数学ができない鵜飼くんとご褒美。
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勉強が終わった私たちは、その場で解散した。聖奈の家は私の家のすぐそばだ。遊びに行こうと思えば行ける距離だけど、わざわざ遊びに行ったりすることもない。そもそも遊びに行くような用事もないわけだけど。そういえば、聖奈の家に上がったことは一度もないかもしれない。まぁ、年頃の男子と女子だしね。
まだ勉強の続きをしようと、自分の部屋に戻る。部屋にはまだ聖奈の甘い香りが残っていて、少し緊張する。自分の部屋なのにね。英語の勉強を詰めようと机に向かうと、机の上に置いてあったスマホのバイブ音が鳴る。メッセージアプリLIMEの通知だ。聖奈から送られてきている。
『勉強頑張って薔薇丘高校に入学できたら、ご褒美が欲しい! お願い🥺』
と、なんとも聖奈らしいメッセージだ。
『わかったよ。ご褒美何がいいの?』
と聞くと、すぐに既読マークがつき、返信が返ってくる。
『実はさ、ちょっと前にできたカフェが気になってて』
『うん』
ここから10秒ほど間が空いた。
『一緒に行ってくれないかな? と思って……』
『いいよ。っていうか、それだけでいいの?』
『うん。全然大丈夫。むしろそれがいい!』
私は、OKマークを作っているアニメキャラのスタンプを送って、LIMEを閉じる。さらに勉強を頑張らないと。
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