発があるかも。危ないです。』
船長
『それは、まずいな。離れよう。データは録れたか?』
シポク
『まあ、ざっとですがね。コピーを作れるくらいは。』
船長
『よし。取りあえず、安全圏まで、下がろう。探査機は、そのまま、調査を続けさせたまえ。』
シポク
『あいあい。一旦室外に出します。…………あ、船長、あれ。』
探査機は、ものすごく広い平坦な敷地を捉えていた。
船長
『広大な運動場みたいだな。ものすごい数だ。』
広い広い運動場みたいな場所に、はんぺんたちが、まさしく、やまと寝そべったり、重なったりしている。
シポク
『文明は、とっくに、放棄したんでしょうね。あ、あそこから、地下に入れそうですから、探ります。』
広い公園に、ちょっとした、直立した換気口のようなドームがあり、入口がありそうだった。
宇宙船『ション』は、その惑星の大気圏を出て、さらに太陽から十分な距離をとった。
すぐに、太陽が、小さな爆発を起こした。
惑星は、その火柱を浴びた。
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