第四話 令嬢ルシア

 黒猫メリウスは変身魔法がタイムアウトする前に、次の魔法を発動させた。

メリウスは、別の女子生徒姿に変わる。

零と玲子はポカーンとして呆れる。


「零さま、変身魔法がタイムアウトしそうで慌てました」

「メリウスでも慌てることあるの」

「しょっちゅうです

ーーなので、設定時間変更をしました」


「そんなこと出来るの」

「零さまと優翔ゆうが玲子先生に説明したのは初期設定です」

「なるほど」

「じゃあ、他も変更可能なの」

「はい、理論的には・・・・・・」


玲子が口を開く。

「三日以上は困るわ」

「大丈夫です」


「何が大丈夫ですか」

「はい、異世界と地球時間は違います」


「違うというと?」

「さっき、見たじゃないですか」


「何を」

「次元トンネルです」


「あの暗闇ですか」

「はい、あそこは時間トンネルとも呼ばれている空間です」


「時間トンネルですか?」

「はい、だから大丈夫です」


零が尋ねた。

「メリウスの変身時間はどう変えたの」

「転移時間に合わせました」

「なるほど、それなら心配ないわね」


「じゃあ、メリウス行きますか」

「零さま、メリウスのあとを付いてきてください」


「分かったわ

ーー先生は、どうしますか」

「わたし、どうすればいいの?メリウスさん」

「先生も、ご一緒ください」


「メリウスって魔法使いなの」

「零さま、普通の召使いでございます」


「メリウス見ていると、御伽噺のアラジンのランプを思い出すわ」

「そうよね、夢月さん、なんとなく登場の仕方が似ている気がするわね」

「先生まで、悪のりでございます」


「メリウスは前世でわたしと一緒だったのですよね

ーーその時も転移時計はあったの」

「あの時代は、ランプの形をしていました」


「やっぱり、アラジンじゃない」

「いいえ、わたしはメリウスでございます」


 メリウスと零の軽口の最中、学園の廊下を綺麗な女子高生が通り目が零と合う。


 女子高生は明るい水色の長い髪をして瞳も同じ色だった。

肌は透き通るくらい白く短い制服のスカートから健康的な色艶の良い長い足が伸びている。

顔立ちは整っていて気品が漂う。


「あなたたち、見かけない顔ね?」

メリウスが答えると、女子高生の態度が急に軟化した。


「わたしは、一年のルシアよ。よろしく」

「よろしく、ルシアさん、メリウスでございます」


「零です。よろしく」

「優翔(ゆうが)です。よろしく」


「みなさん、聞きなれないお名前ね」

「ルシアさん、異国から今日到着したばかりです」

メリウスは、普通に説明している。


「そうなの。よくあるわ。

ーー分からないことあったら令嬢のわたしに聞いてください」

「令嬢?」

「ルシアさんは令嬢なの」

「そうよ。零」

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