第七話 図書室の世界地図

 臨時教師になった優翔ゆうが玲子は、挨拶を終えてランティス王子に学園内を案内される。

メリウスと夢月零も後ろを歩いている。


「玲子さん、こちらが図書室になります」

「あら、大きな図書室ですね」


「ランティス王子、質問してもいいですか」

「何ですか、零さん」


「この世界の地図があったら見たいのですが」

「そこの奥のテーブルの左の棚に移動しましょう」


 ランティス王子は脚立を寄せて登り、棚の上から一冊を手にした。


「これかな」

メリウスが受け取り零に渡す。


「零さま、ランティス王子からです」

「ランティス王子、ありがとう」


「どういたしまして」

ランティスは照れて金髪の髪の毛を掻いている。


零、玲子、メリウスは、三人で地図を見ていた。

「知らない名前ばかりね・・・・・・」


 玲子の言葉を聞いたランティス王子が怪訝な表情になる。


「ランティス王子、こちらの言葉不慣れなもので」

「そうね、メリウスの言う通りね」


玲子はメリウスの機転でほっとした。


「ランティス王子、本は借りれますか?」

「零さん、生憎、貸し出しはしていませんが

ーー町の図書館なら出来ますが・・・・・・

ーー登録が必要になります」


「そうか、じゃあ、ここで見ますね」

「その方が面倒ないでしょう」


零は、ランティス王子に本を返した。


 ランティス王子は三人を学園の食堂に案内する。


「そろそろ、お昼なので食堂で何か食べましょう」

零と玲子が躊躇っているとランティス王子が察した。


「食堂のメニューは日替わりのみ無料ですから、ご安心ください」


零と玲子がランティス王子を見て笑顔で返した。


「僕は、食べ終えたら用事があるので離れますが

ーー分からないことあったらルシアに聞いてください」


「え、ルシアさんにですか?」

「彼女、口はキツイけど、あれでもいい奴です」


「ランティス王子のフィアンセですよね」

「まあ、それを抜きにしてもいい奴ですが

ーーとかく陰口を叩かれてちょっと変わってね」


「なるほど・・・・・・」

「メリウスさんは、分かりますか」


「よくあるパターンと思いました」

「分かってもらえ、助かります」


 食事を終えたランティス王子は、注意だけ伝えて食堂を出て行った。

 ランティス王子と入れ替わるように令嬢ルシアが入ってくる。


「あら、あなたたち、もう慣れたみたいね」

「いいえ、そんなことございません」


「メリウスさん、相変わらず反応が機敏ね」

「ルシアさま、そんなことございません」


「分からないことあったら、私に聞いてくださいね」

「ルシアさまに」


「ええ、わたしによ。

ーー他の人じゃダメよ」

「何でですか?」


「他の人は、わたしの悪口を言うわ」

「なるほど」

「メリウスさんは察しが言いわね」

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