第十二話ユニークモンスター街にて②
「すいませんでした!!!!」
開幕土下座…
あの後、慌ててあのプレイヤーに見せたページを見せると、この状況になった。
「声が出せない方とは知らなかったとはいえ、あんなに詰め寄ってしまって…本当に申し訳ございませんでした!!!」
床えぐれてるって…
やはりやばい店だったか…
しかし一度入ってしまった店からは出ることができない呪いが陰キャにはかかってしまうのだ…
「あんなことをした後でおこがましいとは思うのですが…飯を食べていってくれませんか……?ほぼ廃業寸前なんです…お代はくださいぃ!!」
「お願いします!!!」
なんか可愛そうに見えてきた……
食べていってあげよう…
『顔を上げてください。そもそもご飯を食べに来るためにこのお店に入ったのですから食べるに決まってるじゃないですか』
と書いて見せるとあからさまに嬉しそうに目を輝かせる…おっさんのそれはあまり需要ないのよ…
「ありがとうございます!!じ、じゃあ、こちらのお席へどうぞぉ…」
「じ、じゃあ俺が厨房やりますね…」
何で店主が接客してんだよ…
あんたが料理しろよ…
「ご、ごご注文はおきまりで、でしょうか?」
いやまだ座ったばっかりだから…注文もなにもメニューすら見てないから…
俺はメニューを開き一通り料理をながめる。見事に日本食のみ…
『すいません、これはどのような料理なんでしょうか?』
「そ、そちらは弱火でじっくり─────」
説明文最初から読むのかよ…長い…長いって…
『取り敢えずそれでいいです』
「いやいや、全部の料理の説明がないとどのようなものかわからないでしょう!これは───……」
無駄なところにこだわりを持つな!
俺が今求めてるのは、あんたの説明じゃなくて料理!
結局全ての料理の説明を聞く羽目になってしまった…それだけ自分の料理に自信があるのだろうが、これでは客が来ても固定客にはならないだろう…
俺は最初に頼もうとした料理を注文した。
時間がかかってしまったためごろーがキレそうだ…
『あのー従魔の餌を作ってもらうことって可能ですか?』
「お客様がお望みならば!」
『では保存の効くものが嬉しいです』
「承知いたしました」
もうなんか店長が従者みたいになってるんだが……
*
「お待たせいたしました…こちらTENMUSUとドッグフードになります」
TENMUSU…名前通りの天むすだった…
そしてドックフードか…これは日本食じゃないんだな…
天むすにはかなりの大ぶりのエビの天ぷらが海苔に巻かれたほかほかのご飯の中にぶっ刺さっていた。エビの天ぷらは10cmはありそうだ…
ドックフードはドックフードだ…
いただきます…
天むすにかぶりつくと中からぷりっぷりのエビが出てきた。このエビと衣、塩のきいたご飯との相性がいいことで…あっなくなった…
大丈夫…天むすはまだ一個ある…これを味わって食べれば…
ちらりとドックフードを食べているであろうごろーを見る。
もうねぇ…
こいつどんだけ早食いなんだ…そしてまだ物足りてなさそうだし
そしてごろーが食べていた皿に目が行く…エビのしっぽがある
自分の手を見る。
天むすがなくなっていた…
ごろーお前の食費を誰がこれから担うと思っているのだろうか…飯抜きの覚悟があるのか〜?お前に…──
何はともあれ美味しかったのでまた来ようと思っているが…それまでに潰れてないと良いが…
俺たちが食べ終わったのを見計らったのか店主が机の横に移動していた。
かるくホラーだからやめてほしい…
『会計の方をお願いします』
「では4500になります。」
安いのよ…それ日本円で450円よ…本当に次来るとき潰れてそうで怖い…
俺は4500と追加で15500払っておく
「お客さん!多く払ってますよ?」
『チップだと思っておいてください』
「はぁ…?」
プレイヤー間での取引には多くお金を払うことがシステム的に可能だが…NPCがそのような行動をするかは知らんがこちらからするとここまで客がいなくて安くてうまい店はないので潰れないでほしい…
『ご飯とても美味しかったです。ではまた来ますね!』
「またのご来店を─」
俺は清々しい思いで───
「お客さん…従魔が…」
ごろーがその場から離れようとしない。
おらいくぞ!このわんこめ!
いくら引っ張ってもびくともしない…
お前絶対俺がいなくなったら、店主や店員にバレないように厨房にあるドックフード食べまくるつもりだろ!
お前しかドッグフード食べないから!従魔の餌ってきいて店主絶対買いに行ってたから!
バレたら絶対俺が餌代請求されるんだよ!おらぁぁ!!早く離れろー!!!
*
皆さんのお陰でなんとフォローが100を超えました!!!
作者のモチベになるので★や♡もよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます