『宇宙人はいなかった』 中の4


船長


 『むめ! なんだ、これは!』



 はんぺんかじゃこ天みたいな生物たちが、大量に寝そべっている。


 しかも、ところどころの壁には、巨大なスクリーンがあって、なにかを映し出しているのだ。


 連中は、どうやら、それを見ているような感じがした。


 前の触手で、ちょっとだけ身体を浮かしていたりもするからである。



 そこに映されたのは、まさしく、見たこともないような生物である。


 山影から顔を出すくらいだから、かなりの巨体であろう。


 しかも、なんと、口から火を吹いている。


 そうして、足元では、小さな生き物が逃げ回っているではないか。


 それらは、明確な手足と頭があり、服を着ていた。



船長


 『やはり、ここの連中は、知的生命体か。』



シポク


 『間違いありません。しかし、この記録映像とおぼしき中にいる生き物とは、一致しませんね。』



船長


 『うむ。火を吹く生き物は、カヴァレリア星系に、かつていたと聞いたが。』



シポク


 『はい。ルスティカという改造生命体ですが、すでに、絶滅しました。』



船長


 『ここにも、いたわけか。この連中は、その被害者か、あるいは、被捕食者かな。いやいや、逆かもしれないな。あの生き物と、なんらか、関係があるのかな。』



シポク


 『やや、映像が不安定なので、おそらくは、古いものでしょう。』



船長


 『む、過去の呪われし記憶か。それを見ながら、補食意欲を煽るわけか。つまり、この小さい生き物は、彼らの、餌食なわけか。』



シポク


 『そんなあたりかと。』



船長


 『よし、もっと、奥に入ろう。きっと、さらに何かあるに違いないぞ。』



シポク


 『あいあい。』




 偵察用超小型探査機は、さらに深奥部に突入してゆく。


 

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