第七十三話ユニークモンスターとイベント㊵




しばらくシノを抱えて数千里…ようやく《王都》が見えてきた。なんか最近来たはずなのに最近な気がしないな…



(シノ、《王都》が見えてきましたよ。ほらあの異世界物にありがちな街です)


「本当ですか?!わぁ!本当に異世界物にありがちな見た目してるんですね!…でも付近に近未来的な建物があるのはものすごく違和感がありますけど…」



シノが近未来的な建物といっているのが今日の目的地【アマテリアル研究所跡地】である



(一番向こうのビリビリしてる所が【暴雷禁区】、真ん中の風で覆われてるのが【斬風禁区】です)


「ほぇ〜…じゃあ観光がてら《王都》に…」


(シノ〜?今日の目的地は《王都》じゃなくて【アマテリアル研究所跡地】ですよ〜?観光なんてしてる暇などないんですよ…?)


「ひぇ…!」



それと今日はシノにたくさん頼ることになるだろうから、余計観光なんてできないよ?シノちゃ〜ん?おじさんと一緒に戦場デートしようねぇ…?


よし!研究所跡地前についたし早速始めますか



(じゃあシノ、行ってらっしゃい)


「へ?また私…?」


(私、熱にも寒さにも耐性がないんですよね…でもシノは[遮絶]で安全に進めますから……じゃシノ、行ってらっしゃい)


「いやいやいやいや…私一人じゃ無理ですって!嫌です!絶対に動きません!」


(しつこいですね!さっさと行ってきて下さい!!)


「なんで今日は2回も投げられるのぉぉぉぉ……!!」



……しっかりとシノを見送ったし、俺はボンレーナちゃんと邪魔なクソ害悪龍の所に行きますかね…


そして奥の手の準備もしとかないとだから魔物も狩りまくらないと…もしもの時のために




*




ドカーン!


「ありがとうございます!!」


ドガガーン!!


「なんという至福の極み…!」


ドドドガカーン!!!


「このときだけ性を実感できる…」



来てそうそうこの始末…何この変態集団は…しかもかなり多いし



[深淵より来たるは黒ー…生さえも喰らう虚無となりし闇ここに顕現せよー…闇極大魔法ー…新月ー…]


「ぐぁあ!なんだこれ!」


「激しい不快感を感じる!」


「でもこれはこれで」


「「「気持ちいい!!」」」


[複数のプレイヤーをキルしました。戦利品はインベントリに格納されました]



本当になんだったんだ…もう忘れよう



(もう!貴方私のファンに何してくれてんのよ!)


(え?あ、喋るんですね…とりあえずはいチーズ)


ニコッ!



突然スクショしたのに嫌な顔せずにダブピまでしてくれた。かわいい



(…今回は多めに見てあげるけど、次撮る時は一言言ってね!せっかく撮るなら可愛く撮って欲しいし!……で、何の話してたんだっけ?)


(ファンに何してくれんのって話です。)


(ああ…そうだったわね…ファンは…もういいわ…なんか怒りづらいし…)


(なんか申し訳ないです…)



気まずい…上司と会話していて上司のギャグが大スベリしたときぐらい気まずい



(……なにか私に話があるんじゃないの?)



あ、急に話題を変えた。でもありがたいのでそれに乗らせてもらおう



(私達と取引をしませんか?)



黒王と会話していて確信した。ある程度知能がある魔物ならば交渉ができると。



(…申し訳ないのだけど、もうしちゃってるのよね…人族と)


(人族とですか…もしかしてゲイルとかいうやつじゃないですか?)


(………多分そうだと思うわ…)


(……確信はないんですね…)


(申し訳ないけど私あまり物覚えが良い方ではないのよ…でも胡散臭そうな髭面の細いやつだとは覚えているわ)



おそらくはというか、十中八九ゲイル…というかそう信じるしかない



(その取引は契約書などはあるのでしょうか?)


(いいえないわ、都合が悪くなったらいつでも裏切ってくれて構わない…とだから口だけの取引ね)



怪しい…【玉の厄災】を使用しているやつがそんな大雑把でやるか?数ある取引の中で口だけの取引が最善なこと…



(取引内容はなんですか?)


(それは口に出すことはできないわ…)


(取引でわたされたものはありますか?)


(取引関係でわたされているものはないわ。でも…お近づきの印といってこれを…)



ボンレーナちゃんは帽子から一つの指輪を取り出した。


紫色に鈍い光を放っていて、明らかに怪しい



(これつけましたか?)


(いいえ、明らかに怪しいですもの、流石につけていないわ)


(少々お借りしても)


(どうぞ)



こういうときに役に立つ[鑑定]!



name 従属の指輪

装飾品 拘束具


装備した瞬間。指輪の主人と定めされた人物との奴隷契約を結ぶ指輪

装備しなくても徐々に所持者の心を蝕み洗脳のような形で主人の思うままに行動させることができる

製造所持禁止魔道具である



ふむふむ……地面に投げて、鎌をバールのようなものに変形させて…ドーーン!ドーーン!ドーーン!ドーーン!ドーーン!ドーーン!


ああ…腹がたつ…!なにが裏切ってくれてもいいようにだ…?ふざけてんのか?



(ふぇ…へ?何でこんな所に?私家にいたはずじゃ…)


(おはようございますボンレーナさん…ちょっと動かないでくださいね…!)


(へ?!ちょ、どこを触って…!)



いや帽子の中に手を突っ込んでるだけですが…何もやましいことなんてしてませんが!あ、駒発見



(じゃ!私はここらへんでさようならーー!)


(逃げるなぁ!ドロボー!)



心外だな…せっかく助けてあげたのに…まぁかわいい写真撮ったし…今日中にゲイルをぶっ殺す理由ができたし…さっさと邪魔なクソ害悪龍の所にいきますか…







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