第七十七話ユニークモンスターとイベント㊹
(ぜぇ…ぜぇ…な、なかなかやりますね…)
「はぁ…はぁ…そっちもね…」
しばらく言葉の殴り合いを続けていた二人だったが両者とも同時に放った言葉で瀕死となり、引き分けとなった
(……そういえばあなたどなたですか…?接点がまったくないように感じるのですが…)
「…っ?!わ、私のこと忘れたの…あんなに大切にしてくれてたのに……」
(そう言われましても…)
もしかしたらイデアの知り合いなのかも…おーい?イデアさーん?この人?でいいのか、知ってるー?
──しーん…
たぶん喋れないのかな…?
後で呼び出しあったらすぐ行こ
とりあえず今は知ってる風にして、話し合わせるか
(あー思い出しましたよ!少し風貌が変わっていたので気づくのに少し手間取りましたよー)
「お、思い出してくれたの?本当に?念の為一つだけいい?」
(………………大丈夫ですよ)
「その変な間はなんなのよ!…ま、まぁいいわ!言うわよ…私の好きな食べ物は…?」
んー…知らん…というかなんで好きな食べ物?もっと確実性のあるものにすればいいのに…
よほどのもの好きでない限り、ある程度絞れるだろうけど、それでも人によって好みが違うし……うん!ここは当たり障りのない回答でもしとこう!
(……貴方は好きな食べ物が沢山あって、どれが一番好きなのか分からないですよ…)
「……まぁ確かに大体合ってるわ…私好きな食べ物は多いもの!でも美味しすぎるのが悪いのであって、少しずつ体重計が処刑台に見えてくるのは私のせいではないの!!」
(なんのことですか?)
体重気にしてるんだね…ダイエットがんばってね…
「……でもおばさんは私のことは貴方じゃなくてルルって呼ぶのよね…偽物さん?」
(ひ、人違いだったかもー)
「……私に話し合わせてくれたのよね……ありがとね」
あら、意外に素直…性格が少々きついから素直に変えておこう
そして今ルルって言ったよな?
洞窟にいたル・コント・デーモンのルルは本当にあのルルなのか?
洞窟のルルよりも今目の前にいるルルの方があのルルっぽいし、洞窟のルルは別のルルのなのでは?
なんだかルルがゲシュタルト崩壊してきたな…
「……私帰るわね!元気でね!……あ、この子は持って帰るわね」
(元気で…って待ってくれないか?私はどうしてもそいつを殺さなきゃならないんだ……ここに置いていってくれ)
「それはきけないお願いね……私もこの子をもとに戻さないといけないの……置いてはいけないわ」
(話は平行線のようだな…戦うしかない──ん?戻せるの?)
「そうねそういう定めみた──え、ええ戻せるし、そのために今日来たし…」
戻せるなら殺す必要なくね…?
だってイデアのクエストの殺して欲しいは苦しみから救って欲しいみたいな意味合いの言葉でしょ?
で、戻せるのなら苦しみから救えるしなんなら幸せまであるな…
(………どうぞ、持っていってください…)
「……なんで言葉の意味が一瞬で真逆に変わるのよ…逆に怪しいわよ…」
(彼は私を怪しくないと思います)
「どこぞのゾンビの真似しないでくれる」
(今回の私は完璧で幸福でしょう)
「なんか機械的で不気味ね…じゃなくて…遊んでる暇はないの!私は帰るわね!」
(あ、少々お待ちを…)
「なに?まだ何かあるの…」
[鑑定]
[結果:測定不能]
スー…戦いにならなくてよかった…
(あ、もういいっすよ…どうぞおかえりください…)
「なんか急によそよそしくなるわね…じゃあね!今度会ったら覚えときなさいよ!次は絶対に言い負かしてやるんだから!」
(スー…ハイ…トテモコウエイデス‐…オゲンキデ‐)
ルルはその場で跳躍して、翼を広げて一瞬で空の向こうに消えていった…
二度と会いたくないな
……?シノからメッセージが来てるな…なになに?日誌とな?内容はどうでもいいな…どうせ不憫な研究者の独り言しか書かれてないだろ…さぁてボンレーナちゃんの報復に王都を潰す準備をするぞー!
*
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