『宇宙人はいなかった』 中の3

艦長


 『ふう。なんだ、あれは? 魚の補食動物かな。』



シポク

 

 『そのようですね。しかし、見てください、統制が取れていますね。引き揚げてゆきます。追いますか。』


 

艦長


 『もちろんだとも。犠牲者が出てるんだぞ。帰る手はない。空は飛べないみたいだしな。それに、あな、修理したまえ。帰れないぞ。』



シポク


 『あいあい。』



 ションは、その大量がさらに大量になった、不可思議な生き物を追った。


 あまり、沖合はるか、という訳でもなかったようで、早々に陸がみえてきた。大陸である。かなり、でかい大陸のようだ。



艦長


 『あとで、空から観察しよう。まずは、生き物だ。』


 

シポク


 『あいあい。艦長、あそこ、海岸の崖下に、建物があります。』



艦長


 『うむ。いや、こいつは大きいな。平屋だが、とんでもない規模だ。』



シポク


 『連中、あそこに向かってますね。』



艦長


 『む、む、む。やはり、あれは、知的生命体か。』



シポク


 『分析では、あの構造物は、かなり、古いですね。我々の単位なら、3000万サイクルは経っています。この太陽系は、我々の母なる星系に、かなり似ています。ただし、太陽は、すでに衰退期です。遠からず膨張しますね。』



艦長


 『なつかしき、我が家、か。』



シポク


 『ええ。まさに、あれが、我が家でしょう。超小型探査機を出しますね。』



艦長


 『ああ。実に興味深い。我々は、何を見られるのかな。』



シポク


 『過ぎ去りし、栄光。なんだか、そんな気がしますがね。見ちゃ、いけないもの。かもしれません。』



      🙅


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る