第六話 ランティス王子

 メリウスを先頭に三人は女学園の廊下を進み理事長室に寄る。

メリウスが理事長室にいた背の高いハンサムな男性教師に挨拶している。


「異国から転校して参りましたメリウスでございます」

「メリウスさん、初めまして、ランティス王子です。よろしく」


「王子さまですか?」

「いいえ、生徒が付けたニックネームですよ」


「ああ、びっくりしました。

ーーこちらが、夢月零です。

ーーそして、こちらが教師の優翔(ゆうが)玲子です。

ーー同じ国から参りました」


「メリウスさんは、しっかりしていますね」

「ランティスさん、優翔ゆうが玲子です。よろしくお願いします」

「ランティスさん、夢月零です。イケメンですね」


「はぁ・・・・・・」

「異国の流行り言葉です」

「メリウスありがとう。

ーーランティス王子、イケメンはハンサムな男性よ」


「そうですか。夢月さん、ありがとう」


ランティスが三人を奥の部屋に案内する。

「あなたたち、娘のルシアとお会いしているそうね。

ーー私は、ここの理事長のシルク・ドメーヌよ。

ーー娘は、ルシア・ドメーヌね」


「ランティス王子は、ルシアのフィアンセよ」

理事長は、一方的に話してからランティス王子に耳打ちをした。

「分かりました。ドメーヌ理事長」


メリウス、零、玲子は、ランティス王子に引き連れられ教室に向かった。

「これから向かう教室は、一年B組です。

ーールシア・ドメーヌと一緒ですからラッキーですよ」


ランティス王子が、教室の扉を開けると女子学生がどよめく。


「みんな、静かにしてくれ。

ーー今日は、新しい先生と転校生を紹介する」


[ザワザワ]


「こちらが、優翔ゆうが玲子先生、そして隣がメリウスさん、最後が夢月零さんです。

ーー今日からみんなの仲間になるのでよろしくしてやってくれ」


 教室奥の窓側席にいたルシアが席から立つ。

「先生、その人たち、異国人ですよね」

「ルシアさん、何で知ってんの?」


「だって、さっき廊下で会ったもん」

「なるほど」


「先生、異国って、何処ですか?」

「・・・・・・」

ランティスは腕を組み考える仕草をした。


「ランティス王子、私が答えますよ。

ーー日本です」

メリウスだった。


「日本って、何処よ。聞いたことないわ。

ーーもしかして、魔法使いじゃないの」

ルシアは罵るように言葉を吐いた。


「ルシアさん、私たちは日本人ですよ」

「メリウス、だから、知らないわ」

「じゃあ、今度、お連れしましょうか」


「ルシアさん、今は顔合わせですから」

「分かったわ。ランティス王子」


ルシアはメリウスを見て

「メリウス、仕方ないわね。続きはまたよ」

席に座った。


教室の女子生徒たちもほっとしている。


 零は、ルシアが悪役令嬢かも知れないと思った。

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