数学ができない鵜飼くんとデート(?)

「少しだけ一緒に家の近く散歩――いや、デートしない?」

 ??? 

「どうゆうこと!?」

「あ、嫌だった? 嫌だったらごめんね。」

「いや、嫌とかではないんだけど……どうして急に?」

「ちょっと受験頑張ったし……その、優奈と一緒にいたくて……」

「……」

そんな可愛い事言われたら……行くしかないでしょ!?

「わかった。家帰って着替えたら行こう。」

「やったー!」

聖奈はまるで幼い子供のようにはしゃぐ。

まったく。受験に受かってもカフェにデート(?)しに行くのに。

まぁ2人で過ごせる時間が増えたら、嬉しいけどね。

家に帰るために2人で電車に乗り込む。もう夕方近いので、だいぶ日が傾いている。それにしても今日は寒いなぁ……テストでつかれたし、ちょっと眠いかも……

「優奈、眠いの?」

「え? あ、あぁ大丈夫。」

「そう?」

ふと、テスト勉強のときのことを思い出して、少し恥ずかしい気分になる。

あのとき、結局膝枕使っちゃったんだっけ……恥ずかしい。

……眠い。聖奈に迷惑かけないように……しない、と……


                 *

 すや〜すや〜 

電車の刻むカタンカタンという心地よい音とともに、俺の親友でもあり……

”好きな人”でもある優奈が気持ちよさそうな寝息と寝顔を見せながら……

電車の中で俺に寄りかかっている。

優奈さん!? 近いんですけど!?

俺は高まった心拍数を抑えるのに必死だった。

”好きな人”が俺にもたれかかっている。優奈は横並びの席の奥に座っており、俺はその隣りに座っている。そして奥側から俺に向かってもたれかかっている感じだ。

俺にもたれかかったりなにやらをするとき、いつも優奈は気持ちよさそうにしている。うっ、可愛い。


「う〜ん。聖奈〜」

「ッ!?」

寝ぼけているからか、妙にあま〜い口調で優奈が俺の肩に顔を擦り付けてくる。

やばいやばいやばい。優奈と密着しすぎている……

優奈の顔が俺の方に乗っているせいで、優奈のきれいな長い髪が直ぐ側にある。

やばい、いいにおいする……やばい、語彙力がやばい。

デートする前から、ドキドキマックスなんだけど!? どうすりゃ良いんだこりゃ。

早く起きてくれ〜!!

 

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