第八十四話 第一国奪還戦①




(ダン視点)


─17時 《王都》



「イベントももうそろそろ終わりか…長かったようで短かったな…」


「それなー…あと数時間きばって行きますか」


「ちょっと縛ったりとかして──」



《王都》の間物もほとんど残すはボンレーナと細々とした雑魚だけか…でも気を抜いてはいけない…この前も気が緩んで痛い目を見たからな…



「リーダー?いつまでも気を張りすぎでは?ここから何かあったとしても十分に今の《王都》に不足はないと思いますよ」


「…副リーダー…そうだね…気は抜かせてもらうよ…でも不安要素がまだ残っているから少し暇でもあるしボンレーナを狩って──」



…いきなり静かになったな…?さっきまで激しく鳴っていた金属音や魔物の鳴き声が明らかに少なくなっている。



「リーダー!さっきまで戦っていたボンレーナが突然消えました!」


「どういうことですか?HPを削りきったわけではないのですか?」


「いえ…HPはまだ半分も──」


「リーダー!…はぁ…はぁ…」



突然前線で戦っていたはずの一班の中の一人が俺がいた高台まで全速力で走ってくる。



「…突然魔物が【暴雷禁区】【斬風禁区】【アマテリアル研究所跡地】にスポーンしました!」


「なにっ!?」



望遠鏡を取り出し、3つ禁区を観察する。先ほどとは雰囲気が違っている

少しするとすぐに魔物の姿は確認できた。



「ん?何か来てないか?」

「魔物の追加ジャナイカ?ハヤメに終わってしまってはチョウザメだからね」

「素材の追加発売ありがた─」



昨日のお知らせの強力な魔物一覧に載っていた全ての魔物(古の剣は除く)がぞろぞろと3つの禁区から出現した



「…はぁ?」

「なんか知らんやつデテキマシタネ」

「ボンレーナちゃん倒されてなかったんだ……よかった…」

「ねぇさ全体的にでかくない?」

「まじでいってんの?」



ほとんどのプレイヤーは名前だけで強力な魔物の姿は見たことがないからな…


正直一半プレイヤーは戦力にはならないだろう。



「ここからが本番…かな…?」


「なんかリーダー楽しそうですね…普通絶望するレベルのやつだと思うんですけど」


「そりゃ楽しいでしょ…ボスラッシュ。心が躍らないわけがない、ね!」


「あぁ!ちょっと勝手に!」


「じゃあとよろしく!副リーダー…」


「はぁ〜……一、二、三班は暴雷…四、五、六は斬風…七、八は私と一緒にアマテリアルに…行動開始!」



いやいや言いつつもやってくれるのは流石副リーダーだな…

じゃあ…まずはあいつからだ




*




(主人公視点)



─魔物不法投棄後



「禁区にて強大な魔物を複数体確認した!城の警備は最低限残して魔物の対処に当たれ!」


「でも来訪者の皆さんもいますし、城の警備もおろそかにするわけには…」


「その来訪者が倒しきれず街へと侵入した魔物をお前らよくだけで対処できるのか?!来訪者はお前の数倍は強いんだぞ!」


「でも城の警備を──」


「だから来訪者が対処できなかった魔物なら《王都》はそもそも瓦礫の山になるんだよ!お前らがいたところでどうにもならん!城壁の上から矢でも撃っておけば多少はダメージを与えられるだろ!わかったらさっさと行ってこい!!」


「はい!いますぐに!」



城を警備していた兵士は他の兵士にも伝えに行ったのかどこかに走り去っていった



「………行ったかな?……ふぅ…シノ今のうちに侵入しましょう」


「……本当にエイダさんですよね…?本当は城の兵士じゃないですよね?」


「…サブクエで兵士にもなったことがあったので少し真似しました。姿はスキルですけど……さあ、行きましょう」


「はい、いますぐに」




*




難なく城内への侵入完了



「では王女の捜索はシノにお願いします。基本連絡はチャットで」


「了解です。じゃあ私は隠れますね[遮絶]」



作戦開始!



([骸咆哮]ウ゛オ゛ォ゛ォォォーーーーン!!!!)







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