第四十一話 消えゆく盾(別視点)




(別視点)



【速報】武闘国の元武盾流師範、勢い余って100人以上を殺害



元武盾流師範が稽古をしていた最中に、勢いあまり周辺の住民を100名以上殺害してしまった


彼をよく知る人たちは彼を「関わっちゃいけないタイプの戦闘狂」「いつかはやると思ってた」などと評価している


元師範は「力加減を間違えた」と容疑を全面的に認めている模様


世間では「狂剣流や剛拳流がやらかしたならわかるが、なぜ守りに強い武盾流が…?」と困惑している



(とある禁書でもなんでもない新聞記事より引用)



ただの頭のおかしい戦闘狂…



(禁書にならなかった盾の厄災の真実より引用)





*





「小娘…あまり美味しくないのぅ…」


「あの元爺さんでいいんだよね?」


「ああ…そのはずだ…」


「じゃあなんで若返ったうえに、剣豪死人食べてるの…」


「それは俺にもわからん…」



突然爺さんがショタ化したあと討伐した剣豪死人に近づいてむしゃむしゃと手から食べ始めた…


それで驚いて一号が爺さんに向かって発砲したんだが…



「ねぇ二号…私の弾ちゃんと当たってたよね…」


「ああ…しっかり顔面に…」


「なんで傷一つないの…」


「それも俺にはわからん…」



なんと傷一つつかないという…一号が剣豪死人との戦闘と同じ威力で確実に顔面にあたったはずなのに…



「美味しくはないが…食べれないことはなかったのぅ…」


「ねぇなんであの爺さん完食してるの…」


「それもわからん…」


「おや…完食するまで待ってくれておったのか?帰ってくれても良かったのだが…」


「いや引きすぎて動けなかっただけだ…仲間じゃないのか…?」


「仲間ではないのぅ…今日あったばかりではないが…」


「それでも食べはしないよー」



三号が固まって空気になってしまっている…その巨体で固まられると戦闘になった時邪魔なんだが



「戦場で食料は大事なんじゃぞ…食料が落ちてたら食べないともったいないからの…」


「あれを食料として捉えてることが異常なんだが…」


「久しぶりにこの体になったから腹が減って仕方がなかったんじゃ…」


「逆に食欲失せるだろ…」


「ようやく小娘のおかげで腹も満たすことができたんじゃ…」


「この爺さん私達の声途中から聞こえてなくないー…?」



確かに少し様子がおかしいような…?



「儂が若かった頃はまともな飯も食べることができずにそこら辺に生えている雑草を食べて育ってきたんじゃ…それに比べたらこの小娘は立派な食料になるんじゃ…」


「おーい?爺さん?」


「それを捨てるなんてこと儂にはできない…だから戦場で死んだ者は食べることにしてるんじゃ…」


「聞こえてるー?」


「いつでも美味しいものを食べられることが常識だと思っておらぬか若者よ…」


「いやそんなこと思ってな──」


「思っているからそんな発言ができるんじゃ……まともな食事ができることを常識だと捉えているゴミどもが儂は一番嫌いなんじゃ…」



なんかまずい気がする…



「ゴミはゴミらしく捨てないとのぅ…!」


「一号!はやく盾の後ろに!」


──ズドォォォォオン!!



何だよ!この威力!さっきとまるで違う…!



「盾の使い方がなっとらんのぅこのゴミは…」


「は──」


「それだと前が見えんだろう?見えやすくしてやろう…」


────バキバキバキバキ!



盾で弾かれた空気を防いで一瞬爺さんから視線が外れた隙に急接近され、つつかれただけで盾が破壊される



「一号!俺のことは気にしないでいいから撃て!三号!さっさと動け!!」


「はっ!?すまんぼーとしてたわ!」


「はいよー射出ショット



盾が破壊されたらこのパーティで空気弾を防げるのが三号が大剣で上手くパリィするか俺が体をはるしかないので、三号をはたいて目を覚まさせておいた



「それはもう見飽きたのぅ…ほれ…」


「相殺されるのは想定してたけどー…この状態の私の弾を防げるのやばいよー」


「じゃあ返してあげよう…[模倣][射出ショット…」


「俺が防ぐ![パワーアップ]!」


「頼むぞ!三号!」


「一号の守りは任せとけ!」



おそらく[模倣]は相手のスキルを威力もそのまま真似するものだろう。

三号が[パワーアップ]を使った状態なら一号の[射出ショット]は割と簡単にパリィできるからそれを相殺する空気弾もなんとかなるだろう…



「しばらくは俺がお前にダメージを入れてやるよ…」


「次は盾じゃなくて心を壊してやろうかのぅ…」



なんかこの爺さんならやりかねんのが怖いんよな…



「お主に儂流の盾の使い方を教えてやろう…」


「それはぜひとも教えてもらいたいね…!」


「教えるのが死体にならなければいいがのぅ…」


「言ってくれるねぇ!まるで自分が負けることがないみたいに!」



この爺さん…いやくそガキジジイ!自分が絶対負けないことを確信してるのか…?



「そりゃそうじゃ…だってもう─」


「決まっていることじゃ」













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