第七十一話ユニークモンスターとイベント㊳
[……ここからが本題なんだが…今この国の最高権力は誰だと思う?]
「それはまぁ…王位を次ぐはずの王子とか…?」
[それも正解ではある…でも事実上の最高権力は以前侯爵だったゲイルだ]
(えっ?!すでに10年以上経っているのに黒王はともかく、なんであいつまで生きているのですか…?あいつは普通の人族のはずでは…?)
黒王は魔物化しているからあんな老人の姿から10年以上経っていても生きているのは不思議じゃない…ゲイルがなんで生きているんだ…おかしい…あいつは記憶ではすでに60は超えていたはずだそのまま行くと今は70を超えているはずなのに…そもそもここは医療が発展している《セカディル》があったとしても文化は中世ぐらいのはずだ…いくら元気だとしても世代交代ぐらいはするはず……
[ああ…そのとおりだあいつは普通の人族だ…あいつはな。多分あいつには何かが取り付いている。それもこの国を破滅させるほどの物が…何かはわからんが…]
「何かが…ですか…悪魔とかその類ですかね?」
[いや悪魔ならよっぽど良かっただろうか…もっと立ちの悪いもの…【厄災】だ]
(私達の手には終えないようですね…それではここで失礼します…)
「いや!話は最後まで聞きましょうよ!」
シノさん…【厄災】だよ…この国…いやこの世界を破滅させかねない物だよ…いくら俺がユニークモンスターだからといって勝てないものは勝てないんだよ…ゾンビウルフの大群とか…
[話だけでも聞いてほしい…頼む…この通りだ…]
「あ、あ頭を上げてください!は、話聞きますから!ほら!エイダさんも!」
(わかりましたよ…)
[ありがとう…では──
──肝心なところから言おう…この件に関わっている【厄災】は【玉の厄災】…簡単に言えばアカシックレコードの劣化版だ]
アカシックレコード…元始からのすべての事象、想念、感情が記録されているという世界記憶の概念のこと…それの劣化版…劣化版言うてもヤバそうではある
[アカシックレコードについては大体知っていそうだな…なんで劣化版なのかは全てを理解することができないこと…つまり人族の脳のスペックに合わないということだ。]
そりゃそうだ。全てのことを記錄してあるんだ…人族が全てを理解できるはずがない。多分暴走していたのは脳のスペックが足りずに脳が暴走した結果だろう。ほとんどの人は使用した瞬間死にそうだけど…
[【玉の厄災】は《ケネル》で保存されていた。王族とかなりの権力者のみがその存在を知っていた。もちろんゲイルもだ。]
「それって簡単に使われちゃいそうじゃないですか?かなりの権力者に」
[それについては大丈夫だ。だって使用した瞬間に大体の人族は死んでしまうからな……でも例外はいるもので…その性質上見張りをつけていなかったのがいけなかった。いつの間にか保管場所から【玉の厄災】が消えてしまった。]
うんまぁそうなるわな…
[それからゲイルが時々同行してくるようになった。今後のためなどと言ってな…追放されるまではゲイルを強く信用してしまっていた。何故かはわからないが…そしてあいつを殺し…研究が失敗し、私はゲイルに全責任を被され追放された。私には娘が一人しかいない…しかも成人していない…私は娘が心配でたまらない…ゲイルに操られているかもしれない…もしくは地下牢に幽閉されているかもしれない……だから娘を救ってほしい…これは強制ではない…私からの
[システムメッセージ:ワールドクエスト 囚われの王女 が発生]
[クエスト成功条件 王女を救出し一日の間王女を守りきる。
失敗条件 王女を守りきれないこと]
[報酬は渡せるものはほとんどないが…次の国への行き方であれば教えることは可能だ。]
[システムメッセージ:
報酬 第二国への行き方
この報酬は失敗したときは受け取ることができませんが放棄した場合は受け取ることができます]
[もちろん、諦めたとしても次の国への行き方は教えられる。お前の他に誰も来なくても儂が一人でゲイルを殺して儂も死ぬだけだ…成功したとしても追加で報酬は儂からは渡すことができないが…そのときは儂の娘にねだってくれ…]
「わぁ!わ、ワールドクエストですって…エイダさん…」
(ワールドクエスト…ねぇ…)
クエストには成功した、失敗した、放棄した人数が記録される。このクエストは…
[成功人数 0 失敗人数 0 放棄 1]
まだ一人しか挑めていない…そして放棄しているのか…まだ一人しか挑めていないのはわかる…このクエストは黒王からしか受けられなさそうだし…でも放棄1がよくわからないな…クエストは失敗しても俺みたいなのじゃなければ何度でも挑むことが出来る。なんで失敗じゃなくて放棄なんだ…?
[…あと一つ伝え忘れていたことがあった…《王都》のスタンピードを操っているのはおそらくゲイルだ…おそらく冒険者の底上げと兵力の強化…魔物を戦争に使うつもりだろう…]
ハハハ…御冗談を…人族が魔物を操れるわけが──
[ゲイルの口癖は「魔物なんて所詮捨て駒ですよ」だ。そして今あいつには【玉の厄災】の力を持っているだろう…魔物を操ることなど容易いはずだ]
(ではなんで《王都》以外でもスタンピードが…?)
[それは儂にもわからんのだが…推測だが…なにか大きな者がゲイルのスタンピードに乗っかったのだろう…]
「運営じゃないですかこれ?ボソボソ…」
(うんまぁそうだろうな…ボソボソ…)
[とりあえず儂の話は終わりだ…どうか娘を救ってくれ…]
「すいませんその話はお断りさせていただきます」
[そうか…儂の話を聞いてくれるだけでもありがたいのだ…それでは次のくにへの行き方を──]
「違います。娘さんだけではなくこの国 《ケネル》も救うからです!」
[─っ!!本当か!]
[システムメッセージ:ワールドクエスト 囚われの王女からユニーククエスト [第一国奪還戦]へと変更しました。…ご健闘をお祈りします]
………なぁぁにやってくれてんだぁ!!!!
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