第五十三話【最強格】(別視点)




「案外呆気なかったね」


「まぁあの時俺等がやられたのは、十中八九最弱装備縛りとかいう舐めプのせいだし…よほどのことがない限りは負けないわな…」



最弱装備だったとしても私達を一回でも倒したのだから少し強い魔物なのかと思っていたけどそんな事はなかったし…状態異常が使えれば相当強力な魔物であることには違いはないんだけど…状態異常を封じられてからそれを打開できる力量がないなら、ただの魔物と変わらないのかな…



「おーい!三号!そろそろ起きろぉ!」


べちぃ!


「〜ッ!なにするんだよ!もう少し優しく起こすとかできないの──」


「おはよう三号!来週は何もないし来週行こうか」


「1日だけなら慣れてるし…しょうがな──」


「何言ってるの?1日だけ?行くけど?もちもん来てくれるよね?」


「ぁ…ぁ゛ぁ…」


「ありがとう三号」


「おい…そんなことよりちょっと見てくれ…魔物の死体がまだ消えていない…」



通常の魔物なら倒したあとは死体が消失してドロップアイテム岳が残る。今回のイベント中に湧いてくる魔物もドロップアイテムだけ残して死体は消える



「HPは……ちゃんと0になってるな…」


「じゃあ倒れてるでしょ。多分その魔物時々ある死体が丸々ドロップする系の魔物だと思うよ」


「だとすると[解体]持ちが必要か……フレンドの[解体]持ち皆今忙しそうだし…また明日にするか」


「死体は残るしね」



死体が丸々ドロップする魔物は素材の量が多かったり、レアドロ率も高いんだけど[解体]がないとアイテム化できないし、そもそも運べない。



「じゃあ今日は帰りますかねー」


「三号おら動け!」


「だから痛いって!お!向こうも終わったみたいだな」



すでに真っ暗になっていた戦場に餓者髑髏が落ちる…これで今日の分は終わりかな…



「なぁ…そういえばさ《セガディル》と《フォーバル》で強力な魔物を倒した時にアナウンスがあったよな…なんで?」



確かに《サーデム》はイベントが始まってから強力な魔物が討伐されましたというアナウンスは一回も流れていない。明らかに強力な魔物を討伐しているにもかかわらずに…


他の《サーデム》で討伐した強力な魔物っぽいやつらは死体を残さずにドロップアイテムだけ残した…あの魔物のみ死体が残っている


私と二号は後ろを振り返り私は銃弾を二号はロングソードであの魔物に攻撃する


両方とも魔物に命中するが全くマモノは動く気配はなく、やはり死んでいるように見える。杞憂だっただろうか?



「どうしたんだよお前ら突然死体に攻撃して……ん?犬?」



いぬ?犬?犬!?どこだ?!犬はどこだ?!



「一号そっちじゃなくて魔物の方」



こっちか!?こっちにもふもふが?!



ァッ──がわ゛い゛い゛



「でもどうしてこんなところに犬が?この魔物の仲間か?従魔か?」


「おい馬──犬に三号話しかけても通じるわけ無いだろ」


「わかわかわわかわかわかわかわかわ───」


「おーい一号?」


「かわかわかわかわかわかわかわかわ──」


「だめだこいつはもう手遅れだ」



かわいいねぇ…どこから来たのかなぁ…?今一人?ちょっとお姉ちゃんと一緒に来ない?



「言葉を発しなくても考えてることが気持ち悪いのはわかるわ」


「完全に同意だわ…あっ…」



まっでぇ!いかないで!そんな魔物のどこがいいのよ!私のほうがあなたのことを幸せにできるのに!



「俺前までなんで一号が獣に嫌われてるのかわからなかったけど今ならわかるわ」


「完全に同意だわ…」



私から離れて魔物の方に行ってしまった子犬はしばらく魔物を舐めたあと液体のように変化して魔物を覆い始めた


まるで影が魔物を這っているように広がり魔物を覆い尽くした。


顔に当たる部分には真ん中が縦に避けたような目玉がついていて赤く光っている。


影に覆われた全身は毛むくじゃらになっていて狼男のような風貌である


このゲームにもワーウルフという狼男のような魔物がいるがそいつとは決定的に違う


こいつは明らかにやばい



[ユニークモンスター 〈忿怒の骸狼 イデア〉と遭遇………デバイスに異常を検知デバイスに異常を検知デバイスに異常を検知デバイスデバイデバデデデ…許さない許さない許さない許さない…]



これほど全プレイヤー初だけど嬉しくないことはないねー…







お読みいただきありがとうございます!


近況ノートに骸ノ宵&ごろーのイラストがあります。作者が書いているため少々不格好ですが…


もしよろしければ★と♡、フォローのほどをよろしくお願いします…デバイスに異常を検知デバイスデバイスデデデデデデデ……





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