『宇宙人はいなかった』 下の4
それは、また、異様に広い部屋である。
しかし、これまでの、すべての部屋とは、雰囲気が、ガラリと違っていた。
シポク
『これは、聖堂ですね。』
船長
『なるほど。そうした雰囲気だが。椅子は、もう、バラバラだな。壊したのかな。なにか、怪獣とかが、暴れたみたいな。』
シポク
『そうすね。とても、使っているとは思えないですね。放棄されているのか?』
偵察衛星は、ぐるりと、見て回った。
壁には窓はなく、天井はかなり高く、上に行くほど内側にカーブしながら反っている。そうとうに頑丈に作られているのは明らかだ。
不思議なのは、やはり、一定の明るさが保たれていることだ。いや、一定の、暗さが保たれている。
シポク
『照明は、恐らく壁や天井全体が関わってますな。どこかに、発電施設があるはずです。あ、あそこ、祭壇がありますね。見てください。罐詰が山形に捧げられている。』
船長
『ああ。いつ、作ったものかいな? 幕が掛かっているが、かなりでかいな。』
シポク
『あまり、ほこりを被ってない。たぶん、最近捧げたんですな。それにしても、あの、中身は、極めて魅惑的ですな。開けましょう。偵察衛星の実力の見せ場だ。』
船長
『た、たたりが、あるかも?』
シポク
『おや? 船長は、ジラ経やイカガダ経でしたか?』
船長
『いや。我が家は、ジョー・ドー派だよ。』
シポク
『ほう。我が家は、自由派ですからな。すべてが、仲間です。開けます。』
ふたりは、その内側を、固唾を飲んで見守っていた。
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